My Anime #01 (April 1981)

pg. 9-17 JUN by Shotaro Ishinomori

pg. 23-30: Anime Star Graph – Toru Furuya (by Kyouko Kosaka)

pg. 31-42: Mobile Suit Gundam

pg. 44-45: B&B 4-coma (Yuji Amemiya)

pg. 49-54: Space Runaway Ideon

イデオンを 終えて… (Comment from Yoshiyuki Tomino)

イデオンで思うことは、前半でのもた つきに対して、自分としては大変大きな 反省があるということです。途中で軌道 修正をしなくてはならない時期が生じ、 そのような作り方をしたことに悔しさを 感じています。 しかし、秋口から一月いっぱいまでの ものに関して言えば、初め考えていたも のだけでなく 作品自体が作 ってくれた人 物像ができ、 そうしたもの に関しては、 正直それなり にうまくいっ たと思ってい ます。 また、一番 気にしていた ガンダムとい う作品との比較で言えば、キャラクター 論、あるいは作品全体の雰囲気が、ガン ダムとの違いをはっきり打ち出すことが できたのではないかと思っています。 そして、ガンダムとは違った意味で、 僕だけでなくスタッフの力が十分に発揮 できたということは、僕およびスタッフ が、今までのアニメ作品とは違う力をつ けたと言えると思います。 つまり、イデオンという作品に、もっと色 色な意味で成長していける要素を、僕自身見 つけだすことができたし、若いスタッフたち が「ああ、こういう作り方があるんだ」とい うことをわかってくれたということです。 と同時に、声優さん各人が、イデオンのい い部分も悪い部分も含めて、クセみたいなも の、こういう臭い作品があるということをわ かってくれたことは、今後、次の作品を作っ ていく上で、大変な力になるのではないかと 思います。 そうしたスタッフが集まり散っていったわ けですが、以上の理由で、将来、イデオンと いう作品が作られたことに「意味がなかった」 というレッテルを張られないですむだろうと 思っています。その意味で、僕にとって ガンダム以上に愛着を持てる作品ができ たと言えます。 そして、作品の中に、チームワーク総 体で作り上げたということを実感させて くれるものがあり、そういう作品に自分 も関与できたことを、強がりでなく心か らうれしく思っています。 この間、イデとは何かといったことを よく耳にしましたが、イデとは絶えず繰 り返していく力の象徴なのです。人とい うものは絶えず生まれ変わるだろうと思 うのです。その象徴としてのものがイデ であり、それ以上でもそれ以下のもので もないのです。 イデオンという番組が存在したこと自 体、やはりイデがあったからと言えるわ けです。もちろん、SF考証的にとらえ ていくと、ものすごく理屈に合わないこ とかもしれません。しかし、もっと簡単 に言えば、イデとは生きている人全体の 心意気みたいなものだと考えていただけ れば、イデの意味は、シリーズ全体の中 で表せたし、ご理解していただけるので はないかと思います。 このような作品を作る機会を与えて下 さったスポンサー、代理店、局、制作会 社の関係者の方々に、心からお礼の言葉 を申し上げたいと思います。

コスモとキッチンそしてカーシ

揺れ動く運命の中で、い つもの愛が芽生え、育ち、 そしてあるものは破局を迎 え、あるものは消えていっ た。しかし、主人公である コスモは唯一人孤独であり、 愛をはぐくむのが不得手だ ったのではないだろうか。 惑星キャラルで出会った キッチンとはあまりに短 そしてカーシャとはこれか らだったのだから。 「私にとっては、初めてのレギ ュラー番組ということで、忘れ られない作品であり、それにカララが こよなくかわいかったんです」 (戸田 恵子さん) そう、ジョリバに「ベス より先に口説くんだった」と言わしめ たカララは、かわいい女だったのだ。

モエラとラポ

この二人の物語 は、「イデオン」 の中でも我々にとって 身近な素朴さを持ち、 美しく、そして悲しい TVには描かれなか ったが、モエラがラポ ーへのプロポーズを練 習するシーンがあった。 ボツになったモエラの 独白をひろってみよう。 そこにはおかしさとと に、かわいい男の姿 が目に浮かぶ。 「ラポー、結婚してく れ…駄目だ、唐突過ぎ る…… ラポーさん、 この戦いが終わった ら、俺と一緒になっ てくれ・・・・・・」

ギジェとシェリル

声の出演者が語る二人「好感の持てた奴」(林一夫さん) (Comment from Kazuo Hayashi)

「ギジェは直情型で融 通がきかなくて、要領 も悪いけど、いい感じ の奴だったんじゃない かと思います。前半で は、どこかで怒りを押 さえ、蓋をしているのだけれど、怒ってい る…という感じで演じ、後半では感情を表 に出さず少し受け止めるようにしてみましたが、そ うしたギジェの変化がみなさんに伝わり感じ取って いただけたならばうれしいのですが…」

「嫌な女」(井上瑤さん) (Comment from Yō Inoue)

「シェリル っというの は本当に嫌 女の典型 で、こうい う人とはお近付きにはなりたくな いなという感じでー。でも彼女の 嫌な部分には、ああいう風に生ま れてしまった悲しさというのがあ るんじゃないかしら。 決して、自分 で望んだのではないのに、気が付い たらなぜかしらそうなっていた 自分が嫌われているな、他の人と違 うなと気付くのだけれど、どうして いいか分からない。そういう悩 み方をしている人って多いんでしょ うね。とてもよく分かるというお手 紙もいただきました。そういう意味 では、非常に実在感のあるキャラク ターであったと思いますね」

ダラムとハル

「ハルルのよう な役柄は、私が持って いる殻を打ち破ってい かねばならない深さを 持った役でした」(ハル ル役の麻上洋子さん) 恵まれた育ちと優れた能力ゆえに 女としての幸せを失くしたハルル。 そんな彼女が、ダラムとの再会の中 でわだかまりを捨てきれなかった時、イデは 二人を見捨てたのだろうか。 そしてダラムの思いは、その最後のメッセ ージが、 やすらかな笑みとともに語ってくれ た。「何から話そう…兄妹のように育ったあ のバッフ星の森林からか・・・あの頃の 私も若かった…女であるハルルの戦 闘能力に嫉妬していたところもあっ …ハルルの女の本質を見抜けぬと ころがあった・・・若かったのだ…」と。

pg. 55-59 : ’81 Anime Wars

Covered series (Commenter):

  • Jarinko Chie (Tetsuo Katayama)
  • Furiten-kun (Taku Sugiyama)
  • Doraemon: Nobita no Uchuu Kaitakushi/Kaibutsu-kun: Kaibutsu Land e no Shoutai (Souichi Besshi)
  • Ojamanga Yamada-kun (Tadami Watanabe)
  • Unico
  • Swan Lake

pg. 60-65: Kami Densetsu Sadamoebius #1 (Ippei Kuri)

pg. 67-73: Anime Roundtable Discussion: Leiji Matsumoto and Studio Nue

Roundtable Participants:

Leiji Matsumoto
Kenichi Matsuzaki
Kazutaka Miyatake
Shōji Kawamori
Yuki Shimoyama
Tomoko Suzuki

不死鳥「宇宙戦艦ヤマ ト」―元祖ヤマトは アステロイド6

Shimoyama. 松本先生とぬえ”の出会い の作品はなんだったのですか。

Matsumoto. 「宇宙戦艦ヤマト」だね。

Miyatake. そのあと「ハーロック」「999」 でも…。 あと細かいもので 少しありますね。

MA. ぬえ”の方々はデザイン を依頼された場合、松本先生のイメ ージを図形化するのにどういった苦 心をしておられるのでしょう。

Miyatake. 先生がふだん作っているデザ インの中から、先生的要素というの をピックアップする作業が一番大 変です。たとえばヤマト側とガミラ ス側とは根本的にデザインを変える 必要がありますが、それでいて両方 とも先生の世界に入って不自然であ ってはならないわけです。

Suzuki. “ぬえ” の方々は、松本先生 の世界をどう見てますか?

