1979
November
Comment [for Toward the Terra, Animage]:
竹宮恵子原作『地球へ・・・」がついにアニメ映画化される!! 上映月日は未定だが、120分超大作となる。
「生命、思想まで管理される未来のSD体制のなかで、人類と新人類の若者がどう悩み、どう生きたかを描いていきたい。個性・意自我などを管理された若者のせつなさといったものが出れば、機械文明の否定というテーマにもつながる」東映動画・田宮武プロデューサーは語る。監督の恩地氏はアニメ初体験だが「めぐりあい」「あこがれ」などの青春映画で一家をなした人。この恩地氏の要望で、先日、新劇の5人(男3女2)をつかい、台本のセリフを先にとった。一種のライブ方式だが、こういうのはアニメでははじめて。この理由を田宮氏は「ふつう演出の人が自分でセリフをいって秒数を決めていけど、恩地さんは、それじゃ芝居にならないといってこんどの方式になった」恩地氏を起用し、斬新さをねらったこの映画、すでにその効果を発揮しはじめている。
1980
February
Comment [for Toward the Terra, The Anime]:
「地球へ…」の制作が順調に進む東映動画の制作現場を訪問し、スタッフのみなさんの熱心な仕事ぶりにアタック、その声を集めてみました。まず、制作室におじゃまして、プロデューサーの田宮さんに、この作品の見どころを、お聞きしました。”地球へ…〟は、竹宮恵子さんの作品の初めてのアニメ化ですが、キャラ・デザインの監修やシナリオ、絵コンテの検討は、竹宮さん自身に行なっていただき、竹宮さんの世界を忠実に映像化することを心がけています。また、恩地監督は、これまでの実写の経験をアニメに取り入れ、新しい試みがいっぱいですよ」そのひとつが、ワンカットの長さ。20秒以上もあるカットは、これまでのアニメでは考えられなかったこと。動きの実在感を出すためだが、それだけ、アニメーターの作業もたいへん。また、スタッフには、SF専門ではない人たちが多いのも特徴だ。「SFといっても、この作品は、従来のメカ中心のものと違って、イメージの豊かさが大切なんです。新鮮な才能と感覚によって、斬新なSFイメージに挑戦してみました。特に、宇宙の背景は、特殊な手法を使って、全く新しい空間を創造することに成功しました。期待して下さい」いったいどんな素晴らしい映像が画期的な宇宙空間が、我々の目の前に展開されるのだろう?4月末からのゴールデンウィークの封切りが今から楽しみになって来ました。
March
Comment [for Toward the Terra, The Anime]:
原作と映画の物語は、根本的に大きな違いはありませんね。原作では物語があちこち飛びますが、映画の場合は、中心となるストーリーに絞っています。テーマや物語の展開は、原作と同じです。前半の見どころは、キースがシロエと張り合い、自分がテスト・チュブで育ったことを見破られて、殺してしまうところです。ここは原作でも、大きな見せ場でしたね。ひとつだけ、原作と違うところがあります。ミュウたちが、アタラクシアから脱出してナスカという辺境へ行き、そこで束の間の平和を得て、試験管ではなく、自分たちの母胎で子供を産もうとします。ここは、原作ではカリナという女性が、恋人との間に子供を産みますが、そこを映画では、ジョミーとカリナの間に子供が生まれることに変更しました。その子供がトォニィになるわけです。それから、ミュウの中で、ナスカに安住しようとする若者たちと、間に対抗しようとする長老たちの間に争いが起こり、そこへ地球から総攻撃を受けて、ナスカが全滅してしまうところがあります。このトォニの誕生とナスカへの総攻撃も、大きな見どころとなるでしょうね。終盤では、やはり、ジョミーとキースの対決が最大の山場になります。映像的な面での見どころは、まず恩地監督の実写的な感覚です。カメラの視点を、つねに人間の目で見る位置にして、背景までしっかりとらえているところなどは、今までのアニメには、あまりなかったことですね。背景の宇宙空間も、見ものですよ。今までにない、画期的な手法で描き出した宇宙の背景は、非常に斬新なもので、素晴らしい透明感があるんですよ。それに、作画監督の須田正己さんが、全カットのレイアウト、構図取りを行なっているのも、大きな話題になると思います。音楽は、佐藤勝さんに作曲していただきましたが、大編成のオーケストラによる重厚なサウンドは、なかなか聞きごたえがありますよ。
