1980
October
Animage [pg. 47-52]



話はつきない。あと、各話作監、各話演出の話、ガミラス、ボラーなどの音楽的区分けの話、デスラーと古代の再会の話、キャラの年齢設定の秘話(なぜ、最初のヤマトのときに、古代18、守27、真田32、デスラー36、沖田45歳にしたかという。カンのいい人ならわかるかな)など2時間にわたり語ってくれたが、全部再現できないのが残念だ。だが、話を聞いていて思った。この熱意に、強力なスタッフがいれば、かならずおもしろいものができるにちがいない、と。
古代とデスラー・・・・・
このワシと最後の武人の対決に胸をときめかすファンは多い。PART.3でもこのふたりの交わりが、重要なひとつのテーマとなっている。『永遠に」でデスラーが出なかったのは「デスラーにはもっと大きな舞台が」(西崎氏)用意されていたからであった。古代とデスラーの再会は3か月先になりそうだが、じつに劇的な出会いが用意されているそうだ。「古代艦長として出発したヤマトは、ガルマン帝国のガイデル提督麾下、ダゴン将軍ひきいる第1機甲師団と激突、とらえられてしまい、デスラーのいる2重連星に連行される。『デスラーは、地球の戦艦をとらえたとの報告を聞き”して、その艦長の名は?』と問う。『なに、古代進!!!!』と、デスラーはガク然とするんだ」(西崎氏)そしてデスラーの前にあらわれた古代は・・・・・・というドラマチックなものだ。
ようするに、デスラーは、その南下政策でつぎつぎと侵略をしていくわけだが、地球だけは除外していた。それも、この誇り高い武人・デスラーが、唯一評価男が古代進だったからだ。男が男をみとえ敵であっても、奇妙な友情さえ生まれるものである。地球の危機を知ったデスラーがどうでるのだろうか…。このふたりの出会いから、さらにドラマは大きく展開していくという。1年間、最後まで楽しめそうだ。
銀河系星雲中心部に位置するガルマン帝国は、銀河系外縁へ向け、各方面に艦隊を送り出している。軍事力、科学力ともに高度に進歩したガルマン機甲師団の前に立ちふさがれ星間国家は数えるほどしかなく、ガルマン帝国は着実にその勢力を広げている。ガルマン帝国を上回る勢力範囲を誇っているのがボラー連邦と呼ばれる星間国家の集合体で、この末端に惑星国家バースがある。このバース軍宇宙艦隊をひきいる旗艦ラジェンドラ号のラム艦長は、オリオン腕方面に進攻してきたガルマン帝国軍に対し執拗に抗戦した。しかし、ガイデル提督麾下、ダゴン将軍指揮する第16機甲艦隊の戦力の前に、しだいに劣勢へと追い込まれ、ついに惑星を盾がわりにしなければならなくなった。ガルマン帝国は、その盾にした惑星ごと艦隊を破壊できる〝惑星破壊ミサイル”を装備していた。このミサイルによってバースの宇宙艦隊は壊滅状態に陥った。
このときの爆発しなかった惑星破壊ミサイルが、地球を第3惑星とす太陽に突入し、太陽内の核融合を異常増進させた。この異常に気づいたのは、地球連邦大学、宇宙物理学部長サイモン教授で、このままでいけば、1年後には地球上の全生物が生存不可能になり、3年後には太陽系が超新星化して消滅してしまう。地球連邦大統領に事態を信じてもらえなかった教授は、親友の司令長官に相談した。司令長官は事の重大さを覚 独断で、ヤマトを移住できる星を探すための特務艦として派遣するこ古代艦長としたヤマトは惑星探査用に改装され、宇宙に飛び立った。移住可能な惑星を発見しても、地球から1万5000光年以内になければ、移民船は到達できない。半径1万5000光年の球の内部に、しかも1年以内に地球全人類を受け入れられる移住可能惑星を発見しなければ、地球人類は滅んでしまう。
だが、古代たちのあせりを嘲笑するかのように、ガルマン帝国の艦隊は、ヤマトに攻撃を加える。一方、銀河系には無抵抗主義のある惑星があり、その宗教的ともいえる思想は銀河の約半分に影響を与えた。その惑星の王女は、それらの星星を精神的に統一していた。