Miyatake. 非常に美術的な世界です。

Kawamori. 世界観がハッキリしてる。

Matsuzaki. というか、完全に個人の世界 なのね。

Miyatake. だから先生が前面に出てくれ ば、ふみはずしというのは絶対にな いですよ。

Suzuki. ところで、メカ設定の場合は やはり動かす時の ことを考えて設定 するんですか?

Miyatake. 本当はそこ まで考えなくちゃ いけないのですが。 理屈より何よりも、 動かしておもしろい もの、格好つくもの、 ということでやらなけ ればね。人物と同様、 カもキャラクターだと いうことなんです。

Suzuki. 私も少しアニメを やってるんですが、すぐ 逃げたくなるんですよね、 メカは(一同笑)。

Matsuzaki. ま、〝ぬえ”なんかは その点、アニメーター泣か せなんですよ。

Matsumoto. 私もそういう点では、 みなノイローゼにしてまわっ てるね。

Suzuki. ええ、999号の動きな んかもう大変なんですよ。

Matsumoto. ただね、私のデザインの 基本というのは、まず見てもっと もらしく迫力があり、デザイン的 に破綻をきたさないこと。だから 動きを多少犠牲にしても、あえて右 と左を変えたり、ムードに流れるほ うなんですよ。 松崎さんとこは違う ね。動かし方については、かなり厳 密だよ。

Shimoyama. そうしますと「ヤマト」の場 合の設定は・・・・・・。

Matsumoto. “ぬえ”にはね、いわゆるア ニメとは少し違って、デザイナーと してのデザインの総まとめをやって もらったの。ただ、艦内の通路だと かハッチとかにつ いては、イメージ とデザインの傾向 を指定しておまか せしたような記憶 があるけど。トイ レにしても、艦が 一回転してもトイ レだけが自在球み たいになってジャ イロで動かないと か….。

Miyatake. ま、トイレは、ちゃんとセル までできて撮影もしたんだけど放映 されませんでしたね。島が入って、 身をブルブルっとふるシーンまであ ったんですよ。

Shimoyama. わあ、それはぜひ見たかった なあ。ヤマトの艦内生活って、あん まり多くは出てないですものね。

Matsumoto. ウーン、長さの関係です。作っ てはあったんだけど、そういう場面 は極端に少なくなっちゃった。

MA. ヤマトの場合、実際の大和 がありますね、それをどのように宇 宙戦艦ヤマトに写したのでしょう。 宮竹 実物の大和、あれ横巾が非常 にあるんですよ。

Matsumoto. タライみたいなね。

Miyatake. ところが、大和の写真という のは横からだけしか写されてません から、もうひたすらスマートで実に きれいなフォルムに見える。だけど 実際は、防水区画と魚雷用の耐弾装 甲との関係で脇に非常に大きなバル ジがあって、世界中例をみないほど 巾の広い戦艦になっているんです。

Matsumoto.それを宇宙戦艦にするときは 万人が大和に持っているイメージを こわさないようにと。我々はあの時、 と改良を加えた。 大和のコンバーシ ョン・モデル、改 良モデルというふ うに言ってたんだ よね。だから、あ くまでも基本型は 大和のシルエット を活かし、なおか 空を飛んで三六 ○度まわりから見 てもおかしくない ようにデフォルメ

Shimoyama. そのヤマトですが、戦艦大和 を宇宙へ飛ばす発想は一体どこから きたんですか?

Matsumoto. 「宇宙戦艦ヤマト」というタ イトルと企画書は、西崎氏のところ にすでにあったんです。

Miyatake. それは、松本先生が関係する 一年前から話をおこさなければ・・・。

Shimoyama. じゃあ、その頃からもう 「宇 宙戦艦ヤマト」というアニメを企画 してたわけですか?

Matsuzaki. その頃はヤマトじゃなく 「ア ステロイド6」という名前で、 え〟の前身である”クリスタル・ア ート・スタジオ”もかんでいたんで す。こちらはアステロイドをくり いて、それをいろいろ中で作りあげ から飛ばして、周りのアステロイ ドの岩が吹き飛ぶと戦艦の格好をし ているというシロモノでね。これを アチラの要望にこたえて、だんだん デザインを変えていったら、長門と いうか日本の戦艦に近くなって。そ の間に、制作にあたるはずだった虫 プロがつぶれちゃって一年間空白が あったわけですよ。それからアカデ ミーが松本先生のところへ行って、 企画が別に練り上げ直されて、もう 一度ウチに話がきたわけ。

Miyatake. 戦艦だったら大和じゃないか ということで。

Matsumoto. まあ、武蔵大和かっていえ ば、名前の通りとかで確かに大和の 方が……。 ただ、正直いってこの話 が来た時「なんで俺が大和を」と、 そういうためらいがあったことは事 実。大和というといろいろな思いが かぶるんで、扱い方が難しいなと思 いましたよ・・・・・・。

Shimoyama. それはやはり、先生が本物の 大和の最後を知っておられるから?

Matsumoto.ウン、知っているというか、 現実に大和は二千か三千の遺骨を抱 いたまま、まだ引き上げられていな いし、御遺族の方たちだっていらっ しゃる。そうしたことを考えた場合、 この問題は、配慮に配慮を重ねて軽 率に扱うべきではないと思った(一 同、神妙な顔つきになる)。だから絵 コンテか台本の段階で遺骨の問題を 取り上げていたのだけれど、カット されちゃった。本当はそういう問題 こそ、きちんとやらなければならな いんだよね。ま、それで、あそこま でやりながらいまひとつ心理的に歯 切れが悪くて……………。といっても、こ れはあくまでも内容そのもののこと でね、デザインとか、そういうこと は別ですよ。

アルカディア
テレビと映画、形が違うそのわけ は――マッコウクジラ型誕生秘話

Shimoyama. 先生の作 品にはハーロッ クっていう名前 がよく出てきますね。

Matsumoto. ハーロックというのは、今現 実に使っているキャラクターの中で は一番古くてね。ただ、アニメの場 合 「ハーロック」と「999」とい うのは、松崎さんはよく知ってるけ ど、企画書の原形を作った時は「9 99」を先に書いてあったわけです よ。

Matsuzaki. それで「ヤマト」作った直後 だったし、いくらなんでも「999」 ではなじみがないというんでハーロ ックの名前が先に出ちゃった。

Shimoyama. ハーロックっていう名前は、 なにか出典でもあるんですか?

Matsumoto. 出典は秘密結社の合言葉。ハ ーロックといえばハーロックと返っ て。〝開けゴマ”と同じことだよ。 原形ではキャプテンというのは、艦 長じゃなくて大尉の意味だった。

Shimoyama. ああ、陸軍の。

Matsumoto.そう。だからハーロック大尉 だったわけ、一番最初はね。

Suzuki.ハーロックの故郷、ハイリゲ ンシュタットというのは?

Matsumoto. 北ドイツとウィーンの郊外の 二カ所に、まったく同じ地名が実在 してます。本来の場所は北ドイツで、 今の東ドイツ領内にある。またの名 をアルカディアといってね。それで 船の名前をアルカディアにした。

Shimoyama. アルカディア号も”ぬえ”の 方々がデザインしたのですか?

