Kumiko Kaori

1981

December

Feature Article [“Anime Star”, The Anime]:

インタビューの前夜、アニメスター訪 問がかおりくみこさんと聞いた編集室内 では、しれつな戦いが繰り広げられてい た。写真を見て、あの清楚でかわいらし いくみこさんに、みんなひとめぼれ! インタビュアーの座をねらう連中が迫っ てきたのだ。だが、おめおめと引き下が る僕ではない。ついにその座を死守!!

カナリヤみたいに 歌ばかり歌ってた
素顔のくみこさんは、とっても笑顔 がかわいい人。「おはようございます !」とニッコリされたとたん、昨日の 戦闘のかいもあったと僕もニッコリ。 今日は、さい先のいいスタートぶりだ ぞ!じゃあ、行こうか。 「私ってバラード系の曲が多いし、ど うしても静かな雰囲気に見られるんだ けれど、本当はよく笑うし、笑い出し たら止まらない位なの――」 実際、彼女は普通の女の子とまるで じ。気取りがなくて、コロコロよく 笑うし、取材の途中で記者に持参のカ メラのレンズを向けたり、アイスクリ ームを食べたがったりで、まるっきり 明るい女の子なのだ。 「アッ。ファンの人に食いしん坊だと 思われたら困るから弁明しとくけど、 アイスクリームを持って歩いていると ころを撮影したらどうかって言ったん ですからね L。 これホントよ」 そうそう、そうでした。でも、本当 は食べたかったみたいだけどね………。 ところで、くみこさんってどんな子 供だったのかな? 確かフジテレビの 「ちびっこのどじまん』で全国優勝し たはずですよね。 「とっても歌が好きな子だったんです。 いつも歌ばかり歌っていて。それで家 族がのどじまんの予選にハガキを出し たんで、何の気なしに出場。特別にレ ッスンに通ってたわけじゃないんです。 それが一生懸命歌っただけなのに優勝 して――。楽しそうに子供らしくのび のびと歌ったのがよかったんでしょう ね」 それが小学校の4年の時。テレビに も出たけれど、さして生活に変化は起 きない。ごく普通の小学生だった。 「普段は男の子の中で遊んでたんです。 自転車で一緒に出かけたり、ソフトボ ールをやったり。年上の子とよく遊ん でたみたい。それから、なぜだか私、 おまわりさんが好きだったのね。警備 員さんやガソリンスタンドの店員さん、 工事現場の人にもかわいがってもらっ た記憶があります。もっとも、今はお まわりさんって苦手だけど -(笑)」 おまわりさんには申しわけないけど、 ホッと一安心。でも、とってもかわい らしい小学生だったんだろうなあ。

アニメソングに 出会えてよかった

一枚のハガキがきっかけで、それか ら番組の音楽の先生、ディレクターと も知り合いになった彼女。時々、手紙 や電話をもらって東京へも遊びにいっ た。彼女の生まれは岐阜県の関市。今 でもご両親とお姉さんが住んでいる。 「その辺までは遊びだったんです。そ れが遊びでなくなったのが、高校へ入 学する。レコード会社の部長さんが、 両親を説得してくれて上京することに なったんです。学校の授業以外にクラ ブ活動をするようなつもりで、歌の勉 強をすればいいんじゃないかって言っ てくださって―」 ただの歌の好きな女の子が、趣味の 延長線上でやっていたこと、それまで はそうだった。だが、その時から変わ った。駒沢学園女子高校に入学した彼 女は、歌のレッスンも始めていた。す ぐそばに見つけてもらった厳しい大学 教授の家から、毎日学校へ通い、放課 後レッスンや仕事場へと向かった。 そんな話を聞いているとき、レコー ド会社の人が僕にそっと耳打ちした。 「高校の入試の成績は、1番だったん ですよ」 ギョッ! 自分の口から言わないの がくみこさんの奥ゆかしいところだが、 劣等生だった僕としては、これで1歩 距離が遠くなった感じ。彼女って優等 生なんだよ。無遅刻、ほとんど無欠席、 早退もせずに、2年まで高校生活を送 ったのだ!! 「3年生になった時は、仕事が忙しく て行っては“サヨナラ”と帰ってき ちゃう日々だったの」 高校1年の時、『君こそスターだ』 でチャンピオンにもなっていた。声質 が大人っぽいというので、流行歌を歌 ってみた。でも、体質的に合わなかっ た。高校も卒業し、20歳になったとき、 アニメソングを歌い始めた。 「この世界が自分に合うか合わないか といったら、合わないと思うの。でも、 以前は歌手といったらひとつのカラー しかなかったけれど、今は同じ歌の世 界でも、やり方次第で自分自身の生か し方も変えられると思うんです。だか ら、今はとってもいい状態」 一時期、『樫の木モック』のテーマ ソングを歌ったりしていたが、本格的 なアニメ・ソングとの出会いは『若草 のシャルロット』以降といってよいだ ろう。それからの活躍は『闘将ダイモ ス』『タイガーマスク』 『がんばれし ッドビッキーズ』 『ドラえもん』など とおなじみだ。 「アニメ・ソングにはごく自然に入れ ました。とても曲にも恵まれていたし、 『若草のシャルロット』以降、20~30曲 位歌っているかしら。どれも独特のキ ャラクターで、難しいですね。『キャ プテンハーロック』の〝ミーメのエレ ジー”では、あの無機質なミーメの雰 囲気を出すのに苦労しました。でも、 毎日毎日新しいイメージの曲だし、や りがいがありますね。」 しかし何といっても、彼女にとって 印象に残る作品といえば、やはり99 9シリーズだろう。『銀河鉄道999』 やさしくしないで”は、アニメ界に それまでなかった新しいイメージの歌 であり、歌手だった。 「私の場合、伴奏が薄いんです。ギタ 1本の伴奏だったり、語りの部分が 多かったり。〝やさしくしないで”で ずい分ファンが増えました。その後の 『さよなら銀河鉄道999』の〝さよ なら”は、また違った雰囲気で別のタ イプのファンが増えましたね」 くみこさんの声は、澄んでいてソフ トで、話していてもついウットリ。 マンチックなバラードにはピッタリの 美しい声だ。”さよなら”では、感動 的な曲を聴かせてくれて、チャートに ものぼったヒット曲となった。 アニメソングを歌い 始めた頃、テレビの 幼児番組『パン ポロリン』 でお姉さん 役としてレ ギュラー出演を した。 「やってとっても よかったと思ってる んです。それまでしゃべり”は好き だったけれど、やったことで具体的に こういうのがやりたいというイメージ が広がっていったし、これからも歌を やっていくにはちゃんとお話ができる 人、伝えられる人になりたいと思った んです。初めて童話のナレーションも やって、読むことの大切さを感じまし 『幸せの王子』 というお話が最初 の仕事。調整も絵も全て自分に合わせ てやってくださるので、とても責任重 大。ビデオがとってあるんだけれど、 ツバメが死ぬ場面で終わった時には緊 張と安堵感で眼がうるんでるんです」

