Future Boy Conan

1979

April

Animage [pg. 61-66]

Comments:

  • Junzo Nakajima: トップバッターの責任は果たした。NHKのアニメ第1作ということで緊張したし、2作、3作とつづけていくためにも責任を感じました。コナンの反響はよかったし、トップバッターとして、クリーンヒットを打てたと思います。最初はカルピス劇場のような名作ものをという話も出ましたが、時間帯の問題や、同じような系統の作品をつくってもしようがないという気持ちもあり、コナンを選んだのです。日本アニメとしては異質な作品ですが、あまりつらい話や苦しい話よりも、明るい、のびのびとした話もいいと思います。
  • Shigeo Endo: スタッフのがんばりが成功の原因。コナンが成功した大きな原因は、スタッフがのってくれたことと、大塚さんと宮崎さんが組んで仕事ができたこととによります。コナンでは、いままでの大塚さんの動きとは違う面がでていました。これには宮崎さんの考え方が影響していると思いますが、大塚さんにしても、いままでためていた力をここで出したのだと思います。ほかのスタッフも、みんながんばってくれました。特に撮影のスタッフは、むずかしい撮影が多くて大変でした。でも、これでいままでの技術の集大成ができたと思います。
  • Hayao Miyazaki: コナンは子供が夢みる少年像。子供には、自分を高めてくれるものに対する、夢とかあこがれがあると思います。そのような、子供が夢みるような少年像として、コナンを考えました。原作では、コナンは博士のあやつり人形のように描かれているし、神の声を聞いて、使命感を持って立ちあがるようなところがあります。けれどもこの作品では、自分の運命を、自分の手で切りひらいていく主人公をつくろうとしました。終末戦争という舞台設定はありますが、希望を失わず、生きることに確信を持った人々の生命力を描くことが必要だと思いました。
  • Yasuo Ōtsuka: まずストーリーのおもしろさ。コナンでは、ひさしぶりにおもしろい仕事をさせてもらい、宮崎さんと日本アニメーションに感謝しています。特にストーリーのおもしろさは、原作をなおしていった宮崎さんの力量によると思います。製作費やスケジュールなどの面で、いまのテレビまんが製作がおかれている状況はきびしくなっています。そのなかで、コナンのように密度の高いアニメーションを作ろうと思えば、アニメーターの私たちだけではなく、製作会社も大変な努力と忍耐をしいられます。苦労のしがいがあった作品のように思います。
  • Hidenori Ōshima: 大きな動きはいい経験になった。私は動画チェックの手伝いをしていました。コナンは動きの密度が高く、日本アニメの作品としては、思いきった大きな動きが多かったと思います。つま先だけで立ちあがるというように、ふつうの人間ではとてもできないような動きもありました。いままではカルピス劇場のシリーズを担当していたので、大きな動きはやったことがなく、かなり苦労しました。それだけに、すごくいい経験になっています。スタッフの人たちのチームワークがとてもよくて、楽しく仕事ができました。
  • Masako Shinohara: 演出の人の苦労が感じられた。コナンには、宮崎さんの持ち味がよく出ていると思います。宮崎さんとは長いあいだ一緒に仕事をしてきたので、コナンがはじまるとき、たぶんこんな感じになるだろうと予測がつきました。それで、そのときはほかの作品をやっていたのを、コナンのほうに入れてもらいました。NHKでの放映が、中間に特別番組がはいったりして、毎週一回かならずあるというわけではなかったので、時間的には比較的らくでした。コナンのことでいちばん印象的なのは、演出の人が苦労しているなと思ったことです。

September

Animage [pg. 23-32]