Matsumoto.「999」の時を両方ともそ う。イメージとラフをして、協議 して作ったんたよね。

Shimoyama. アルカディア号の特徴ってい うのは後部のたいなところで すが、 あれの発想はどちらが?

Miyatake. あれは松本先生。

Matsumoto. 海賊船だからね。大海賊とい うと、あのキャビンがないことには おさまりがつかないもの。

Suzuki.先生は海賊がお好きみたいで すね。

Matsumoto. 子供の時から八幡船が好きで 中学生の頃は、よく海賊のマンガを 描いてたっけ。昔の映画には海賊も のがけっこうあってね 「地獄の奴隷 っこうあってね「地獄の奴隷 船」なんかの影響を受けたみたい。

Shimoyama. アルカディア号は、映画とテ レビで形がだいぶ違いますね。

Matsumoto. 映画の時は、テレビ版のアル しようということ カディア号 で。あの時の質武さんだっけ。

Miyatake. ええ、アルカディアに関して は全体的に僕で。前のデザインが いまひとつアニメではなかった ですものね。

Matsumoto.テレビで放映されてみたら、 寸づまりになってね。

Miyatake. あれは、アルカディア号とい うのが、僕個人としては大気中を飛 ぶ宇宙船のイメージが強かったんで す。それでひと思いに、アルカディ ア号は、ヤマトなど今までの宇宙船 と根本的に違った広大な翼をくっつ けてやろうという意図があったんで すよ。 ところが..。

Matsumoto. ウン、翼がやたらに巨大にな って、真下から見た構図ではブーメ ランというか、凸の字が動いている ような異様なことになっちゃった。 まあそんなわけで、全長を伸ばした。 それと「999」の内容で、都市を 頭で押しつぶしてけちらしながら行 くというのがあったため、頭に重量 感を持たせて、あのマッコウクジラ みたいな格好に変えたんだよね。

MA. テレビと映画で色が違いま すけど。

Miyatake. ええ、まあいろいろとありま してね..。

Matsumoto. 本来、船というのはぬりわけ るものじゃないですよね。それで、 戦艦というのはごく同系色の色でう ずめるというイメージで、映画では 色を変えたんです。ま、テレビと映 画じゃ予算がまるで違うから、手を かけられる。「ヤマト」の時に、ガ ミラス艦をまだら迷彩でやろうとし たら、動かせないっていうんで一色 になったけど、「ハーロック」では エメラルダス号をまだらで動かして みせた。やってやれないことはない んですよ。手間の問題で。

本物を知ってればホラ のつき方がわかるー 研究は趣味で楽しく

Shimoyama. 松本先生のメカの内部は、丸 いメーターがやたらに多いですね。

Matsumoto. あれは完全な趣味の問題で。 四角いのもたまには使うけど(一同 爆笑)。これは私が飛行機狂なんでね。 クルマを買うときもメーターが四角 いと買わない。

Suzuki. じゃあ、先生がお好きなクル マは?

Matsumoto. ベレット1600GT、これ なんか丸いメーターの行列。前のク ルマはこれだったけど今はスカイラ イン。昨年の暮れに、家の鉄柱にぶ つけてバンパーがへの字になっちゃ ってるんだなあ(一同唖然)。

MA. アルカディアやヤマトのブ リッジが出っぱっていますけど、そ れまでああいうのはなかったですよ ね。相当新鮮でしたよ。

Matsumoto. あれもまた、ひとえに私の好 みでしてね。じつは、戦艦とか空母 の資料が極端に少なくて、映画なん か見た記憶で再生するしかなかった んですよ。戦艦の本自体はたくさん 出てるけど、ブリッジ内部の写真て のはほとんど無いですね。

Shimoyama. それじゃ資料は映画だけ?

Matsumoto. ウン。でもイメージっていう のは拡大されてしまうんでね。実際 のものよりも8畳敷的に広がってい くわけ。だからヤマトがあんな大艦 橋になってしまう。

Miyatake. ぬえ”お得意の倍数効果と いう言葉を生み出すことになるんで すよね。実際に入 らないサイズの中 に、視覚的には入 れてしまうという やつです。

Suzuki. 作品を作るた めの資料集めは大変 でしょうね。

Matsumoto.かかってから資 料を集めるっていうの は非常に苦しいね。 時 時だけど、せっぱつま って持ち出したあとで資 料をあさる騒ぎがある。 これは研究する時間がな いため、非常にストレート 資料が出てしまう上、生 煮えになってしまって。だ から日頃趣味として、勉強じ ゃなくね、楽しく知っておか ないと仕事にならないですよ ね。

Miyatake. ま、多少のかたよりはあ るけど、出てるニュースとか本 とかは買いあさって暇さえあれ ばめくってますね。金はたまり ませんけど(笑)。資料といえば、 最初のヤマトの時スタジオで、オ シログラフのコピーを提供されて あれは圧倒的だった。

Matsumoto. あれは某社の友人に頼みまし てね。実物はこうだから、こうやっ てれば間違いなかろうってことで。

Matsuzaki.とはいってもね、そのとおり うまくいかなかったり(一同爆笑)。

Miyatake. メーターの数が半分に減って しまったりね。

Shimoyama. 僕の仲間のSFマニアの間で は“ぬえ”っていうのは、機能を一 番においてデザインしていくのだと 評価されてるんですが。

Miyatake. それは迷信です(笑)。

Shimoyama. えっ、迷信なんですか。

Matsuzaki. それは、だいたい考えればわ かってもらえると思うけど、あり得 ないものを描いてるのに機能ばかり 追いかけてたら実物が作れちゃう。

Suzuki. すると、メカのデザインや設 定で実際には無い架空のもの、ああ いうのは自分の想像だけで描いてい くんですか?

Miyatake. ですから、まったく架空のも のを作る場合には、現実が踏み台と なるわけ。何もないところからはも のは発想できないでしょう。

Kawamori. その分、理屈も解釈しておか ないと、松本先生も先程おっしゃっ たように、資料がモロに出てしまう というか、全然新しいアイディアがつ け加えられないで出てしまう。(これ まで、じっとみんなの発言に聞き入 り、その一つ一つを吟味していた感 の河森さんが発言に加わる)。

Matsumoto. 知らない世界では、ホラを吹 くと不安があるわけ。ホラがホラに ならなくなるものね。

Shimoyama. ハインラインの宇宙の戦士” のパワード・スーツ。あれも架空な わけですが、でも、もしできるとし たらやっぱりあのデザインしかない んじゃないかって気がするんですけ ど(真剣な表情で)。

Suzuki. そうね。動きの機能や守りの ことなんか、とてもよく考えてある みたい。

Miyatake. パワード・スーツに関しては 僕も加藤も松崎 も、当初からひたす ら作品自体にほれこんでいたから。 あれは作品にまとめる以前に、ブレ ーン・ストーミングを二年ぐらいや ったし。

Shimoyama. そういうのは、松本先生のア ニメにも活きているんですか?

