1982

November

Comment [for Urusei Yatsura: Only You, Animedia]:

「30分の上映に、4~5万枚の絵が必要で、ス タッフは昼夜がんばってます」

Monthly Comments & Q&As

Urusei Yatsura:

Animage:

• November ’81: 10月14日から毎週水曜日に登場す 『うる星やつら』のエンディング についてお話します。 エンディング・アニメーションの 作画は、CMアニメーターで活躍し ている南家講二さんにお願いしました。 絵の中でラムがサンバを踊るんで す。ところが、南家さんがサンバの ステップがわからないから正確なサ ンバを踊れる人を知らないかと聞か れ、まわりの人に聞いてまわったの ですが、だれもサンバとは無縁の連 中ばかり。やっとのことでコスタリ カから留学に来ているという女性を 知人に紹介してもらいました。 さっそく事務所に来てもらい、レ コードをまわしながら、その女性に サンバを踊っていただくことになり ました。 みごとにリズムに乗ってサンバを 踊る彼女をビデオで撮影して、ライ ブ・アクションを撮りました。 苦心の末に完成したエンディング・ アニメ。いかがですか? ラムのサ ンバはキマッテルでしょう!?
• December ’81: 「うる星やつら」の監督は、押井守 氏です。通称押井星人は、いまバ バリの若手演出家です。 ラジオ番組 の演出を経て竜の子プロに入社。 そ して現在がスタジオぴえろに所 属しています。 ここ数年で急に力をつけてきた期 待の新人です。 この作品が押井氏の処女作になる のですが、そのハッスルぶりにはす さまじいものがあります。そばで見 ているわれわれは、そのうちからだ をこわすのではないかと、内心ヒヤ ヒヤしています。 風貌は、チビめて、30歳になるの ですが、おとなになりきれない少年 のような感じ。だれからも好かれる 男です。 『うる星やつら』の中で押井氏が一 番好きなキャラクターは“あたる” だそうです。 先輩演出家に負けじと日夜がんば りつづけている押井氏。作品ととも 今後ともあたたかく見守って下さい。
• January ’82: ’81年の1年間をふり返ってみると またたくまに過ぎ去ったというのが 実感です。番組を制作していますと、 スケジュールとにらめっこですので 時を感じるのが過敏になってきます。 『うる星やつら』も制作に入ったの は真夏の一番暑いときでした。その 時期、放映に向けてスタッフは連日 連夜汗を流して制作してきました。 とりわけ若いスタッフたちが、大変 な熱っぽさとパワーでこの作品を盛 り上げてくれました。 現在放映されて、さまざまな反応 が寄せられていますが、スピードと パワーにおいては賛同を得ているよ うです。今後もさらにおもしろくす るために、スタッフ全員がんばって おりますので期待してください。 これから年末にかけて、私たちの 業界は一段と忙しくなって行きます。 アニメ制作のほとんどが個人作業の 結集です。ひとりひとりの歯車がか み合わないといい作品はできません。 現場をあずかるものとしていまが正 念場。みなさんも声援してください。
• March ’82: 『うる星やつら』の場合は、原作を 下敷きにした作品ですが、やはり基 本的にはオリジナルものをやってい きたいですね。スタジオぴえろのス タッフはギャグ畑の者が多いので、 これからも子ども向けのギャグアニ メの路線で、しかもメルヘンの味を つけて作ってみたいです。 メカものは、従来のパターンに追 従するような形では作ってみたいと は思いませんが、たとえば、メカを 持った大仏様や阿修羅が出てくる、 オリエンタル調SFアニメなんて、 ちょっとおもしろいのではないかな。 そして、原作ものでいえば、古典 でアニメが手をつけていないものは シェークスピアの世界。『ロミオとジ ユリエット』や『真夏の夜の夢』を 現代風にアレンジしてアニメ化する。 不朽の名作であるシェークスピアの 戯曲は、映画や舞台では何度も取り 上げられていますが、アニメーショ ンとして作っても、十分におもしろ い作品になると思うのです。いかが でしょうか。