「コナン」の場合、もともと劇場用映画にしたいという意向は強かった。なぜなら、そのために撮影自体、35ミリフィルムが使われていたほどだからだ。しかし、いろんな諸条件から、実際には製作に踏みきれなかった。その突破口を開いたのが、オールナイトニッポン(ニッポン放送)でヤマトの生放送を企画した上野修氏である。というのも上野氏が「日本アニメの社長、本橋氏とは同級生」(上野氏の話)という間柄だったからだ。本橋氏に「映画化」をもちかけたニッポン放送が、映画の宣伝部門を受けもつという形で、トントン拍子に映画化は進行した。配給、それに製作協力も東映が引き受けることになり、ついに製作突入。時はまだ春、4月の中旬のことだった。5月20日、東映側のプロデューサー足立和氏の意向で、監督に佐藤肇氏、脚本に今戸栄一氏が決定。音楽もテレビとはちがう魅力をということで、上野氏にまかされた。そして、テーマ曲の歌手に研ナオコが決定。5月28日、製作打ちあわせ、スケジュール表の完成。5月29日~6月3日にかけて、足立氏、佐藤氏、それに今戸氏が都内某旅館にカンズメになってテレビシリーズ26本をビデオで大研究。「どの話も良質のものだったために、これを2時間にする編集作業はかなり困難をきわめた」(中島順三氏の話)という。こうして、6月14日、編集完了。日本アニメでフルラッシュ試写会。この試写を見たテレビシリーズのスタッフたちは、映画化を喜ぶと同時に「捨てられたカットのために涙を流していた」(上野氏の話)という。6月20日、テーマ曲レコーディング。22日、音楽どり、そして29日、アフレコ。アフレコも新しいアフレコ台本が作られ、すべてやりなおすことになった。ところが、声優さんのスケジュールのつごうで、ふつうなら2日間たっぷりかかるところを1日で録音しなければならなくなった。このため、連続17時間という異例に長いアフレコとなった。6月30日、7月2日、佐藤氏の都合上、ダビングは京都の東映撮影所内で行なわれた。7月13日、0号フィルム完成。こうしてできあがったフィルムは、9月15日の劇場公開を前に、最後のチェックを受けているところである。

大スクリーンに展開される「未来少年コナン」の迫力が映画のダイゴ味なら、テーマ曲が変わることもこの映画の最大の魅力のひとつである。その狙いは「若者の感性に訴える」(中島氏)ことにあった。作詞・作曲はニュー・ミュージックのシンガーソングライターでいま売り出し中の谷山浩子。歌手は、あの“地上最大の美女”研ナオコである。「はじめまして、アニメージュの読者のみなさん。ナオコ、アニメの主題歌ってはじめての経験だったでしょう。いつものレコーディングより、ちょっぴり緊張しちゃったみたい(笑)。でも、ビデオで見たりして、いろいろ研究して歌ってみたつもり。それに谷山さんのステキな曲だったから、すごくのっちゃった。ぜひ、聞いてください」シングル盤はキャニオン・レコードから8月5日に発売済み。また、8月25日にはA面にテーマ曲、B面にサウンドトラックの入ったLPも発売される予定。8月31日午前1時より、なんと、連続4時間(オールナイトニッポン)で、ラジオドラマ「未来少年コナン」が生放送される。出演は、小原乃梨子、信沢三恵子、青木和代、永井一郎などおなじみ「コナン」のキャストが勢ぞろい。「内容は映画とは必ずしも同じでありません。むしろ、映画でやむなくカットされたシーンをより多くやりたいですね」(上野プロデューサーの話)というわけで、ニッポン放送では、このドラマのために新しく台本を書き下ろすほどの熱の入れよう。あと、ファンと声優さんとの電話対談など、楽しい内容が盛りだくさん。8月31日は、一晩中、コナンでフィーバーしよう!!!!なにしろ、出演者の顔ぶれが超豪華。コナンのメイン声優さんたちは、もちろん全員集合。これに、アニメソングの歌手が、ささきいさお、堀江美都子、大杉久美子、水木一郎、大和田りつ子、こおろぎ7と勢ぞろい。おまけに特別ゲストが水島裕、神谷明、そして富山敬と揃ったから大変。この催し、もう、コナンフェスティバルというよりは、日本アニメフェスティバルといった趣きだったのだ。プログラムは、第1部が「コナン・ストーリー」。この趣向、かなり凝っていて、スクリーンの映写とステージのお芝居、そして声の吹替をやる声優さんとの立体ドラマ。特筆すべきは、お芝居をやった役者さんたちの扮装。写真のように、それぞれ、すご~いソックリさん。そして第2部は、谷山浩子さんのコナンの主題歌の自作自演。第3部は、アニメソングヒット・パレード。ここで特別ゲストの3人の声優さんが歌をご披露してお開き。小雨交じりの武道館に雨にもめげず集った1万人のコナン・ファンは、大満足で帰途についた。