Miyatake. ヤマトにしてもアルカディア にしても、細かいとこのこだわりっ ていうのはずいぶんやってますね。 機首にバーニア・ノズルがくっつい てるでしょ。

Matsumoto. たとえば照準器。 照準器とは あんな格好をしている、というのを 持ち出したのはあれが最初だった。

Kawamori. 結局、本物を知ってればホラ の吹き方がわかるという形で・・・・・・。

Matsuzaki. どっかでふざけて書いてあっ たけど、摩訶不思議な力で飛ぶ、そ れだけはなしにしようということで ね(一同大爆笑)。

フランスで大人気ーキャプテン・ アルバトーレことハーロック

Shimoyama.先生のアニメは、だいぶ海外 へも出てますね。

Matsumoto. フランスでは「ハーロック」 が「アルバトーレ」というタイトル になってね。なんでもむこうに「キ ャプテン・ハードック」っていうの があるんだってさ。

Suzuki.ハードックなんて、ハーロッ クがなまったみたい。

Matsumoto. ただ「ハーロック」は、受け 入れられ方は大変スムーズだった。 アメリカ人にしろヨーロッパ人にし ろ、たいてい先祖に海賊がいるって わけですね。だからむこうには「アル バトーレ」があるんですよ。本屋に。

Suzuki. おもしろいもんですね。

Matsumoto.その他には「999」 「ヤマ ト」「スタージンガー」、みんな放映 されてますよ。

Shimoyama. そういえば、英語版のパンフ レットを見かけたことあるなあ。

Matsumoto. アニメもちょっと前までは、 ずいぶんいい加減に扱われてね、ヘ タをすると外国人の名前が作者とか 監督の位置に座っているような改編 のされ方で放映されているのが多か った。ただ、この頃はそこらへんが 厳密になって、作者自身の肉筆のサ インが無いと契約書がなりたたなく なってきたんです。だからこれから は外国で放映された「ハーロック」 でも、日本人が描いているとわかっ てきますよね。

Shimoyama. そのために、先生が初めて横 文字でサインをなさったとか。

Matsumoto. ウン、どうすりゃいいんだろ うか、日本語でいいんだろうかって いったら横文字でっていうんで。 ア ラビア語みたいになったけどね。

Shimoyama. アメリカでは、ヤマトの名前 も変えられたんですか?

Matsumoto. ウン、戦艦なんだったかな。 ゴーゴン、ゴーゴン(つぶやく)。

Shimoyama. まさかミズーリじゃ(笑)。

Matsumoto. だからヤマト作る時にね、ソ 連へ持っていけばポチョムキン、ド イツならビスマルク、アメリカなら ミズーリとかアイオワになるように 作ったらどうだと話をしてたんだけ ど。ま、これからは輸出のことも考 えて、外国の国民感情とか民族感情 を充分配慮してかからないとね。

SF感覚の差異歴然― 鉱石ラジオ世代とテレ ビ・ゲーム世代

Shimoyama.先生も”ぬえ”の方もSFの ファンだと思うのですが……。

Matsumoto. 私は単純な意味でのSFマニ アでね、ごく単純な。

Miyatake. 僕なんかは、本当の意味での SF世代でしょうね。SFを知り始 めた頃が物心のつき始め。

Kawamori. もう僕なんかになると、それ に感化されて純粋培養になってる。

Matsumoto. 世代が違うんだね。私なんか 二枚羽根の飛行機を現実に見て、B2 を現実に見て、シューティング・ス ターが初めてドロップ・タンクを翼 端につけて飛ぶのを朝鮮戦争の時に 目撃して、という具合に順番にそれ らを見てるわけ。だから私らがSF として憧れた世界と、今の若い人が すべてそういうものを過去のものと してある上に組み立てていく世界と は、えらい違いがある。

MA. 二〇代、三〇代、四〇代の 差異でしょうね。

Matsumoto. 歴然ですね。まだ鉱石ラジオ なんてものを組み立てて喜んでた世 代と、ビデオだテレビゲームだとい う世代とではねえ。

Shimoyama. ズバリ子供の頃、一番おもし ろかった、影響されたSFは?

Matsumoto. 映画だったら「宇宙戦争」が おもしろかった。見に行った時に非 常に感動しましたなあ。それに「禁 断の惑星」 なんかね。これを見たの は高校の時だったかな。

MA. 「禁断の惑星」のロボット なんかはアナライザーに……。

Matsumoto. イメージ的な影響はあります ね。いわゆる役柄としてね。

Miyatake. 僕は宇宙の戦士”ですね。 この世界にひっぱりこまれた映画は 「2001年宇宙の旅」。 ここに僕の 世界があると思ってしまったのがウ ンのつきですね。

Matsuzaki. 僕もだいたいそんなもの。

Kawamori. 僕になると完全なアニメ世代 になっちゃう。 ヤマト世代。

Shimoyama. 先生、この頃はどうですか。

Matsumoto. この頃は、見たり見なかった り。ますます手がこんできましたな あという感じ(一同笑)。善し悪しは 別にしてね、ひと理屈こねないとす まなくなってきたんで非常に苦しい と思うんですよ、両方が。 作る方も 見る方も。

MA. 松本先生の作品のサーベル ね、あれは切れるんですか?

Matsumoto. まずコスチュームの一部分と してデザインしたけど、武器の機能 として、理屈をつけろといわれれば どうにでもつけられますよ(笑)。

Shimoyama. 「ガンダム」のビーム・サー ベル、あれは「スター・ウォーズ」か らきたんでしょうか?

Matsuzaki. あれはどっちかっていうと、 プラズマトーチだよね。

Kawamori. 光るサーベルというと「海の トリトン」があるし、はるか昔まで 遡っちゃう。

Matsuzaki. 結局「スター・ウォーズ」は独 自のアイディアもあるけれど、日本の アニメや特撮から採っていったのが ずい分あるからね。

Kawamori. だいたい見てればわかるよ。 かなりのシーンが見覚えあるって。

Miyatake.ところがいかんせん、見る側 があれをオリジナルだと思ってしま うのが問題なんだなあ。

Matsuzaki. 何せ「スター・ウォーズ」とい えば、他のものと比べてメジャーで すから(一同笑)。

Matsumoto. 我々が作るものが、みんな盗 作よばわりされたことがあるからね え。つい近年、アメリカでね。でも 時間的に逆(制作年度が)だという ことが、しだいしだいにハッキリし てね。

昨日の真実が今日は大ウソ メカ・デザイナー残酷物語

Shimoyama. 昔のSFにはかなり発想 的なものがありますけど、最近 のSFは特にとっぴだっていうよ うなものはみかけないみたいです ね。

Matsumoto. 現実に多少、追いつかれたき らいがある。感覚の世界の発想がね。 それで、昨日いったことが今日は大 ウソになるというとまどいがでてき た。 土星の輪なんかがそうだね。 こ うどんどん変わっていく時は、しょ うがないのかねえ。

Kawamori. 現実の方が、人々に理解され ないぐらいに進みすぎてるというこ ともある。たとえば宇宙船に積むよ うなレーダー・アンテナ。 クシャク シャに丸めておいて手の中にも入る ようなやつが、熱を加えると何十メ ーターにも広がるなんて機構が開発 されちゃってるけど、それを見たと しても見てる側にとっては、とても 信じられない。ウソみたいで。

Miyatake. 社会全般の科学技術に対する イメージと、実際の技術レベルとの 格差がどんどん大きくなったうえに 科学の分野も広がりすぎて、一人一 人の知識では、とても全体を見るこ とができなくなりつつありますね。

Matsuzaki. さっき河森がいった金属など 実際に存在するにもかかわらず、作 ないもの。 品の中で使ってもウソにしか思われ

Miyatake. だから、最近のSFの新しい アイディアはSF作家からではなく みんな科学者が生み出している。九 割九分までね。カール・セーガンと か、オニールとか。「ガンダム」の スペース・コロニーなんて、あそこ までスケールアップしたものなど 残念ながらSF作家は考えることが できないでいる。

Shimoyama. ハアー(ただただ感心)。

Matsumoto.でも、根本からそういう発想 で創作をしていく人間てのが出るは ずで、将来は現実の科学知識と創作 感覚の世界の合体物になるよね。

Shimoyama. そうすると、これからはマン ガを描く時も科学者の目で見ていか なくちゃなりませんねえ。

Matsumoto. そう、これからは大変ですよ。 そういう点での知識を吸収した人間 でないと、やりにくくなる。

Kawamori. しかも考える時に、科学者的 な目を持つ必要があるとはいえ、そ のままそれを表現したんじゃ、理屈ば かりが前面に出ちゃって、なかなか一 般に受け入れられなくなるし。

Matsumoto. それをうまく翻訳するのが感 覚の作業。 この感覚の世界が理屈で はどうにもならない世界なんで、こ れはやっぱり特異な才能が無いと。

MA. 最近のSF映画で「ブラッ クホール」がありましたね。で、結 末はブラックホールの中へ飛びこん でいきましてパッと終わっちゃう。 なんかアッケラカンとして。あれを “ぬえ”が作ったら、あのあとはど うなるんでしょう。

Kawamori. まずブラックホールを持ち出 さないんじゃない!?