• April ’82: 『うる星やつら』の作画監督は、ふ たりにお願いしています。 ★遠藤麻未さん スタジオどうたく 高橋祐氏に師事するために名古 屋から上京。高橋氏の指導でめきめ 頭角を現わし、アニメーターとし てはたいへん早い期間で作監に登り つめました。机に向かっている時、 よくひとりごとを発するのが彼女の 特徴。あまりにはっきりしたひとり ごとなので、はじめは周りのスタッ フもビックリ。時には大きな声を出 したり、他人と話しているように笑 ったり、悲しんだり……。この番組の キャラクターのようにユニークです。 ★野部駿夫さん 虫プロ・日本アニ メ竜の子プロを経て現在フリー。 キャリアはたいへんなものです。愛 称は“ノベちゃん”。ふだんは物静か で誠実な人ですが、アルコールが入 急変してしまう! いささか凶 暴性をおびてくるからたいへんなの です。仕事よりお酒のほうがエピソ ードが多い、これまたユニーク人間 (スタッフ全員ユニークかな?)。
• May ’82: 番組がスタートして、はやい ものでもう半年。みなさんの支 援のおかげで高視聴率を維持し ております。ファンのみなさま からの手紙も日ごとに増えた いへん励みになります。 さて、この応援していただい ている作品を、いままで以上に 愛される作品にしようと、4月 から構成を少し変えてみました。 従来までの2本立てを1本立て の構成にし、内容豊かでいっそ う楽しい作品に仕立てるつもり です。また、エンディング・テ ーマも新しくなりました。オー プニング・テーマはいままでど おり松谷祐子さんが歌っていま すが、エンディングはヘレン笹 野さんにバトンタッ チラムのいじらし い恋の切なさをボサ ノバ調に歌っていま す。この「心細いな」 という曲、きっとみ なさん気に入ってい 用心」 ただけると思っています。 というわけで、内容を一新し た『うる星やつら』いままで以 上に愛される作品となるように、 スタッフ一同モーレツにがんば っています。どうぞご期待くだ さい。
• June ’82: 『うる星やつら』のアフレコは 毎週土曜日に行われています。 ボクも長年、いろんな作品に立 ち合ってきましたが、こんなに なごやかで愉快なふんい気の作 品はあまりなかったような気が します。声優さんは放送台本を 照らし合わせながら演じていく る星やつら』にご期待ください。 最後に当プロダクションから のお願い。ファンのみなさま方 からの投書や電話など、日ごとに 多くなってうれしい悲鳴をあげ ています。ところが、同時に熱 狂的なファンによるセルの奪い 合いなどの問題も起こり、頭を 痛めています。つい最近も心な デわいのツノを返 いファンが、セルを盗もうとし ているところをパトロール中の おまわりさんにみつかり、補導 されるという事件がありました。 また、この番組で使用してい るセルは某アニメ・ショップで 販売していますが、当プロダク ションでは扱っておりません。 現金を同封した手紙もくるので すが、前述のとおりですのでご 容赦ください。 めて」
• July ’82: この番組を見ている男性諸君。 諸星あたるという野郎、どう思 いますか? かわいいラムちゃ んに愛されているにもかかわら ず、「オレは基本的にフリーな人 間でいたいんだ」などとぬかし、 女とみればだれにでも手を出す すばやさ。とにかく女性に対し て異常なほどマメなこの男、き みたちのまわりにも、こういう 男いませんか? このあたるに対する評はまっ ふたつ。「あいつは許せない!ラ ムちゃんがかわいそう!」とい う意見と「同じ男としてうらや ましい。あのバイタリティは尊 敬に値する」というもの。われ われスタッフの間では後者が圧 倒的で、ラムちゃんではなく、 あたるの親衛隊を作ろうという 意見もあるほどです。要するに 自分たちは、あまりモテないの ですね。みじめ・・・・・・。 このユニークなあ たる、声優の古川登 忠夫さんも、はじめ はむずかしい役だな あといっていました が、最近ではすっか り役になりきって絶 好調です。これから もエスカレートしそ うなあたるの行動。 目が離せません。
