The Adventures of Tom Sawyer

1980

January

Animage [pg. 92, 96]

Comments:

Takaji Matsudo: 「トム・ソーヤの冒険」では、いままでの「ペリーヌ物語」などの カルピス路線とはちがった動きの大きさ、マンガ的おもしろさを楽 しむことができます。 というのは「ペリーヌ物語」「赤毛のアン」で は女の子が主人公なので、どうしても、行動がせばめられがちだっ たからです。しかし「トム・ソーヤの冒険」では、トム・ソーヤとい う男の子が主人公なので、思う存分に行動をひろげることができる と思っています。 また、原作には見られない100年ぐらい前の蒸気船が走ってい たころの感じを、じっくりと味わってください。 トムが少年時代を すごしたハンニバルの町は、ミシシッピー川に面した小さな田舎町 で、現在では蒸気船は走っていませんが、当時は蒸気船が重要な交 通機関として荷物や人の運搬にあたっていたのです。 ともかく「わんぱく戦争」のなかに見られる、いきいきとした子 どもらしい子ども。 それが、すてきだなと感じとってもらえたらう れしいですね。理屈ぬきのおもしろさ。ぜひ、ごらんください。

February

Animage [pg. 87]

Comments:

Takaji Matsudo: 4人のかたをオ ーディションして、 最終的には、中学 2年の日下まろんちゃんに決めまし た。彼女は、この歌がデビュー曲に なる手アカに汚れていない14歳です。 そのフレッシュさに賭けてみようと いうことですね!!! そしてアニメ 界で最年少・14歳の歌うオープニン グ”というキャッチフレーズがどの くらい宣伝効果があるのか、その点 にも注目したいと思っています!!

Maron Kusaka: ★私『アニメージ ュ」を創刊から買 うほどのアニメフ アン。そして堀江美都子さんの大フ アン。 で、アニメの主題歌を歌う歌 手になりたくってしょうがなかった んです。 その夢がかなったなんて、 いまでも信じられないくらい。 オー ディションに受かって、つぎの日か らレコーディング開始。毎日夕方5 時から夜中の1時までスタジオにカ ンづめになりました。 でも、夢がか なったんで、そんなことへっちゃら でした!!

July

Animage [pg. 94-97]

Takaji Matsudo: スポンサーやTV局サイドからいままでの世界名作劇場の路線とものを”と要望がありました。で、主人公がいわゆる“いい子”じゃない名作をと、考えました。いままでの路線は「母をたずねて三千里」にしても「赤毛のアン」にしても、主人公はみんないい子”だった。そうすると、とっぴなギャグはむずかしい。これは、視覚的にアニメ本来のおもしろさ(動き)がだしいということでもある。たとえば、スカートをはいている女の子・アンに、逆立ちやとんぼ返りをさせたりはできませんよね。その点、わんぱくなトムならば、おもしろくできそうだと、アニメ化を決定したわけです。

Hiroshi Saitō: キャラ研究 2 キャラデザインや声優を決める際の基準は? ●全体としては、現代の子どもたちとこの作品のなかの子どもたちを、相対するものとして描くというのでなく、見ておもしろがってくれればいい”という以外ありません。キャラデザインについては、アニメというのは、動いていることがおもしろさの原点だとぼくは思っていますから、それが多少でも発揮できるキャラクターにしたいというのまずありました。アメリカ人のキラという点は、とくに念頭になかったです。とにかくなんでもいいかまんがのキャラにして、まんがの”おもしろくって、くちゃくちゃのまんがでいこうよ”と、関修一さん(キャラデザイン)にいっていました。ついては、非常に満足しています。クがぼくは一番好きですね。声については、動きが早くせりふが交差し、アドリブも入ってくるかベテランの人に、と録音監督の浦上靖夫さんにおまかせしました。

Masako Nozawa: 「釣りキチ三平」の三平、「銀河鉄道999」の鉄郎、そしてトムと、3人の少年を演らせてもらっています。そのなかで、トムは一番イタズラッ子でひどいこともケロッという少年です。でも、それがアッケラカンとしていて、すごく好き! のんびりとしたおおらかさせりふまわしで、と思ってます。

Kazuyo Aoki: ハックって、流れのままにいく子なのじゃないかしら? 社会をかえようとしたり、志をもつてなにかしようとしても、たいしたことがないとわかつてるというかね。すごく孤独な個性をもつているの。私自身とは、ともちがうわ。だから、逆にひどく魅力的よ。もし現実にこんな人がいたら、私、恋人にしたいと思うくらい!!