Matsuzaki. まだちょっとこわくて、でき ないよね。あれはもう科学者でさえ いくらでも説があるというもので。

Miyatake. 逆に、わからないからできる というものもあるけど。でも、だっ たらそれはまるでわからない方がい いんで、少し足がかりがついた段階 というのが一番いや。

Suzuki.それは、たとえば?

Miyatake. 僕は今、宇宙船をデザインす るのが非常につらい。スペース・シ ャトルによって、ほんの二、三年後 には大変新しい金属が生まれるはず なんです。 この金属で作る宇宙船は 確実にこれまでの二百分の一の重量 になってしまうんで、デザインがも う根本的に違ってしまいますから。

Kawamori. 戦闘機なんか紙のようになっ て、あるんだかないんだか・・・。

Miyatake. でも、それを描いたら、さっ きも話に出たように、見た方からウ ソだといわれるんですよね。といっ て、そういったことを視聴者の側に 一々知っておいてくれというわけに はいかないし。

Matsuzaki. 一つ一つ説明してたら、作品 の筋がどっかへ行っちゃう(笑)。

Kawamori. やっぱり見せ方の問題になる わけだよね。

Miyatake. ですからこれからの数年とい うのは、デザイナーにとっては本当、 地獄ですね。

Shimoyama. 地獄ですかあ (神妙な顔で)。

Kawamori. 逆に、やりがいという点で今 が一番楽しい時期でもあるけど。 近は一つ科学技術を導入したら、世 界が全部変わるとみておかないと。

Miyatake. 一つの科学理論の上に立った 世界観を構築して、それが作品世界 全体を傷つけないという配慮がと かくむずかしいですね。ま「ガンダ ム」ではミノフスキー粒子を持ちこ んだだけで、世界観全部のぬり直し が必要になったほど。あれは架空理 論を持ちこんだことで現実から完全 に脱却して、大ボラが吹けたんです が、それをやるためには、逃げ道の 作業が大変だったんですよ。

Shimoyama.「ガンダム」っていうのは、ミノ フスキー粒子が存在しないと根底か ら崩れちゃうんですか(驚き)。

Matsuzaki. まったく全部崩れます。必然 性がなくなっちゃうの。

Miyatake. だからあの時代にはできてい ない小型核融合炉も、ミノフスキー粒 子の媒介によって初めて可能になる という仮説を持ちこんで逃げてる。

Kawamori. なにかわからないことがあっ たり、技術が進みすぎてる部分があ るとミノフスキー粒子でまかなって しまってるんだよね。

Shimoyama. まるで魔法の呪文ですね。

Miyatake. そう、その魔法の呪文を知ら ないと、あの作品は全部ウソになっ てしまう。

Matsuzaki. そういえば早とちりの視聴者 がいて、ミノフスキー粒子の出ると ころを全然見ていずに他を見て、ア レはウソだって文句をいってきたこ とがあったよ。

Matsumoto. SF作品には、そういった架 空理論を導入する見極め、思いきり、 SF的なセンスといったものが必要 になるわけね。

Miyatake. 「ヤマト」についていえば、 ものの見事に波動理論というのを持 ちこんできたでしょ。あれは事実上 架空理論ですからね。

丸ダンゴから美人体型へー女性 キャラクター自立の親は松本先生

Suzuki. だいぶむずかしい話が続いた ので、このへんで女性のことを。 先 生の作品では、女性がかなり重要な 地位を占めていると思うのですが。

Matsumoto. あれはもともと単純な話で、 アニメに出てくる女性がみんなキレ イに見えなかった。「白雪姫」の、昔か ら。それが不満だったのと、自分の 作品に比較的そういうキャラクター が出てたんでアニメにも強引に出し たんだけど、非常に不安はあったん ですよ。初期の森ユキの顔なんか、 まあソーレツだものね。

Suzuki. 昔のアニメは男の世界って感 じで、女は出てきても添えものにし かすぎなかったですよね。

Matsumoto. 女性をメーンの役として扱っ に「アタックNO1」、当時あれを 担当したプロダクションの人から相 談をうけたんですよ。なにか少女も のをやりたいけど、いかんせん描き ようがないと。それで、少女マンガ のスポ根ものをやれば、動きが速い から破綻をきたさないでしょうとア ドバイスしたの。 そこらへんから徐 徐にアニメに女の キャラを描く可能 性がでてきた。そ れまでの丸ダンゴ の女キャラじゃな くて、いわゆる美 人体型のね。

Shimoyama. 最近は少女 マンガのアニメ化も進んでいますね。 「キャンディ・キャンディ」や「は いからさん」。少女マンガの歴史は、 アニメとしては新 しいから、まだア ニメ化されてない 分野はあるんでしょう。

Matsumoto. ジャンルと いうのはいろいろ 広大無辺だけど、 まだまだあるよ。

Shimoyama. たとえば・・・。

Matsuzaki.時流と、そ れからスポンサー で決まります(シビ アに)(一同爆笑)。

MA. これから のアニメの予定は どうなっておられるのですか?

Matsumoto. TVと劇場用の「1000年 女王」と、夏公開の「わが青春の アルカディア」、それにあともう一 本が決まってます。 「1000年女 王」というのは、メカニックなSF ものというより、感覚的な世界を描 いたSFといえますね。ちょっと怖 い感じのもので………。

Suzuki. ’82の「わが青春のアルカディア」の方は?

Shimoyama. 戦場マンガですか?

Matsumoto. ウン、一部ね。いままで作っ SF系のものとは、まったく違い ますよ。発想を変えてるから。

MA. これも”ぬえ”とご一緒に?