ところで、リハーサル時の裏話をひとつ。リハーサルで本番以上に大活躍したのが水島裕さん。というのも、スケジュールの関係でリハーサルに遅れた玄田哲章、富山敬さんの代わりに岩鬼の声をやったり、歌を歌ったりと大忙しの1日だったのです。6月29日金曜日、雨が降ったり止んだりしてあまりスカッとしない天気。でも、当方はめげないのであります。なにしろ、あの“コナン”のアフレコ取材なのだ。ともあれ、ルポ、スタート!!場所は、アニメのメッカ東映動画のすぐ前にある東映東京撮影所のアフレコ・ルーム。かつては「宇宙鉄人キョーダイン」など、実写に使用されていた部屋で今日は特別。(なにしろ、最初から“徹夜”の予定だったので、ほかが借りられなかったという深い事情があったのだ)。さて朝10時きっかり、全員そろったところで、本番前の緊張の一瞬、と思いきや、レプカ役の家弓家正さん、ジムシィ役の青木和代さんに湯のみを差し出して、「おい、おシャク」。朝からお酒なんて、不謹慎、なんて思っていたら、これ、お茶の催足。「オットットットットー、おや、今日は薄化粧しているね」「そうよ、何かいいたい!!」「いやア、きみはとってもステキだね。こうして暗いところでみると……」。いやはやなんとも、家弓さんのレプカ役のあの憎ったらしい声を思い出すと、とても同一人物とは思えません。本番3分前。ラナ役の信沢三恵子さんが最後の練習。と、横からコナン役の小原乃梨子さんが、「ひさしぶりに聞いたけど、やっぱり、かわい~わねェ」とムージョの声。全員、大爆笑。で、緊張がほぐれたところで本番スタート。「ハーイ、休けい」。12時半から2時まではお昼休み。

ところで、今日は、若いゲストが特別参加。「夜のドラマハウス・アマチュア声優コンテスト」の入賞者、慶大生の松島宏くん(21)と学習院大生の宮崎順子さん(18)。2人とも、スタジオの中に入るのは初めてとあって、いささか緊張気味。気を使って、みんなにお茶なぞ出している。松島「ボクはもともと洋画が大好きで、だれがアテているのか気になりだしたのが、そもそものキッカケ。で、ちょっと悪い気もするんです。好奇心だけでやっていた僕が入賞するなんて」宮崎「声優さんに憧れたのは中学のときからです。いまは、プロを目指して特訓中、5年間は下積みを覚悟して頑張るつもりです」「初心忘るべからず、いいですね、新人は、ねっ、大ベテランの小原さん」「なによ、どうせ、あたしはコナンの母ですからね」と、当方がやり込められていると、遠くから誰かが、「祖母でしょう」「ずいぶんねーっ、もうっ」。ま、というわけで、午後のテスト開始。モンスリーとダイスの会話。吉田「ダイス船長……?」ダイスの永井一郎さん、ちょっとヨソ見をしていたので慌ててマイクを掴み、「いっ、いっ、こ、これはモンスリー女史、すでにフィルムは回っているのですか?」吉田理保子さん、笑いすぎのため、このあとテスト5分間中断。

午後4時、普通のテレビのアフレコならこのあたりで終了時間。が、今日のは、まだまだ、先ははるかに遠い。インダストリアの博士役、雨森雅司さん、登場。全員声を揃えて、「おはよう、パパ」「わっ、おとうちゃん」。雨森さん、天才バカボンのパパ役があだ名になっているそうです。さて、松島くんの出番。「インダストリアが見えました」という水夫の台詞。「こんなのできるかなー」と心配気な松島くん。「がんばって」の声。と、全員励ます結果は、「ダメ」「う······ぜんぜん」。とは、当人の謙遜の弁。なかなかのものでした。6時からは夕食。

そろそろ、みなさん疲れ気味。午後9時、宮崎さんの出番。「わーっ」という歓声だけだったけど、そのとき、彼女の目は、たしかにキラキラ光っていた。午前零時、全員、疲れてきたというのか、なれてきたというのか、本番は1回でOK。小原「監督さんが元気なのはステーキを食べたせい?」佐藤「イヤ、まむし酒」。午前1時、「ファイト、ファイト」全員、声をかけあう。2時30分、帰ったうちのだれかがさりげなくドロップを置いてゆく。この心づかい、うれしいですね。「ねェ、あなたも食べない」小原さんがサンドイッチをもってきてくれました。うっうっ、カンゲキ!!!! 午前3時、最後のひと声。小原さんの顔も真剣そのもの。「ラナー、死ぬなーっ!!!」アフレコ史上、前代未聞の17時間の激闘。スタッフ全員、深夜の大泉へ消え去りました。

Interviews:

Eiichi Imado:

今戸栄一さん、アニメ界にはなじみの薄い名まえだが、映画界では知る人ぞ知る重鎮である。かつては日活映画で石原裕次郎、赤木圭一郎作品などの名プロデューサーとして名を馳せ、現在は社団法人日本映画テレビプロデューサ協会常務理事の肩書きを持つ。その今戸さんが、なぜコナンのシナリオを!?!?その理由をうかがいつつ、コナンシナリオ化の苦労話をインタビューしてみるとー。

