1980
January
Interview [for Toward the Terra, The Anime]:
超大作SFアニメとして映画化が進む「地球(テラ)へ」の原作者、竹宮景子さん。最近は少年たちの歌声を集めたLP 「過ぎゆく時と友だち」を自ら構成・演出して話題を呼んだ!
『地球(テラ)へ」の映画化要望は「999」以上!
Q. ―今度、竹宮さんの作品の「地球(テラ)へ」が、アニメ映画化されるそうですね?
Takemiya. ええ、東映動画で、いま制作中なんです。監督の恩地目出夫さんを中心に快調に進んでいるところだと思います。
Q.「マンガ少年」に連載されている原作は、かなり長いものですけれど?
Takemiya. ええ、現在、大づめに入って第4部を書いているところですが、映画では、第1部から最後の第4部まで、完全に私の原作どおりのストーリーで作られることになっているんです。
Q. すると、もう第4部のお話は、ラストまで出来上がっているわけですね?
Takemiya. だいたい大まかなストーリーは決まっていますけど、結末は秘密ですよ。ファンレターなんかでも、結末あれやこれや予想したものが多いですけど……。映画の場合、2時間という上映時間の制限がありますので、かなり原作の話がカットされる部分もあって、大まかなストーリー展開になっていますけど、「マンガ少「年」の連載には、もう少しラストの展開を、細かい部分まで練り直して行きたいと思ってます。
Q. 映画化の話は、いつごろから始められたのでしょう?
Takemiya. じつを言いますと、「銀河鉄道999」より早く、「地球(テラ)へ」の映画化の話がもち上がっていたんです。と言いますのは、以前、東映動画のファン・クラブで「アニメ映画化して欲しい漫画は?」というアンケートを取ったことがあるんですが、そのとき、第1位にあがったのが、この「地球(テラ)」だったんですよ。そのときの2位が「999」で3位が「キャプテン・ハーロック」です。結局「999」の方が先に映画化されましたけどね。
Q. どうして、1位の「地球(テラ)へ」が後回しになったんですか?
Takemiya. それは当然でしょう。こういう作品が、はたして映画に出来るものかどうか。たとえ映画化されたとしても、マニア受けはするでしょうが、一般に受け入れられるかどうか、ということが大きな疑間になって、東映動画の制作側も時見送ることにしたらしいです。
Q. それが、今回、映画化されることになったのは、何か理由があるんですか?
Takemiya. そうですねえ・・・私もよくわかりませんが(笑)きっとブームのせいじゃないでしょうか。アニメ映画ブームとでも言いますか・・・・・・最近、テレビなんかで当たったアニメを劇場用の作品にするケースが非常に多くなっていますし、アニメ映画がたいへんヒットしているみたいですから……。そういうところから、もう一度「地球(テラ)へ」の映画化の話が起こったんじゃないでしょうか。かなり冒険ですけどね。大当たりするか、全くダメか?(笑)
Q. それは、この作品が、ちょっと難解なSFだから、ということでしょうか?
Takemiya. これは、かなり大人向けに作った話ですし、映画も原作の話をそのまま、高校、大学生向きに作られていますから……子供にはきっと、物語の意味は理解出来ないでしょうしね。なにしろ、大人がこれを読んでも、理解しずらいって言われることもありますから。ただ、今回の映画の場合、ストーリーを検討する段階で、私も加わりましたが、エピソードなどもわりあい整理されましたし、漫画よりは、わかりやすくなったんじゃないかと思います。
ロベルティーノが声の中によみがえる!
Q. ところで、最近、2枚目のLP「過ぎゆく時と友だち」を出されましたね。
Takemiya. ええ、ビクター・レコードからお話がありまして……。1枚目の「ガラスの迷路」では自分の世界のイメージを音楽化しようということで、正直言って、かなり音作りに苦労したんです。けれど、今度のLPは、私の好きな世界を作ろうと考えて、少年たちの歌声で構成することにしました。
Q. 少年たちの歌声という企画は、日本では、あまりない新しいものですね。
Takemiya. 日本には少年の歌手という存 在は、あまり見当たりません。欧 米では、十数年前にイタリアにロ ベルティーノという天才少年歌手が現われましたし、スペインのラムンチョとか、イギリスのニール・リードとか、カナダのルネとか、数えきれないほどの素晴らしい少年の歌手がいるんですね。だから、日本の少年にも、カンツォーネとかシャンソンとかを歌わせることが出来たら、本当に素晴らしいことだって思って、さっそく制作にとりかかったんですよ。