Matsumoto. ええ、ハーロックとその先祖、 子孫を含めて代々続く限り共同して やろうと思って。 ね。 ま、大いに期待していてくださ いよ。

MA. お忙しい中、長時間、あり がとうございました。これからも、 よい作品を作ってください。

漫画と、 アニメの仕事 一松本先生談一

私がアニメを作りたいと思い出し たのは、小学生の頃です。特に「ガ リバー旅行記」 「白雪姫」あたりを 見たあとは、強烈にそう思った。 さて、いざアニメに関わってみる と、いろいろあるわけです。漫画家 の場合はプロダクションがあっても 基本的には自分一人、徹底して一人 です。一人っていうのはまことにラ クなんで「おらぁやぁめた」で、す むわけ。アニメの方は基本的に共同 作業だから、そうはいかない。どう 転んだって一人じゃできないし、各 各得意とするものを合体していかな いといいものができない。 漫画家としては、好きなものをの どかに描いていたい。 一枚一枚丹念 に、ベタも自分でね。それから、 業中は絶対人に見られたくない。こ れは絵描きの本性じゃないかなあ。 でも、そんなこといってたら失業し ちゃうけど(笑)。 アニメの仕事は猛烈に体力を消耗 します。アニメをやってなかったら、 私などもっとブクブク太ってたかも しれないなあ。長編を一本やると、 あきらかに最後の方はやせてる。ア ニメというのは、気苦労が、多いで す。チームが大きいし、交渉ごとが 入ってくるでしょ。 人間関係などは 気を使っていても、やめるやめない の大騒動が必ず何度かある。まなじ りあげてやってる最中は、ヤダナア、 ヤメタイナと思うけど、終わるとケ ロッと忘れるんですよ。そしてまた 次の制作に夢中になって。それのく り返しだよね。 あと、アニメの制作には、原作者 として最低やらねばならないライン があります。どんなにもめようと、 血の雨が降ろうと、そこは譲らない という。そうしないと出来上がった ものが、自分の作品でもなければ人 の作品でもない、という甚だ妙なこ とになってしまいますからね。

pg. 74-90: Space Battleship Yamato III Animanga

pg. 91-97: Character Sheet Collection #1: Space Battleship Yamato III

Comment(s):

  • Kenzou Koizumi
  • Katsumi Itabashi
  • Yutaka Izubuchi

pg. 100-104: My Anime Life #1 – Yoshinobu Nishizaki

私の暗黒時代は昭 和50年の春だった」

今、アニメは花ざかりである。空 前のブームのおかげで、アニメ関係 者は我が世の春を謳歌している。 事 実、アニメーターの生活もずいぶん 向上した。それはそれで結構なこと と思う。報われて当然以上のことを しているのに、まったく報われない というアニメ残酷物語〟の世界に 生きてきただけに、業界の著しい盛 況は我がことのように嬉しい。しか し、その反面、むずかしい時代に入 ったなという気がする今日この頃で ある。 とにかく、ブーム到来前のアニメ 製作に携わっていた頃、「冬来たりな ば、春遠からじ・・・」 を夢見て苦闘し ていた。それが昨日のように思われ、 一挙に夏が来たという想いである。 しかも、いつのまにか私は、アニメ ブームの火つけ役ということになっ てしまった。 「宇宙戦艦ヤマト」が、このアニ メブームの発火点になったとは、よ くいわれることである。たしかに、 その通りだろう。しかし、それは結 果であって、TV版・第一作の放映 時に、まさかそうなるとは想像すら できなかったのである。もちろん、 私自身は「宇宙戦艦ヤマト」に全力 投球をしていた。しかし、それに賭 ける私の気持ちとは、まったく裏腹の、 低い視聴率で惨憺たるものだったの である。 「宇宙戦艦ヤマト」に限らず、ど ういうわけか、それまでも私の手が けたTVアニメ作品は(すべてとい ってよいが)、視聴率がわるかった。 たとえば、昭和44年にものしたTV アニメ第一作の「海のトリトン」、続 いて放った「ワンサくん」が、その 好例である。そんな次第で、昭和4 年の「宇宙戦艦ヤマト」がだめだっ たら、この世界にいられなくなると いう心境で、それこそ精魂こめて製 作にあたった。ところが、フタをあ けてみたら、やっぱり視聴率の壁は 崩せなかった。その時のショックは、 ちょっと筆舌に尽しがたい。 もう俺には才能がないんだ!」 心の底から思いこんでしまった ほどである。どこの局へ行っても、 「あいつは4、6、8のチャンネル を、全部食いつぶした男だ・・・」とい われたわけで、まったく立場がなか った。とにもかくにも、50年の春先 には39本になっているはずのヤマト が、26本で打ちきりになったときの 絶望感といったらなかった。 この気持ちは私だけでなかった。松 本零士氏にしても、豊田有恒氏にし ても、その他、今、第一線で活躍し ているアニメーターにしても、この 作品が当たらないということは絶対 にありえないという気持ちがあった。 それだけにスタッフ一同の挫折感は 痛々しいほどであった。

「アニメへの傾斜は “口惜しさ”から・・・」

こんなことを記すと、「そんな気持 ちになるくらいなら、アニメの世界に 入らなければよかったではないか」 と思う読者もいることだろう。 その通りだ。私自身も、今の読者 ぐらいの時代には、まさかアニメの 世界に入るなどとは夢にも考えてい なかった。ただ、私の中学・高校時 代(昭和22~28年)は、アメリカ の映画がどっと入ってきたわけで、 その頃の中・高校生が観に行けるも のといえば、ディズニーものとSF ものだけといってもよかった。ちょ うど娯楽に飢えていた時代だけに、 そういうものは端から観ていった。 それでも娯楽が足らず、必死になっ て本を読み漁ったものである。ちな みに、「チボー家の人々」なんかを読 んだのも、たしか私が中学三年の時 であった。 テレビはまだなく、ビジュアルな ものといえば映画と漫画だけの時代 だった。それだけに、活字ひとつに しても、自分の頭の中でビジュアル 化できるタイプと、活字を追うだけ のタイプとがいたような気がする。 私は、わりと夢想家のほうで、活字 で読んだものをビジュアル化させる ことが好きなほうだった。 今、振り返ってみると、本格的に SFが好きになったのは手塚治虫先 生の「ロスト・ワールド」「来るべき 世界」「メトロポリス」のSF三部作 に接してからのような気がしてなら ない。ところが、夢想家がすぎて、 自分が他の人間を演ずる芝居の方向 に行ってしまった。 ちょっと脇道にそれるが、私は頭 の中だけでいろいろ考えるよりも、 すぐに行動に移すタイプである。一 回は自分でやってみないと気がすま ない。いつの時代でも、試行錯誤と 行動力というのは若者の特権である。 だから、十代で若いと思いこんでい 若者をみても、トライアル・アン エラーができないやつは、若者 だと思えない。逆に、三十代に入っ ている人でも、行動力があればすご 若さを感じられる。私自身がそう だから、実際に脇道へ行ってしまっ たが、それについてはまったく後悔 していない。 話を元へ戻そう。私がアニメの世 界に入ったきっかけは、手塚治虫先 生のゼネラル・マネージャーになっ たことである。しかし、その時もま だ、アニメのプロデューサーになろ うなどと思っていたわけではなかっ た。それよりも、彼自身をいかに活 かすかということを考えなければな らないと思った。 そして、 虫プロへ 入ると、いきなり「私の作品を売っ てください」ということになった。 これも彼を活かす一つの道だと思い、 たまたま「ふしぎなメルモ」という 作品があったので、それを大阪の朝 日放送にあっさり売りこんだわけで ある。ところが、この作品の視聴率 が想像以上にわるかった。それだけ ならまだしも、最後は私自身がある いということになってしまった。自 分自身が創造し、プロデュースした もので、それがだめというなら納得 できるが、まったくその逆である。 つまり、他人が創ったものをただ 単に売っただけにもかかわらず、そ の作品の評価まで売った人間に課せ られるという不合理に、正直言って 私は泣くに泣けぬ心境であった。 も ともと音楽制作と舞台のほうでプロ デュース経験があっただけに、その 時はふざけるな・・・”という気持ちが 強かった。従って、私がこの世界に 入ったのは、単純にアニメーション が好きで好きでたまらないといった 理由よりも、むしろ口惜しさ”の ほうであった。その気持ちが、私をこ の世界に傾斜させたのである。