AM: そもそも、この仕事をひきうけた理由は?!?!
Imado: 「東映の足立さんとは、年来の友人でよく東映に遊びに行っていた。そんなある日、彼がアニメをやるという。で、『モノは!!』と聞いたら『コナンだ』という。『じゃ、ぼくにやらせてよ』っていったら、足立さんがビックリ。というのも、足立さんは知らなかったんだけど、ぼく、コナンはぜんぶ見ていて、映画にしたいな、って考えていたんですよ。それに、ぼくはもともとアニメは大すき。ディズニーはむろん、フランスのアニメのビデオなんかも買いこんで、たのしんでいるくらいですから」

AM: コナンのどこに魅力を感じていたんですか?
Imado: 「コナンという、ことばにはしにくいけど、キャラの魅力ですね。ぼくは子どもがいないんだけど、もしいたら、絶対、コナンのように育ってほしい」

AM: 26話中、もっとも印象に残ったシーンは?!?!
Imado: 「いちばんすごいのは、ギガント飛行、一連のシーンです。ただ、ほんとうに残念なんだけど、今度の映画は『コナンとラナの愛』というテーマがあったため、はずしましたけどね。あと、ジムシィとの出会い、水中シーンなんかもよかったですね」

AM: 映画が完成して、いまのお気持ちは?!?!?!
Imado: 「映画にするため、監督の佐藤さんと3原則を作ったんです。①ラオ博士はインダストリアに幽閉されている。②ハイハーバーは理想の島とするため、実際にはださない。③インダストリアは海に沈まない――これにそってシナリオを書いたんですが、ともあれ、いいシーンをいっぱいはずしちゃった。心残りというわけじゃないけど、ちょっと残念!というのがいまの気持ちです」

Hajime Sato:

ともあれ、上映前から「コナン」人気はたいへんなもの。そこで、ファンが一番気になるのが、コナン初参加の佐藤肇総監督。佐藤氏をミニ・ミニ人物クローズアップしてみると。

AM: いままでの作品は?!?!
Sato: 「ええ、『散歩する霊柩車』『海底大戦争』『怪談せむし男』『妖怪ゴケミドロ』(すべて東映作品)など、主にSFやスリラーを作ってきましたね」

AM: コナンの話がもちこまれてどうでしたか?
Sato: 「近ごろの映画は現実にしがみつきすぎて夢がなくなってきたな、と思ってたところに、東映の足立さんからこの話がきた。で、内容をビデオで見てみた、するとすごく夢がある。二つ返事で引きうけました」

AM: アニメということでの不安は!!!
Sato: 「それはありませんでした。もともとディズニーなんかすきだったし、それに昔、企画倒れになっちゃったんだけど『水滸伝』をアニメでやる話もあったほどだから」

AM: テーマ的にはどういう形でまとめられたんですか?
Sato: 「『コナンとラナとの愛』ということで2時間にまとめてみたんですが、捨てきれないカットが多かったですね。とくにギガントなんか泣く泣くきりました……」

AM: いまのお気持ちは!?
Sato: 「ぜひ、続編をやりたいです」

October

Animage [pg. 17-26]

Interviews:

Noriko Ohara:

AM: 久しぶりに見た感想は?!?!
Ohara: 「まちがいなく、私の代表作ですね。自分の出演したフィルムを見て感動するというのもヘンな話だけど、ラナのために、インダストリアの人々のために一生懸命行動するコナンがとてもいとおしくて、何度見ても、胸がいっぱいになってしまいます」
AM: あらためて、コナンの魅力!?!
Ohara: 「今回も見たとたんに『キャー、コナン、ステキー』なんて(笑)騒いじゃったんだけど、なんていうのかしら、気がついてみたら、コナンはいつのまにか、演じている私から抜けだして一人歩きしているのね。だから、私も、そんなふうに騒いで、みんなといっしょにハラハラしたり、大笑いしたり、手をたたいたりしちゃう。つまり、演技をこえた存在というのか、そんなところが、コナンの魅力じゃないかな」

Mieko Nobusawa:

AM: ラナって、どんな女の子ですか?
Nobusawa: 「いままで、すごくいそうで、それでいて、じつは、いなかった(笑)という女の子です」
AM: どこが?!?!
Nobusawa: 「だって、かわいくて、純粋でいて、それでシンが強いでしょう。女の子の理想像なのね」
AM: ところで、今度の映画化は?
Nobusawa: 「ハイハーバーのシーンが全然ないのが、残念。ちょっと、コナンのもつほのぼのとした感じがよく伝わらないんじゃないかしら。でも、大画面だから」
AM: 劇場用の苦労は!!!
Nobusawa: 「BGMが大きかったから、声量をあげたことで、微妙なニュアンスをあらわすのがタイヘン。小さな声じゃダメだったから」

