1979
May
Animage, for Galaxy Express 999
アニメの演出で、なんといってもだいじなのは絵コンテなんです。極論すれば、絵コンテ作業が終わっちゃえば、その作品の終わりということもいえますね。あとは、作画の人の持ち味ですし。今回ですか。去年の暮れからはじめたから、2か月ちょっと、いままでにない時間のかけ方だと思っています。
1981
May
AM interview for Adieu Ge999
AM. 今回、なぜ制作されるのか。そ の理由、テーマをお聞きしたいので すが..。
Rintaro. その後〟の鉄郎を描くという ことですね。つまり前回はああやっ て母親に死なれ、そしてメーテルと も別れたひ ひとりの少年が、やみ でどっちにいったらいいか い八方ふさがりの状態にあったわけ です。けれどそのまま、ただ呆然と 立ちすくんでいたって意味ないだろ う、しょうがないだろうと、とにか くどっちへ向かってでもいいから、 とにかく走りだすのが少年なんじゃ ないか・・・というところで前回は終わ っているわけです。ですから、やは り それに対して、じゃあ走って 先とはなんなのかを見届ける必要 あるんじゃないか それが、 わ れわれ制作者の誠実さだと思うんで すよ。 とにかく走らせてみた。けれども、 鉄郎の走っていく先がまちがってい かまちが ていないか、い てみ ればこれはだれにも否定もできない し、決められるものでもない。 その走らせた先に、じゃいったい 何が待ちかまえているのか。それに 対して、少年はどう立ち向かってい くのか。そこだけでも興味をもって 見てもらえばいいと思うんです。 そういうことは、だれにでもあて はまる部分があるはずで、たとえ、 これがアニメーションであってもね。 見る側にとってどこかやはりダブっ ていく部分があると思うし、いや鉄 郎はああいう生き方をしたけれどオ レは違うっていうのもあるし、それ はそれでいいと思う。 あとは楽しんで見てもらえればい いんじゃないかということですね。 そういう意味で、前作のもっている エッセンスっていうのははずしては いないので、楽しみにして下さい。
AM. 走り出す少年、鉄郎を描くとい うことですが、どのように演出しま すか。前作では少々暗い影を引きず っていたように感じましたが……
Rintaro. まあ、こんどの鉄郎も前の鉄 郎もそうは変わりませんね。暗さと いう部分だけでいうと、やはりそう いう部分はあると思う。それは、じ 回避できないのかとぼくも思い ますが、やはり少し暗い。つまり、 銀河鉄道999というひとつの世界 を構築している主題に、機械化人間 とそれに対する生身の人間のはかな さみたいなものがあるわけです。そ れは原作者のひとつのモチーフでも るし、それにはやはり、ある種の 暗さがある。それは回避できないと 思う。ただ、決して暗いほうがいい というわけではなくて、明るくして 浮いてしまっては意味がないと思う からなんです。
AM. では、最後の銀河鉄道を作るに あたって、ファンへのメッセージを お願いします。
Rintaro. 前作の最後のシーン、メーテ ルと別れて999を見送ったあと、 未練を吹っ切って走っていく鉄郎の 後ろ姿に、自分の生き方・ おしは じめるという意味”を表現したつ もりです。そこにいろいろな意味で 『戦う』ということが当然、投影さ れてくるとぼくは思います。機械化 人間をとおした文明批判もさること ながら、ひとりの少年がそのなかで どう反応していくか、その結果どこ へ行こうとしているのか。それが制 作者全体の重要なメッセージになっ ています。こういったところをでき るだけすがすがしく描きたいですね。
AM. ありがとうございました。 多く のファンが期待している作品ですか ら、ガンバって下さい。