「はじめてのアニメ プロデュース作品」

そんないきさつから、自分自身の 資質に合うものがあれば、悔いのな アニメ作品を創ろうと決意だけが 固まっていった。そんな折り、「青い トリトン」が新聞連載された。 漫画 としては尻切れトンボに終わった作 品だが、舞台は海で夢もロマンもあ る。これを自分なりに再構成し、起 承転結をつけて、目的ドラマにして みようと思いたった。 その頃、アニメーションは漫画の 動 くものという考えかた、見かたが まだまだ強く残っていた。当然、対 象年代も、小学校低学年あたりとみ るのがあたりまえだった。だから、 ドラマづくりにおいても、子どもの 注意力から演繹して一話一話完結し ているほうが間違いのないつくりか たと思われていた。それに対して、 私は一話完結を踏襲しても、〝母探し” という最終目標にたえず向かってい くドラマづくりを図ったのである。 一話完結的に見せながら、実際には 27本で完結するという目的ドラマに したのは、ことアニメに関して私が はじめてだと思う。 この「海のトリトン」は名実とも にはじめてのプロデュース作品であ りながら、ただひとつ失敗したこと は、対象年代層を誤認したことであ った。つまり、この作品において私 は小学校の低学年を中心視聴層にお いてしまったのである。ところが、 実際に放映されると、この作品につ いたファンはほとんど中学生だった。 ちょうど今の「機動戦士ガンダム」 と同じ状況を呈したのである。 キャ ラクターは小学校低学年向け、そし て中身のドラマは中学生向け のチグハグさが、もうひとつ下の子 どもについていけない要素になり、 視聴率の低下を招くという結果にな ったのだと、今にして思う。それが 後になって、再放映時、はじめて「海 のトリトン」は評価され、かなりの 数のファンクラブが結成された。お そらく、日本であれだけまとまった ファンクラブができたのは「海のト リトン」が最初であったはずである。 いずれにしても、私のプロデュー ス作品の場合、必ずテレビ放映時 に視聴率がよくなく、あとになって 評価されるという結果が多い。あれ だけ当たった「宇宙戦艦ヤマト」も、 最初に述べたように視聴率がわるか ったのは、私の考えていた視聴対象 年代と放映側の決めつけていた対象 年代とが食いちがっていたことによ るものである。 いずれにしても、「海のトリトン」 は、虫プロを離れてからの作品であ るので、売り込みには苦労した。 オ フィス・アカデミーという会社を設 立してはみたものの、作品を創る前 に、まず食うことを考えなければな らなかった。30代半ばをちょっとす ぎていた私が、プロデューサー業の 看板を掲げても、それだけで食って いけるとは思っていなかった。そこ で、キャラクター商品の二次使用化 を図ることにした。つまり、当時は もらうものと思われていたカレンダ ーを、「キャラクターものだったら売 れるものになるだろう」と考えた。 そこで、はじめてつくったのが、「ム ーミン・カレンダー」。これを売り歩 きながら「海のトリトン」の製作を していたわけである。

「ワンサくんでアニ メづくり開眼!」

キャラクター・カレンダーの製作 と販売をやりながら、つぎに手がけ た作品は白い秋田犬の雑種を主人公 にした「ワンサくん」であった。 こ の作品の製作においても、私にとっ てはまだ試行錯誤の連続であった。 「海のトリトン」もそうであったが、 この「ワンサくん」を通じてつくづ く思ったことは、音楽の重要さであ る。それまでも、アニメ製作におい ては局サイドでもレコード会社サイ ドでも、音楽には絶対カネをかけな いということが常識になっていた。 しかし、それは間違いじゃないかと かねてから思っていた。 私には20代の10年間、音楽の世界 で食ってきた自信があった。それだ けに、アニメーションの映像と音楽 のドッキングに対しては人一倍の興 味を持っていたのである。ちなみに この「ワンサくん」の音楽制作費は 「宇宙戦艦ヤマト」の第一作に対し て約2倍に近い経費をつかったほど である。とにかくディズニーばりに 音楽的な試みは徹底的にやってみた。 それが視聴率でみると、ちっとも報 われない。今になってみれば、いい 勉強になったと笑っていえるが、当 時はそれどころではなかった。 ついでに記すと、対象年代層を私 が間違えていたということ、自分の つくるドラマを、当時のTV局がい ちばん要求していた小学校の低学年 に無理矢理合わせようとしていたこ とが間違っていることに気がついた のが、この「ワンサくん」であった。 しかし、なんといっても最大の苦 労は、完全に自分がプロデュースす るという主張を局側に納得させるこ とである。東京のキー局にはほとん ど相手にしてもらえず、大阪へパイ ロット・フィルムを持って売り込み に必死になった。ちなみに、私が製 作した作品の中で東京をキー局にし たものは一本もないほどである。そ れくらい大阪へはよく通った。 また、作品を創る上で、それ以上 の苦労はカネづくりであった。放映 が決まったTV局から製作費の前受 け金をもらっても、それだけでは到 底足らない。しかも担保になるもの は何もない。しかし、自分の思った 通りの作品を創るためには、その不 足分を自分自身が用意しなければ、 本当のプロデューサーとはいえない。 そうした資金面での苦労は、いい勉 強になった。銀行通いの連続といえ ばきこえはよいが、本人にしてみれ ば死にものぐるいの毎日であった。 話はまた脇にそれるが、よく映画 製作に夢をもつ20代から30代の人が 「もし機会が与えられ、自由につく らせてもらえたら、あんな監督なん 問題じゃない・・・」と言ったりする のを耳にすることがある。私に言わ せれば、そんな風に考えているとし たら、その人はもう終わりである。 「もしカネがあれば・・・」とか「もし 機会が与えられれば・・・」ではなく、 自分自身が本当に映画づくりに賭け ているならば、そういう場は自分で つくることである。これはなにも映 画プロデュースに限ったことではな いと思うのだが……。

「視聴率は悪くても 人材が育った・・・・・・」

「海のトリトン」、「ワンサくん」の 苦い製作体験から、「宇宙戦艦ヤマト」 を製作するさい、最初に脳裏をかす めたことは、小学校高学年から中学 生ぐらいの世代を対象とするドラマ に徹底しようという気持ちだった。 こ の年頃というのは、男であること、 女であることを互いに意識しはじめ る。漠然としたものではあるが、そ うした気持ちが高まって初恋につな がってゆくー… この”初恋時代”のひとつの特徴 は、自分の未来への期待と不安が漠 然とした中にもあるということであ る。世の中の制約など知らない中で、 未来に対する期待感が、受験勉強な どで極端にせばめられている。自分 の未来に対して、何が不安で何が期 待かと特定はできないが、不安感の ほうが強くあらわれる世代は不幸で あると、私は考えるものである。そ うした世代に、未来志向の強いもの を与えなければというのが、「宇宙戦 艦ヤマト」の、第一のモチーフであ った。 私が生まれてはじめて自分のアニ メスタジオを東京・練馬の桜台のパ ン屋の二階に設けたのも、一種の使 命感のようなものであった。このス タジオに一週間に五日はこもりっき りで製作にあたった。不眠不休の努 力は必ず報われると、それだけを念 じて、放映当日の視聴率は絶対20% はいくと思っていた。ところが、今 でもまざまざと記憶しているが、第 一回の視聴率は6%強で、ニールセ ンの調査では5%台という惨憺たる 結果であった。後は冒頭に述べたよ うな絶望感が襲ったのである。 けれども、天は我を見捨てなかっ た。小学校低学年の時間帯に放映さ れていたにもかかわらず、私がター ゲットにしていたミドル・ティーン が観ていてくれ、そういう人々がブ ームに火をつけてくれたのである。 ひじょうに運がよかったといえばそ れまでであるが、私の意図した作品 に共感をもって迎えてくれる世代が いたということ それがもうなに よりも嬉しかった。 それともうひとつ嬉しかったこと は、「ヤマト」の製作に関わってきた 人たちが、以後のアニメブームの中 でつぎつぎに羽ばたいていったこと である。具体的に言えば、松本零士 氏にしても「ヤマト」を通じて、ひとつ の宇宙イメージが明確になったとい ったら言い過ぎになるだろうか。ま た、アニメーターでも、今トップク ラスといわれている宇田川、白土、 安彦、小泉の各氏も、「ヤマト」で育っ た世代である。プロデューサーの役 割として、自分の作品を創るのはも ちろんのこと、その作品を通じて人 材を育ててゆくことも重要な任務で ある。「宇宙戦艦ヤマト」で、それが できたことは、私の二番目のプライ ドである。 三番目のプライドがあるとすれば、 「宇宙戦艦ヤマト」でアニメという 紙に描かれた絵にどうやって質感を もたせるか、それを音楽でいかに強 調できるか、そのテクニックを完全 に把握したことである。ドラマ性の あるアニメと音楽の効果的な組みあ わせとノウハウ――これについては 大変生意気のようだが、他の追随を 許していないと自負している。