• August ’82: 近年、アニメ界では女性の進出 が目立っているが『うる星やつら』 もその傾向にある。まず、キャラ クター・デザインの高田さん。 この番組は新しいキャラがつぎ からつぎへと出てくるが(あたる がいるために)そのなかにはかなり の女性キャラが含まれている。し かも、季節内容によってコスチュ ームを替えていくこの番組では、 まさに女性向きの仕事といえる。 ほかにも、ラムのさりげない表 情をうまく表現してくれる遠藤さ ん、演出の小島さん、動画チェッ クの吉野さん、色指定のおふたり さん、仕上げのメンバーに設定進 行、等々・・・・・・。 女性の素ハダとカラフルな服装 が気になる暑い夏には、男性軍に とって、夏バテ防止の刺激にもな るのである。ただし、当スタジオ は部外者立ち入り禁止。彼女たち の働く美しい姿をお見せできない のが残念! さて、今月は第36回に人気キャ ラのひとり、レイがし ばしの沈黙を破って再 登場。現れるところは あたるの教室。 そして、 そこにはあたるを好き になったランちゃんも 加わり、夏休みを前に した平和な友引高校は、 波乱の渦に巻き込まれ る..。
• September ’82: 早いもので放映開始からもうす ぐ一年になろうとしています。お かげさまで、10月以降も延長が決 定しました。テレビシリーズの制 作というものは、はじめの2クー ル(約半年間)は慣れないせいもあ って、なかなか思っていることが 表現できず、試行錯誤のまま通り 過ぎてしまうものです。それを過 ぎてはじめて作品の傾向やキャラ クターの性格が各自に浸透してき ます。 この番組もいまがいちばん のっている時期だと思います。 そんなスタッフのなかから今月 は美術監督の新井寅雄さんを紹介 しましょう。新井さんは2クール 以降から参加しているのですが、 この作品のカラーになじむまでた いへん苦労したと思います。なに せ現実から非現実、宇宙から原始 時代とコロコロ場面が変わるので すから、ふつうの人ならノイロー ゼになっているところです。 新井 さんは過去に数多くの作品を手が けている大ベテランですが、若い スタッフに溶け込んで 新しい感覚を吸収しよ うと意欲的に取り組ん でいます。また、C の押井くんともよく気 が合うようです。 われわれのことばで 「画面の半分はアニメ ーションで後の半分は 美術」といわれるくら い重要なパートです。 それだけ新井さんに期 待する度合が大きいの です。
• October ’82: 10月は番組改編の時期ですが、 おかげさまで当番組は、10月以降 もつづけて放映されます。このと ころ局の事情で、スペシャル番組 が多く組まれ、ずいぶん放送がと んでしまいます。10月からは、い っそうパワーアップして番組を充 実させていきたいと思います。 10月からのプログラムは、いま まではずれていた原作の洗い直し をし、それに最新作を加え、バラ エティ豊かに構成しました。はず れていた原作からは、ファンのみ なさんから圧倒的に希望の多かっ 『君去りし後』を10月の1回目 に放映する予定。現在、制作が進 行中です。 ファンのなかには、まだ放送さ れていない原作を脚色して、シナ リオを作って送ってくれる人もい ます。なかなかおもしろいものも 多く、大いに参考にさせてもらっ ています。 さて、このたび『うる星やつら』 ファンクラブが発足しました。 来 春の映画化に向けて、 なおいっそうのご支援 をお願いしようと結成 したものです。『アニメ ージュ』の読者のみな さんも、ぜひ参加して ください。
• November ’82: スタジオ通信 先月放映分の「ニャオンの恐怖」 は押井監督の脚本・演出で、背景 は特に美監の新井氏苦心のもので す。ネコがみすずに憑依するシー ンや、またパロディーのボクシン グ・シーンなど、見ごたえがあっ たと思います。 10月からの第一回放映分は、シ リーズ第2作目の山崎氏の演出に よるもので、作画的にも撮影的に も力の入った作品となりました。 この後「ラムちゃんのクラス会」 では、いままで出たゲスト・キャ ラが一同に会したり、さらにはク ラマが再び新たなる 挑戦をドギツク開始す る予定です。 なお、10月からはエ ンディングも新しくな ります。曲は赤マント の本編で使用した曲を、 歌詞ともにアレンジし 直しましたのでご期待 ください。

The Anime:

• November ’81: Q. 10月号の「うる星やつら」のペ ージにキャストが載っていませんで した。ぜひ知りたいのでこの欄で教 えてください。A. ではラム役からずらずらーと紹 介していきましょう。ラム役は平野 文さん。あたる役は古川登志夫さん、 キンタロちゃん役は野沢雅子さん、 さくらさん役は鷲尾和知子さん、錯 乱坊役は永井一郎さん、テンちゃん 役は杉山佳寿子さん、レイ役は玄田 哲章さん、そして、あたるのお母さ ん役は佐久間なつみさん、同じくお 父さん役は緒方賢一さんです。