Kazuyo Aoki:

AM: ジムシィのこと、どう思います?
Aoki: 「……愛してます」
AM: どこ?!?!?!
Aoki: 「すべてに決まってるじゃない。愛って、そういうものよ」(笑)
AM: 役作りの苦労は!?
Aoki: 「なし。とにかく、ジムシィのこと、死ぬまで忘れないでねー!!」

Kazu Adachi:

AM: 映画化に際しての製作プロセスは!?
Adachi: 「まず、第一段階として、映画化のための条件を4つだしました。テレビシリーズ26話を与えられた素材と考え、ダイジェストにはしない。音楽、効果音を変え、それらに多くの役割をもたせる。それと、描きたしは、いっさいせず、テーマはコナンとラナの愛を中心に描くということでした」
AM: 設定の変更は!?
Adachi: 「3つあります。ラオ博士はインダストリアに幽閉されている。コナンはハイハーバーへ行ったことがない。インダストリアは海に沈まない」
AM: テレビと変わったところは!?
Adachi: 「13話をラストにもってきました。上記の設定変更のため、こうしたんです」
AM: 登場人物のあつかいは!?
Adachi: 「お話のパターンにあてはめるとよくわかるんです。コナンを王子さまとすると、ラナはお姫さま、仇役がレプカ。問題はワキ役でした。ジムシィ一人じゃ弱いんですよね。ところが、ダイスと組みあわせると、非常に生きてきた。あと、むずかしいのはモンスリィでしたね。というのも、二枚目というのは、一歩まちがうとよけいな存在になっちゃうんですよね」
AM: シナリオ作業中の苦労は!?
Adachi: 「作業も第2段階、ストーリー構成をはじめようと思ったら、日本アニメに脚本の保存がないという。困りましたね(笑)。で、アレコレ台本をぜんぶコピー。おかげで、東映のゼロックスはパンクしましたよ(笑)。あと、佐藤監督と、シナリオの今戸さんで作業をはじめたのですが、いちばん苦労したのは、ビデオの入れかえですかね。というのも、つごう、1話につき15回くらい見たから(笑)」
AM: 編集段階の苦労は!?
Adachi: 「佐藤さんが『スクリプター(記録)にはベテランをつけてくれ』といってたんです。記録なんて、誰でもいいのに······とタカをくくっていたらこれがタイヘン。カットしたフィルムをつなげるとき、カットナンバーがない。佐藤さんの意見にしたがい、この道30年の宮本衣子さんに頼んでおいて、ほんとに助かりました」

Comments:

  • Kazuhide Tomonaga: 宮崎さんという人は、やたら、武器にくわしい人なんです。何々タイプの機銃がどうの、砲座がどうの、とよく聞かされましたね。それが、ま、あのリアル感につながっているんでしょうね。それと、ギガントに関しては演出のすばらしさを忘れられませんね。ギガントの巨大さを表現するのに、インダストリアの街並みにそって影が微妙に動くなんて、宮崎さん以外じゃ、考えつかないんじゃないかな。ともあれ、自分で原画を描いたくせに、放映のときはいつも「こいつはすげえ」と感心して見ていました。
  • Kazuo Komatsubara: ビックリ、というのが、毎週見ていた正直な感想です。当時、ぼくは、「ハーロック」でアルカディア号を動かしていたんだけど、ぼのとはまるで正反対の手法。ぼくのは、旋回を多くして描きだしていたんだけど、ギガントは、たとえば、発進のとき、鉄くずなんかを舞いあがらせてすごさをだしていたでしょう。いままでのアニメとは一味ちがう演出の力の魅力でしたね。
  • Ichirô Nagai: 中年のいやらしさ、ずるさをもっているくせに、ダイスという男はどこか純情で一途な面ももっている。ま、ぼくの日常をだせばいいんだけど(笑)。それはともかく、見ていて、恥ずかしくならないキャラでしたね。
  • Rihoko Yoshida: 映画版で残念なのは、モンスリーのきまり文句「バカねっ」をぜんぜんいえなかったこと(笑)。いいたかったのにな。ともあれ、この役ほど、回を追うにしたがい、ひきこまれていった役はありませんでした。
  • Iemasa Kayumi: ぼくは、レプカは、けっして悪人じゃないと思っています。インダストリアの社会構造が生んだ典型的な官僚ですよね。「コナン」のすごいところは、こうした官僚主義まで描いていたとこじゃないですか。

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