Shūichi Seki: とにかく〝いままでにない絵柄を”ということを心がけました。その工夫の一つは、ベッキーの鼻の上の色トレスの影です。ぼくは女の人を描くのは、すごくにが手なんです。かわいく描いているつもりなのに、全体から見るとかわいくならない。だけど、今回のベッキーは、この色トレスの影のせいだけじゃないと思うけれど、とってもかわいくてお茶目にあがったと満足しています。今回は、第2稿でキャラデザインが決定しました。(第1稿のキャラは、ちょっとリアルすぎるということだったと思う…… ) 2回目で決定したことでも、わかると思うけれど、ほんとうにこれはのってやれた作品なんです。点数でいえば、98点ですね。え、マイナス2点はなにかですって? ぼくの照れですよ、照れ!!(笑) ぼくは、過去にもアメリカとの合作アニメや「リトル・ルルとちっちゃい仲間」とかバタ臭いキャラを描くことが多かったけれど、これはほんとうに気に入ったキャラです。

Keiko Han: ベッキーつてただのかわいい少女じゃないのよ。このあいだ放映された「ドビンズ先生の秘密」でも、ベッキーは自分がやったイタズラを自分がやったといえず黙っちゃう。私、そういう人間味一杯のベッキーが好き。子どもを演っているという意識ではなく、一女性そのものだという気で、色っぽくやりたいなーあ!!

Kosako Yoshishige: まず、関さんの絵でキャラを統一することが、第一ですね。それから子どもらしいしぐさ”をなんとか表現したいと思っています。トムやハックは、顔をくずしてもオーケーだからいいけれど、ベッキーはむずかしい。表情をだしにくいし、女の子のもつかわいらしいしぐさをだすのに、苦労しています。ぼく自身が、いま一番悩んでいるキャラは、トム。目をどのように描いたらイキイキできるか、いろいろ考えているので、なかなかきまらなくって……。そして、性格設定と作画の関連も大切にしなくてはと思っています。先日も、トムの不在をしったベッキーの表情を、ぼくは悲しげに描いたのですが、監督はトムがいなくてもそんなに悲しくない。子ども(ベッキー)には、ほかにも関心のあることがある”と表情を明るく直しました。いろいろ大へんですが、今後もベストをつくします。 ★以上、4人のスタッフにキャラづくりについて話を聞いてみたわけだが、各スタッフのことばの裏に、きみはなにを感じただろう。AMでは”子どもっていいな!! 人間らしい人間っていいな!!” それをなんとか好きなアニメで表現してみたい”そんな声を聞いたように思うのですがー。

November

Animage [pg. 96, 110]

Comments:

  • Yuka Kato (16 year old fan): トムのいたずらは数 あれど、ドビンズ先生 のカツラをとってしま ったのは最高。つい ドビンズ先生のハゲ 頭を暴露して大よろこ びする姿も無邪気だし。 トム・ソーヤの世界っ てほんとうに子どもら しい。もう2世紀ぐら いむかしのお話なんですよね。 でも、子どもたちのやることっ ておんなじ。ただ、あのころの 子どもたちは、紳士、淑女にあ こがれていたみたい。いたずら して叱られるときもそんなこ としていてはりっぱな紳士にな れませんよ”といわれるとシュ ン。そこがいまとちがうわね。

Monthly Comments and Q&As

Animage (written by various people):