Comments:
Eiichi Yamamoto: テレビシリーズの監督の話は、昨年の暮れごろからありました。今年の2月に正式に決定したので、シリーズの中心となるストーリーを西崎氏や豊田氏のアイデアをもとに、約200枚ほど書きました。これは、いってみればストーリーの原案みたいなものなので、細部に変更がないとはいえません。話数形式は、いまのところ、最低2話完結で、だいたい3話完結になっており、50話までの予定です。ただ2、3話連続といっても、1話ごとに一応話は終わるので、1のヤマト発進までとカ パート2のテレザード星での話のように、同じ舞台でひとくぎりと考えてもらえばいいと思います。画像面での特殊効果は、劇場用ほどはできませんが、SF的なふんい気が出るように、映像的な工夫をこらすつもりです。
Kenzō Koizumi: 今回は、各話作監という形式で、それぞれの作監のかたの絵の特徴を生かすことがひとつあります。原画にひとつの作品の作監をやれるだけの力量を持った方々が入っていますので、ぼくにとっては前にくらべてラクになると思います。ただ、登場人物が多いこと。しかもキャラとして、いままでのワキ役とは違って、ひとつのキャラで1話もたせることのできるようなキャラですので、ほかのキャラとのかねあいがむずかしいですね。今回やってみたいのは、人物のからみをねらってみたいですね。この部分は、いままで少し欠けていた部分であるように思えるんです。ヤマトのカッコよさ、新しい武器やテクニックは、ある程度に達するとコケおどし的な感じがするんです。ある意味でパ 1に戻ってヤマト内部の生活、あるいは人間関係を出していくつもりです。そのために、いままでなかったヤマト内部の設定も必要な部分が出ています。
Interviews:
Yoshinobu Nishizaki:
AM: 『ヤマトよ永遠に』も、ずいぶん入ったようですね。
Nishizaki: そう(配収)18億くらい。惜しくも前作『さらば宇宙戦艦ヤマト』はこえられなかったけど。でもね、『永遠に』が、希望、信頼などをテーマにしたメジャートーンの作品だったのにくらべ、前作はマイナーですね。他人のために命をかけられるというテーマのもとにみんな死んだでしょう。死が与える感動というのは、そりゃすごいですよ。
AM: 『死なさない』でも大ヒットしたということは、今後、何作でも作れるんじゃありませんか?
Nishizaki: そうかもしれないが、ぼくは『これを描きたい』と思わないと作らない。『ヤマトの最期』は作りたいと思っているけどね。
AM: えっ、大ニュースだ。いつですか?
Nishizaki: 82年に、『70』でやるつもり。ほんとうに最後のものをね(笑)。タイトルはまだ発表できない。
AM: うーん、考えただけで興奮します。では、テレビのPART・3のお話を。地球の所属するこの銀河が舞台とか…。
Nishizaki: そう、いままで銀河系の外に出るドラマばかりだった。で、身近な銀河系を忘れているんじゃないかと。でもね、スケールは大きい。10万×3万光年のこの銀河系の中心部から南に、デスラー大総統のひきいる3万光年くらいの大きさの星間連合国家・大ガルマン帝国があるわけだ(と、西崎氏は身を乗り出し、手近の紙に銀河系勢力分布図を書く。ドラマ作りにかける情熱がほとばしってくる感じ)。その北方には、その倍くらいの大きさの大ボラー連邦がある。これが勢力争いをしている。当然各所で戦闘がある。で、ガルマン側の撃った反陽子惑星ミサイル(仮名)が『流れ弾』となり太陽につきささり、太陽が急速に超新星化するというわけ。ここまでいえば、なぜヤマトが出動するのかわかるでしょう?