「今度こそヤマトに さよならを言おう」

ところで、最近のアニメ界はます ます過熱化して留まるところを知ら ないかにみえる。ことTVアニメに ついては、視聴者が気楽に観ている 点でまだ広がりがあるといってよい だろう。しかし、俗にブームのもと になった劇場用アニメの先行きにつ いては、今のままで行ったらという 但し書きの上で、あと二年でだめに なるだろうと、私は見ている。 理由は簡単である。TVで見られ るものを、わざわざ劇場に観に行く というのは、そこにそれだけの価値 観があるからであって、それが今の アニメブームの特徴であるといって よい。ところが、最近はただ人気が あるからということだけで、TVア ニメをそのまま劇場に持ちこんでい ると思われるものもあるくらいであ る。専門的になるが、我々は絵コン テひとつつくる場合でも、TV用と 劇場用とでは違ってくる。2メート ルぐらい前で見るTVの小画面なら、 それなりにアップの連続カットでも 通用するが、映画というあれだけ大 きな大画面を支えきってゆくために は、かなり細部までも描きこんだ画 像を必要とするのである。それだけ ではない。劇場の広さを考えに入れ ると、サウンド・エフェクトがTV とは比べものにならないほど大きな 比重を占めてくる。そして、いちば ん重要なことは、大画面を支えるよ うなドラマ性がなければならない。 そうした諸々の計算上に立って、 劇場用のアニメが今後どんどん くるというなら話は別である。 なことに、TVの小画面ですみそう な作品を劇場で見せているという が、昨今の状況である。極論になる が、漫画を劇場で見せているような ものがあまりにも多すぎるような気 がする。やはり、劇場というのは映 像作品という言葉が適用するような ものでなければならないだろう。そ ういう考えかたと姿勢をもたない限 り、若者がわざわざ劇場まで行って 感動を味わいにくる気持ちを失ってし まうのではなかろうか。ブームに便 乗してパカパカつくるというなら話 は別だが、劇場に掛けるだけの良質 のアニメ作品を創ろうと思ったら、 三年はみなければならない。TVア ニメが劇場でも通用するんだという ことの証明をしたのが「宇宙戦艦ヤ マト」であったと自負しているだけ に、私は、こうした状況をぼろぼろ にして欲しくないと、 つくづく考え る次第である。その意味で、私は「さ らば宇宙戦艦ヤマト」で結末がつい ていたはずの「ヤマト」に対して、 何度もマスコミに露出してきた決着 を、今度こそ劇場でつけなければな らないと思った。明年公開の完結編 は、テーマだけははっきりしている。 つまり、おのれの意志で消えていく ヤマトがメイン・テーマであり、エ ンドシーンはもう既に決めてある。 はるか永遠の宇宙の彼方に、かつ ての戦場を、14万8千光年のマゼラ ンを過ぎ、アンドロメダを過ぎ、暗 黒星団帝国を過ぎ、そしてはるか二 重銀河の先 ―人類未踏の世界の中 に、人間の意志によって追いやられ るのではなく、彼(ヤマト)は自ら この意志をもって消え去っていく。 同時に、主人公古代とユキの未来 に向かって歩いていく姿をダブらせ る。古代とユキの間に、何か新しい モノの誕生があり、それを見届けた 安心感をもって、人格化されたヤマ トは浄々と去っていく……その結末 を見せるだけに、私は完結編を創る のだといってもよい。それが、TV の小画面ではあまりにもヤマトがあ われである。これまで絶大の支持を 受けてきたヤマトを去りゆかせるた めには、絶対に70ミリの大画面でな ければならないのだ。そのために、 明年の八月公開を期して、昨年の八 月以降二年間をこの一作だけに集中 すべて自分の時間を空けてある。既 にこの一月下旬から台本づくりに入 った。もちろん、今度もストーリー 原案は自分で書いている。これまで 「ヤマト」につきあってきてくれたフ アンと共に、私自身もヤマトに惜別 する日を想いながら……。

pg. 107-133 : TV Radar

WE’RE ANIME PEOPLE: Shirō Jinbo

Covered series (Commenter, if any):

  • Saikyou Robot Daiouja (Katsutoshi Sasaki)
  • Tiger Mask Nisei (Takeshi Tamiya)
  • Queen Millennia (Leiji Matsumoto)
  • Ai no Gakkou Cuore Monogatari (Shigeo Endo)
  • Dr. Slump Arale-chan
  • Fuusen no Doratarou (Manabu Tamura)
  • Lupin tai Holmes
  • Ougon Senshi Gold Lightan
  • Tondemo Senshi Muteking
  • Ojamanga Yamada-kun
  • Kazoku Robinson Hyouryuuki: Fushigi na Shima no Flone
  • Ashita no Joe 2 (Takeshi Oba)
  • Tsurikichi Sanpei (Shigeo Endo)
  • Ikkyuu-san
  • Kaibutsu-kun (Souichi Besshi)
  • The Wonderful Adventures of Nils
  • Meiken Jolie
  • Astro Boy
  • Ganbare Genki (Yoshio Takami)
  • Hyakujuu-Ou GoLion
  • Galaxy Express 999
  • Hoero! Bun Bun (Hyota Ezu)
  • Hello! Sandybell (Yūyake Usui)
  • Tetsujin 28-gou (Shigeru Akagawa)
  • Manga Hajimete Monogatari (Yutaka Fujihashi)
  • Saikyou Robot Daiouja (Nobuyoshi Sasakado)
  • Yattodetaman
  • Manga Nippon Mukashibanashi
  • Space Battleship Yamato III (Kazunori Tanahashi)
  • Ohayou! Spank
  • Manga Kotowaja Jiten
  • Doraemon
  • Hokahoka Kazoku
  • Kirin Ashita no Calendar

pg. 134-135: My Anime Information Corner

pg. 136-137: Anime World Information #1

pg. 138-139: Record Radar

pg. 141-144: Scenario File #1 – Galaxy Express 999 Episode 112

Comment(s):

  • Kenji Yokoyama

pg. 148-164: Fan Scramble

pg. 165-175: Queen 1313 #1 (Kaoru Shintani)

pg. 176-180: Hideo no 5 Wārudo #1 (Hideo Azuma)

pg. 181- 183: Animetopia (Yoko Asagami & Rihoko Yoshida)

pg. 184-185: Pack-in Music

pg. 186-187: Hisashi Katsuta’s Biography of Japanese Voice Actors #1 – Kei Tomiyama

pg. 188-190: Director Note #1: Eiji Okabe

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