  • February (Takaji Matsudo): 史上空前ともいうべき、アニメ ブームも下火になりつつあります。 平家物語をもちだすまでもなく、 身近なところでも、栄枯盛衰の例 は数限りなくあります。昨年のピ ンクレディーの人気と今年のそれ。 まさかと思われた安宅商事の倒産。 佐世保重工業の経営危機、庶民宰 相ともてはやされた田中角栄の転 落、失墜などなど。世の中に永遠 などというものはないのです。 長島は引退のとき、マウンド上 涙ながらに「巨人軍は永遠に不 滅です」と叫んだが、その後の巨 人と長島をみれば、空虚な言葉と して残っただけではありませんか。 同じように、活況をていしてい アニメ界も長島巨人軍にならな いとはいえないのです。だからこ そ人材の育成、斬新な企画の立案、 充分な制作費用の確保に務めるこ とが必要。 問題は山積みしている わけです。 また、最近では、アニメ界の活 況とおなじように、 アニメ雑誌も 急増しているようですが、その雑 誌をまえにして、私はふしぎな気 持ちでした。 ジャーナリズムとし ての批評の目が、どれ にも欠けていたのです から。 ただ新番組の紹介や、 ファンサービスの記事 人気キャラクター特集 ばかりでは、ブームが 去ったとき、ともに消 えるしかないでしょう。 そういう意味でも80年 のテレビアニメ界の玉 せきこんこう 石混淆を打ち破る一石 になってほしいもので す。
  • May (Takayoshi Suzuki): コンニチワ。今月の見どころは ぼく、トム・ソーヤがおはなしし ます。 第15話は「冒険、冒険また冒険」 です。ジャクソン島でぼくたち3 人(ぼくとベンとハック)は快適な 生活を楽しんでいたのです。する 突然、川で大砲の音がした。溺 死者の死体をさがしてるのですが、 いったいだれか・・・・・・アッそうか! ぼくたちだ。ぼくたちは溺死した ことに決定したんでした。いまや 3人はみんなに注目される英雄? 第16話ではついに、ぼくたちの 葬式がおこなわれることになりま した。村は、悲しみのどん底。さ て、ぼくたちどうすればいいんだ ろう。こまったことに、ハ と 「ベンがホームシックにかかってし まったんですよ。 第17話で、ぼくはようやく学校 にもどります。学校ではぼくはも うあこがれのまとなんだけど、ド ビンスキー先生は少しもあこがれ てくれない。おまけにぼくの人気 をねたむやつまで出現したのです。 第18話は、このところどうもし っくりいかなかったベッキーが、 どうやらなかなおりしてくれそう なのです。でも、そう簡単にはい かないみたい。よほど相性が悪い のかな。すっかり、なかなおりで きるまでにはま だまだイバラの 道を歩いていか なければいけな いようなんです。
  • June (Takayoshi Suzuki): コンニチワ、ぼくトム・ソーヤ。 カエルとび競争って、知っているか い? 別にぼくがカエルとびをする わけじゃないんだ。第1話「蛙の戦 い」では、本物のデッカイカエルを 捕まえて、特別の訓練をして、でき るだけ遠くにとばす。こいつがけっ こうむずかしくてね。ぼくが授業中 に見た夢のなかでは、羽がはえてじ つによくとんだんだけどね 第20話は「ドビンズ先生の秘密」 だ。夏休みが2日後にせまったある ぼくたちはもう、ウキウキしち やって。でも、ドビンズ先生のムチ は相かわらず激しい。 そんな先生に重大な 秘密のあることが判 明した!!! それは、 どろくべき秘密。さ てその秘密とはー。 やったあ!つい に今日から夏休み、 いつもはねぼすけの ぼくだけど、ポリー おばさんより早く起 きちゃった。さあ、 遊びまくってやるぞ! とはりきってい たのに、突然シッド のやつが高熱をだし て寝こんでしまった。 オタフクカゼにかか ったのだ。やがてぼ くにもうつるらし ああ、いやだ、せっ かく夏休みになった のに。第21話「夏休 みの始まり」は、不■幸のはじまりなのだ ろうか。 ところが、飲めばオタフクカゼ そんなすばら にかからない薬 しい葉が売られているらしい。ぼ くもそれを飲みたい。そうすれば、 夏休みを棒にふらずにすむのになあ。 でもお小づかいはないし、どうすれ 薬は手に入るんだろう。22話「病 気にならない薬」お楽しみに。 第23話は「ナマズ釣りの日」なの だ。いつもの仲間たちは、みんな家 族といっしょに遠出してしまった。 そこで、ハックとナマズ釣りの相 談をしていると、なんとうれし いことに、ベッキーがいっしょ にいくことになったのだ。さあ、 いちばんでっかいナマズを釣って みせるぞ! と、ぼくは大張り切り。 んなことになるのか、みんな、 見てね!!
  • September (Takaji Matsudo): ちいさい視聴者のみなさんから、 ハガキやら電話でさまざまな質問を うける。そのなかから、いくつかひ ろってみるとー。 「ハックのズボンはどうしてかたっ ぽだけまくりあげているの?」 「トムとハックはなぜ、いつも同じ 洋服を着ているんだろう。たまには 着替えさせて!!」 「ハックの帽子はまんなかが破けて ぬけているのに、どうしてかぶって いるの」 「2人はどうしてハダシなの?」な どなど。 こんな質問にはいつも泣かされる。 第1と第3の質問の答はハックの 貧しさと愛嬌を演出するためのもの。 2番目は、アニメーションの場合、 たびたび衣裳を替えると、登場人物 のイメージが希薄になるという恐れ があるから。 4番目は、あの当時、 つまり120年ほど前には、ハダシ の子どもたちが多かったためなんだ。 