AM: …いや、SFに弱くて…。
Nishizaki: ファンの人ならわかるんだけどな(笑)。ようするに超新星化した太陽は大膨張し、大爆発する。
AM: やっとわかりました(笑)。で、地球が危ないというわけ…。
Nishizaki: そりゃ危ないどころじゃない(笑)。太陽爆発まであと3年。が、地球に住める限界があと1年。365日しかかない。そこで、第2の地球をさがすため、ヤマトは『天の川』を目ざし出発するというわけ。
AM: また恥をかきそうだけど、なぜ『天の川』を目ざすんです?
Nishizaki: 天の川というのは、地球から見て一番星の多い方向でね。
AM: 第2の地球のある可能性が高い方向というわけですね。
Nishizaki: そう、そして、その方向からは、大ガルマン帝国軍がやってきている…。
AM: なるほど、じつにムリのないしっかりした設定で、しかもロマンを感じさせるものですね。
Nishizaki: 当たりそうでしょう(笑)。
AM: これはいけますねえ。で、ファン待望のデスラーの登場は?
Nishizaki: 4話くらいでその影をあらわし、13~14話くらいで本格的に登場する。デスラーはね、『国家は滅びるとも民族は滅びず』と、銀河系にちらばっているガルマン民族をたずね歩き、それを基礎に大帝国を築き上げている。
AM: どこにいるんですか?
Nishizaki: ガラミスとよく似た2重連星『新たなる故郷』と呼び、そこにいるのだが、彼の大宮殿からは、もうひとつの星が見える。それに『スターシャ』と名づけていてね? 『スターシャ、キミをこよなく愛していたのだよ』(このとき西崎氏はデスラーそっくり。)と呼びかけるんだな(笑)。
AM: 西崎さんは、デスラーがお好きなんですねえ。
Nishizaki: うん、こよなく愛しているよ(爆笑)。
1981
January
The Anime [pg. 30-37]



して、囚人たちを排除した。古代は、バルスキーに、囚人たちを殺さぬように要求した。しかし、ちょうどバースを視察に寄港したボラー首相、ベムーリンは、囚人たちに死刑の判決を下したのだ。それを抗議した古代たちを、ベムーリンは「ボラーに敵対する者たち」と決めつけ、バースごとヤマトを破壊しようとかかった。ボラーの大艦隊から、惑星をも破壊する巨大なミサイルが発射される。間一髪! ヤマトは巨体をひるがえすと、ミサイルをかわした。しかしミサイルの行手にあったバースは、囚人たち、そして味方であるはずの警備隊もろとも、白熱の球体と化していた。味方をも平然と殺すボラ連邦――その恐ろしい考え方をする強大な軍事力は、ついにヤマトを地球を、敵としてしまったのだ。ヤマトは、ベムーリン艦隊がヤトに嘲笑をあびせて去った後、星域へむけて発進した。の航海は、ボー、ガルマン・ラスと、ふたつの敵の待つ危険な旅路なのだ。ヤマトよ何処へ!!
デスラー、ついにヤマトと接触
バースでの危機を逃れたヤマトは、再び銀河系の中を、新しい地球をさがしてさすらった。しかし、ガルマガミラスの将軍、ガイデルは、デスラーの歓心をかおうと、ヤマト美しい地球の征服を企てていた。デスラーもまた、ガイデルのねらう星が、友情を交わした古代の故郷、地球とはつゆ知らず、その侵略のために、新鋭艦隊を増援させていた。ガイデルは、異次元断層を人工的に作り出し、その中に姿をかくして敵に迫る次元潜航艇を配備し、強敵ヤマトに備えていた。次元潜航艇隊の司令は、フラーケン。ガルマンウルフと呼ばれる、歴戦の強者だ。フラーケンは、配下の潜航艇をひきつれ、ヤマトを探索して宇宙へ発進した。レーダーにも探知されず、隠密行動がとれる次元潜航艇は、ついにヤマトを捕捉した。突然、前方の宇宙がゆらぎ、魚雷群がわきあがるようにヤマトに迫る。その不可思議な攻撃に、古代たちはあわてた。その時、土門が、第1艦橋に飛びこんできた。何もない空間に、潜望鏡が見えるというのだ。古代は、土門を、戦闘補佐に任命した。いよいよ土門竜介の戦いが始まる!!