忘れもの、ネーミ ングの大天才..!?

しゃべり”の部分が、今、DJと してラジオで生かされている。九州朝 日放送『くみのピロートーク』、栃木放 送『気まぐれジョッキー』、岐阜放送『ハ ッピータイム』の3本だ。聴けない人 が多いのはとても残念! この番組の 中で彼女の声を聴ける人は幸せだぞ。 「『くみのピロートーク』では”メル ヘンドリーム”というコーナーで、自 作童話を朗読してるんです。毎週書か なくちゃいけないし、最近はネタがつ きちゃって。気に入ってるのは一番最 初に書いたピエロの話。私、名前にこ るのが好きで、クリスタルの繊細さか ら考えて、その道化師の名前をクリッ セと名付けたの」 なかなかの評判で、ラジオを聴いて いる人が、続けて本にしなさいと言っ てくれるそうだ。 名前にあると言うだけあって人にあだ 名をつけるのが得意。学校時代も クロウ先生ムーミンパパ”とその天 才ぶり(?)を発揮したそうだ。 ところで、彼女は意外や意外のあわ てもの。すばらしい忘れ物の才能も発 揮してくれた。同席したレコード会社 の人が忘れ物をしないようにと言って いる内に、持っている傘をタクシーの 中に置いてきた。 「一つの仕事で一つは忘れ物をするの。 私って傘を持ってると晴れちゃうのね。 今日もいい天気になったでしょ」 ムートンのコートを着ていて、いつ のまにか肩にかけておいたハンドバッ クを忘れてきたり、時計や指輪、アク セサリーをなくしたりするのは日常茶 飯事。ついにハンドバックは出てこず、 ペンも数え切れないくらいなくすので、 ゼブラの800円のものを愛用。 「忘れちゃいけないって思ってると、 なぜだか忘れちゃうの。どうしてかし ら」 この言葉を聞いて僕も安心できす ぎたお嫁さんを持つと苦労するからね ナンテ!! ところで理想の男性は? 「男っぽくて頼れる人。例えば石立鉄 男さんとか、西田敏行さん、2枚目の 人ってあまり好きじゃないの」 じゃあ、僕なんか望みあるかな!! 「根津甚八さんみたいなタイプも好き なんです、私」 そ、それはないでしょ。でも、くみ こさんはカニ座で型。いいお嫁さん になれると思うよ。きっと。

歌の道を進みます

少しでも時間があると、映画を観に 行ったり、本屋で立ち読みしたり。感 動したのは『ひまわり』『グッバイ・ガ ール』など。 リチャード・ドレイファ スがお気に入りだ。 「勉強だと思ったらできないけれど、 普段から色々なことを知って、感じて、 吸収していきたい。どんな仕事をして いても感性の強い人間でいたいな……」 そう語る彼女の将来の夢は、童話の ナレーションと歌とを織りまぜたレコ ードの制作。『パンポロリン』のおね えさん役として過ごした数年間で見つ けた夢だ。レリューズ役の声優として の仕事も、あくまで歌を歌うという部 分であって、これからも歌の道をまっ しぐら。今は進行中のオリジナル・レ コードに全力投球。 「今まではキャラクターがあって歌っ ていたけれど、今度は自分のキャラク ターを生かして歌えるのでうれしい」 だれもいない日曜日、電話がかかっ てきたりすることで、1人の女性のだ れもが感じている情感をさり気なく描 いてみたいそうだ。そんな彼女の意欲 作は、シングルが1月末、アルバムが 2月末に発売予定。瞳を輝かせて語る そんなくみこさんの横顔を、僕はホレ ボレと見つめていたのだ。

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