Q. その少年たちは、どうやって集めたんですか?
Takemiya. ビクターの少年合唱隊があるんですけど、その中からオーディションで選びました。練習にも何日もかかりましたね。みんなさすがに素晴らしい声を持ってるんですけど、ただちょっと表現力に欠けましてね。その点に重点を置いた指導が中心でした。みんな素直ないい子たちばかりです。
Q. 曲を選んだのは、竹宮さん自身ですか。
Takemiya. ええ、私が少年たちに歌わせたいと思う曲を1曲選んだんですけど、選択に困りました。あれもこれもと、歌わせたい曲が山ほど浮かんで来るんですよ。中でも、カンツォーネの「バンビーノ」という曲は、例のロベルティーノの歌声を、私が初めて聞いて感激したときの印象深い曲です。私の作品の「ロベルティーノ」にも、その歌詩を引用したこともありましたね。それから、私はミュージカルの「オリバー」の中の曲も好きなんです。あのミュージカルはとってもいいですよ。その中から一曲選んでいますし、「マルセリーノの歌」も入ってますよ。あの曲こそは男の子が歌うためにある曲です。
Q. とってもさわやかな感じのレコードですね。
Takemiya.: 本当に作って良かったナ、私自身、そう思えるステキなレコードが出来上がって、もう嬉しくて全部で半年ほどかかりましたが・・・・・・私の夢と情熱をそそぎ込んだレコードと言っても、言いすぎではありません。録音が終わったとき、あのロベルティーノの歌を初めて聞いたときの、なんとも言えない感動がよみがえって来ました。
April
Interview [for Toward the Terra, Animage]:
原作と同じセリフは映画にはあまり出てこない
Q. 竹宮さんが4年もかけて描い ている作品が2時間の映画になり ます。まず、ストーリー展開に、 どのような変化が出ますか。
Takemiya. 私が描くとき、こまかなエピソードで示唆しながら話を進めていくことが多いのです。そして、過去へもどったり、未来へとんだり、ときには長いセリフも使います。ですが、監督さんの意向はナレ・ションを使わずひとつのカットを長くして時間的な流れを大事にしょうということなのです。ですから、映画では印象を強くするめに強烈なセリフを随所に使う方法をとってありますね。マンガと同じセリフはあんまり出てこないようです
Q. キャラの設定には、竹宮さん も参加されているのに、アニメの キャラクターはマンガとはかなり 違った印象を受けるのですが。
Takemiya. そうですか? それは単に線の 違いだけから ものだと思う ですよ。ただ、マンガは気まぐれ に描いてますから(笑)。表情が定 まらなくて、不安定なんですね。 です ら、ひとつのキャラにもみ ぞれ違ったイメージを のかもしれません。
作画家泣かせの
微妙なまゆ毛ライン
Q. 具体的に各キャラクターを見 ていきます。キースの顔つきが年 齢によって変化していく。その描 き分けのポイントはどこでしょう。
Takemiya. 目ですね。瞳(目の玉)が小さく なり、 まゆ毛と目の間隔が狭くな ほおの形もタマゴ型から四角 なっていきます。全体として最 初は純粋な印象、しだいに硬い表 情が外側にあらわれてくるように します。
Q. ジョミー、ソルジャー、キー スの区別を、竹宮さんの設定書で はそれぞれ丸型、四角、タマゴ型 と指示されていますね。
Takemiya. ええ、ほかに目と鼻と口のバラ ンスも違いますが。美男子の場合、 鼻や口の形をそう変えられないの で, 目の形で変えていきます。
Q. とくに、ジョミーとソルジャ ーの描き分けはどうですか?
Takemiya. ジョミーはハッキリした印象で まゆ毛が上へカーブ。ソルジャー はちょっと寄せて真っすぐと。
Q. 非常に微妙なところで、作画 家泣かせですね(笑)。
Takemiya. ええ、こまかくスッとカーブを 描く線がむずかしいって作監の方 がいってらっしゃいました(笑)。ええ、こまかくスッとカーブを 描く線がむずかしいって作監の方 がいってらっしゃいました(笑)。 いままでのアニメの主人公のまゆ 毛とはずいぶん違うって。マンガではの目なかも、ソルジ ャーは白っぽい三重丸、ジョミー には放射線を入れて区別していた のですが、映画では色で区別して あります。
マンガの世界の色彩は
白っぽいイメージだった
Q. その色彩についての感想は?
Takemiya. 私がマンガを描きながら抱いて いたイメージは、背景が暗くて、 人物は白っぽい。そこに薄く紫や ブルーがついていて妖精っぽいも のでした。 でも、たとえばフィシスの髪は マンガではプラチナブロンドでし たのに、秋吉久美子さんはグリー ンを想像してたとおっしゃったん ですね。人それぞれの ージが ある すから 映画はまた映画 の色彩があっていいと思うんです。
Q. ほかに、アニメ化にあたって 竹宮さんがこだわったところは?
Takemiya. 体つき、筋肉のつき方ですね。 体つきに性格があらわれていると 思いますから。たとえばトォニィ が子どものころから大人になって いく変化。大人になって、ヒジや ヒザのくびれをはっきり出すよう にしました。 それと、各キャラクターが髪の 毛に手をやったり、目を伏せがち であるとかのくせやポーズが映画 にも表現されるといいですね。
私は花を育てるのが
幼いころから好きだった
Q. さて、映画のカメラアングル は常に人間の目の位置にすえてい く方針だそうですが。
Takemiya. 私自身はアングルを変えるのが 好きで、ロングにしたり角度を変 えたり。ときには絵を省略するた めにアングルを変えたりと、ひど いこともしていますが(笑)。映画 は、背景までが動画になるそうで すから大変でしょうね。
Q. 今回は宣伝がまたスゴイ。「テ ラの花キャンペーン」は、作品の テーマにもそってるわけですね。
Takemiya. それと、私自身、幼いころから 花を育てることが好きで、種を植 えたり球根を育てたり、よくやっ たんです。種の使命をまっとうさ せて、つぼみから花が咲いていく。 かわい ですよね。そういう楽し みが、いまは欠如しているみたい に思うんです。
Q. 全国縦断キャンペーンで、フ ァンの人たちとの交歓もあります ね。
Takemiya. これまで自分一人で地方へ行く ことがなかなかできなかったので いい機会だと思っています。 松本零士さんも回られましたし、 とにかく、みなさんにお会いでき るのを楽しみにしています。