★デスラーと古代・出会いのシーン
①2人が出会うきっかけは?を推理する!! 第14話で、ヤマトはガイデルの放ったガルマンウルフこと、フラーケンの潜水航艇に攻撃される。そして、その後方で戦況を見つめるのは、九州ほどもある巨大な要塞から、フラーケンに指令を発するガイデルだ。この強力な敵には、ヤマトといえども、無傷で勝てるとは思えない。未確認ながら、ヤマトはガイデルに捕えられ、デスラーパレスへ連行されるのではとの情報が入っている。
②では、デスラーは古代の敵なのだろうか? デスラーは、まだガイデルがねらう星が、地球であることを知らない。また、デスラーにとって、地球という星は、不思議な友情を感じている古代の故郷だ。ガルマン・ガミラス民族が、宇宙を征服しようとも、地球にだけは手を下さないデスラーは、こう考えている。つまり、ヤマトは、ガイデルの独断で捕えられたわけだ。だが、現在、ボラーとの戦争を継続しているデスラーと、宇宙の平和を願うヤマトの乗組員の間に、何らかの行き違いが起こる可能性はある。その時、デスラーは、そして古代はどうするか?
③伝説の星シャルバート”とは? バースの囚人が信仰するマザー・シャルバート。それは、銀河系に古くから伝わる平和の女王だ。この伝説は、ボラーにも、ガミラスの統治前のガルマン民族にも伝えられていそして、その娘といわれる”ルダ王女”をめぐって、ヤマトは大きな戦いにまきこまれるらしいのだ。
ガルマン・ガミラス帝国は、旧ガミラス残存軍と、その同種族にあたるガルマン民族でなっている。長い間、宇宙をさすらったデスラーは、昔より銀河にあったガルマン帝国を統合、自らその総統となった。そして、この広大な銀河系を、栄光の民族、ガルマン・ガミラスの手中にするため、各方面に優秀な将軍による一大軍団を派遣したのだ。その勢力は、大きく4つに分けられ、東部、西部、南部、北部の各戦線を4人の将軍が指揮している。その4戦線は、すぐにボラー連邦の国境に接し、この2大強国間に、宇宙空間を舞台にした全面戦争が起きてしまったのだ。
Interviews:
Kazuhiko Udagawa:
デスラーと古代の出会いは、第1話が予定されているらしい。その作画監督、宇田川さんにインタビュー。
TA:「ヤマトⅢ」 前半の山場、デスラーと古代の再会を作監されるそうですが。
Udagawa: 実は「ヤマト2」でも、デスラー対古代の対決をやってましてね。寄しくもまた“再会”のシーンを描くことになりました。因縁ですかねぇ(笑)。どうお考えですか。
TA: 宇田川さんは、デスラーというキャラクターを、
Udagawa: 好きなんですよ。デスラーは。
TA: と言いますと?
Udagawa: 絵もそうなんですが、アクションも派手ではないし、渋い芝居といった感覚が、生理的にあっているんでしょうね。また、”悪”といっても、品がありますからね(笑)。同じ”ワル”でも、品よく仕上るデスラーのようなキャラは好きです。
TA: さて、今回ファンが一番気にしていることなのですが、デスラーと古代は戦うことになってしまうのでしょうか。
Udagawa: さあ、実はまだ「ヤマトⅢ」という物語の上での、デスラーの位置を聞いていないのですよ。また前作(ヤマト2)から、どうつながってくるのかもわからないのですが、結果的には“対決”してしまうでしょうねェ。
TA: やはり?!?!
Udagawa: お互いに色々ありますから、しかたなしにーといった感じですが……。すると第16話は、最も重要な話の導入部になりますね。
Udagawa: ええ。デスラーがはじめて、ドラマの流れの中に、完全に入りこんでくる話ですからね。でも、さっきも言ったように、僕自身、デスラーが好きなので、楽しんで、そして、ベストに仕上げるつもりです。
TA: ありがとうございました。期待しています。
