1978
December
Comment [Animage, for Galaxy Express 999]:
「いままでの子どもアニメというと、主人公は必ず、カッコイイヒーローだった。が、今度の鉄郎はちっともカッコよくない。しかし、人間の感情をもっているんです。だから、彼は考える。大げさにいえば哲学的に。そのものめずらしさが高視聴率につながったんじゃないかな」
1981
May
Interview [for Queen Millennia, Animage]:
AM. 山浦さんの書かれた話数を教 えてください。
Yamaura. 1クールでは5•6•11•12 話です。2クール以降は、藤川さ が映画の『1000年女王』の執筆 にかかっていますから当分田口さん とふたりで書くことになります。
AM.『1000年女王』の脚本を書 く上での具体的なむずかしさを教え てください。
Yamaura. ふつうは結末があって、そこ から話を組み立てていくんですが、 それを考えながら書いていかなくち いけない。もうひとつは、1話完 結とちがってヤマ場を作りづらい、 という点ですね。たとえば「999』 なんかは機械の体を手に入れる、と いう目的がはっきりしているわけで すけど、そうい うテーマを設定し ないと、クライマック 人が作りづらいんです。
AM. テーマはなんでしょうか。
Yamaura. スケールの大きなドラマなの でひと言でいうのはむずかしいので すが、しいていえば、どんな あっても地球を守ろう の気持ちにそれが象徴されている。
AM. 脚本家として、松本作品の魅 力とむずかしさを教えてください。
Yamaura. シリアスなSFと一線を画す 松本さん独特のSFロマンと、4畳 半に代表されるドロ臭さのみごとな 結合が最大の魅力ですね。この世界 観には、個人的にも同世代としての 親近感があるんです。 むずかしいところは、全体が一種 の詩の世界ですから、そこからいか にドラマ性を引き出すか、というこ とですね。これがうまくいったとき は、実にすばらしい作品になります。 その典型が『999』ですが、大叙 事詩をドラマティックに展開できま した。手塚治虫さんの歴史観に貫か れたドラマとは対照的ですが、脚本 家としては、かえってヤル気をそそ られる作品といえますね。
June
Comment [for Queen Millennia, Animage]:
『1000年女王』の特色というの は、みなさんももうお気づきでしょ うが、日常生活の中にSFが入りこ んでくるということです。特にこの 日常生活の描写というのは、主人公、 始の性格を浮きぼりにするために、 どうしても必要なのです。その舞台 となるのは、やはりラーメン屋と学 校ですね。そこで、番長とキザとい うふたりが、始にからんできます。 ふたりの大きな役わりは、この物語 の色づけと、雰囲気とテーマを出す ための助け役というところです。で すから、単なるギャグメーカーとい うわけではありませんね。特におも しろいエピソードは、この先に出て きます。番長の妹という設定がある のですが、ある事件で始がこの妹を 助けるわけです。すると、番長が妹 を嫁にもらえと迫ったりします。こ のへんは、原作にはない部分ですが、 楽しみにしていてほしいですね。 ただ番長・キザコンビのファンに はすまないのですが、このふたりが 大活躍などというのは、ちょっとあ りません。いずれ、地球に大災害が 起こったりした後には、そんな場面 が見られるかもしれませんが・・・・・・。 やはり、あくまでもこの物語は、始 と弥生の物語です。弥生には何か使 命があり、最初に始を助けたのも、 単なる同情だったのかもしれません。 でも、いつしか、始の行動と考え方 に、次第にその心を変化させていく わけですね。やがて、この話の核心 部に近づいた時、始という人間が非 常におもしろくなってくると思いま す。だいたい、始は泣いたり、笑っ たり、にぎやかな人間ですから、こ れが大変動にまきこまれた地球と、 弥生たち一派と1000年盗賊など とからんでくれば、もう話は最高潮 というわけです(笑)。 始、弥生、番長、キザーそれぞ れが、僕の中で動きはじめてくれて いますので、これからの展開に期待 してください。