ということなのだが、この答も子ど もたちにはピンとこないようです。 現実とトムの世界とのギャップが大 きすぎるのかな? それともトム・ ソーヤの生活環境がまったく理解で きれ からなんだろうか? もしか したら、理解しようとしていないの じゃないかとさえ思ってしまう。 私たちスタッフにとってはトムの 世界は自分たちの幼年期の思い出に つながる。それを作品に重ね合わせ ながら描いているつもりでもある。 いくら時代がかわっても、幼年期 の思い出は共有できるはず。それが なくて、なぜ、いまト ムなのか? さて、今月は33話に しぼって作品紹介をし よう。ある晩、トムの 家の黒人、ジムをたよ すてたり って黒人のモー リスが逃げてき た。彼は自由が ほしくて逃げて てきたのだが すぐあとには追 手がふたり…?!?! ぜひごらんく ださい。
  • October (Takaji Matsudo): 私がアニメの世界に入ったのは10 年前である。ひとの紹介で東京ムー ビー社に制作進行として入った。当 年22歳。そのころの東京ムービーは 驚異的な視聴率をあげた「巨人の星」 制作中で「巨人の星」放映開始か ら2年半ほどたったときだったろう か。だから、私の第1作は何話かは 忘れたが「巨人の星」だったという ことになる。 まったくあの作品は視聴率も高か ったので、制作にたずさわるものが みなイキイキとしていた。にもかか わらず私は7か月でやめることにな ったのは、若気のいたりだったのだ ろうか…(?)そして1年半、より道 して現在の会社(日 本アニメーション) にお世話になった。 先ごろ「巨人の星」 の再放送を見ておど ろいた。あのころ、 一流といわれた(!!) アニメーションだが、 いまみるとこんなさ んたんたる作品なの かと。スポーツ根性 ものがはやらなくな って久しいが、 時代の流れ以上にア ニメの技術は進んでいるようだ。 なんて考えていると・・・現在担当し ている「トム・ソーヤの冒険」を10 年後に見たら、どんな感じだろうか たのしみでもあるが、こわい気 もするのだ。 では「トム・ソーヤの冒険」、今 月の作品のなかから1話ご紹介しよう。 「恐しい出来事」 (38話) この作品はトム・ソーヤの冒険の ハイライト。インジ ャンジョーが殺人を その現場をトムとハ ックが目撃してしま ったというのだ!!! さあ、たいへんなこ とになってきた。物語はスリルとサ スペンスにみちみちて展開する。 いよいよトムとハックをはじめ、 主人公たちの冒険物語も佳境に入っ てきた。殺人をおかしたのはインジ ャンジョーと ーとトムは知っている。 かし、それを話せばこんどは自分が インジャンジョーにうらまれて・・・さ あどうすればいいんだろう!?!?!?!
  • November (Takaji Matsudo): 「白蛇伝」。日本最初の長編アニメー ションである。小学校5、6年のこ ろ、映画鑑賞という課外授業で見に いった。キャラクターのなめらかな 動き、叙情的なストーリー、その両 方が調和して、ここちよいのにひど く感動したのをおぼえている。 また、テレビシリーズでは「アル プスの少女ハイジ」。私自身、制作 進行の一員として、担当していたも のである。これはマンガというより 映画としてのリアリティーにと んでいた。演出、ロケハンの成果と しての美しい背景、ウソのない絵作 り、たのしいキャラクター、どれを とっても一流だったと思う。名作シ リーズの原点はハイジだ、といって も過言ではない。原作を十分超えた 作品だったと思う。 私はいま「トム・ソーヤの冒険」 のあと番組、来年1月からはじまる 「家族ロビンソン漂流記・フローラ の島」を準備中である。はじめての 漂流ものということで、あたらしい 可能性を追求していきたいと思う。 乞うご期待!! 今月の「トム・ソーヤの冒険」 見どころは。 第40話 「マフ・ポッターの裁判」 いよいよロビンソン医師殺しの裁 判がはじまった。被告はぬれぎぬを きせられたマフである。真犯人を知 っているトムは、良心の呵責から、 眠れない日を送ることになる。そし て裁判の日、トムはある決心をする。 第42話「楽しい船の旅」 ベッキーが伯母さん の、家にいくことにな った。そしてトムも伯 母さんのいいつけて ューオリンズの牧場に。 ぐうぜんふたりとも、 船の旅に出る・・・が・・・。

The Anime:

September:

Q: 二十八話でハックがリゼットと いう旅役者の少女に恋をする(はじ めてのことではないのかしら)とい うことですが、最後にはどうなって しまうのですか。リゼットってどん な人ですか? 熊本市 高井由紀(17歳)

A: そうですね、女の子とは関係な いようなあのハックが恋をするんで すね。相手は、街に来た旅芝居のか わいい役者リゼット。リゼットは家 が貧しくてこの旅回りの一座に売ら れた訳です。その辺の境遇が似てい ることもあって二人は仲良しになる のですが、しかし、リゼットは旅役 者、街での芝居が終ったら、また次 の街に行かねばなりません。つかの 間の恋に終ります。(Takaji Matsudo)

Welcome to Anime Magazine Archive! We aim to be the ultimate resource for anime magazines, offering page-by-page breakdowns, with a focus on the 1970s-1980s.

RECENTLY UPDATED