1981
November
Animage [pg. 40-43]



1: おもちゃ会社へのプレゼンテーション用 トレーラーフィルムを初公開
新しいヒロインがまた生まれた。少女の名はデ イジー・モレア。地球からはるか離れたデロイア 星へ、ひとりの若者を捜しにやってきた。それが この物語の主人公クリン・カシム。彼を求めて、 戦乱の星をたったひとりで旅する健気な少女であ る。日本サンライズの新しい“出会い”の物語だ。 「クリンとデイジーの出会いと別れを横糸にして 『太陽の牙ダグラム』は“政治”や“革命”や“歴 史”をテーマのたて糸にすえた、すこしアダルト な物語」(高橋良輔監督の話)。その魅力を垣間見ると。
このトレーラーフィル ムには『太陽の牙ダグラ ム』の舞台とおもな登場 人物がコンパクトにおさ まっている。 放映前に手 に入れた数少ない資料と して貴重なものだ。 土星のような輪をもつ 星が、スタフェラ2重太 陽系の惑星デロイア(1)。 地球の植民星だ。『ダグラ ム』はここを舞台として くり広げられるゲリラ戦 アクションを中心にした 人間ドラマだ。 主人公は、ロボット (正 確にはコンバットアーマー) に乗っている6人の男と レーダーをみているひと りの女(8~14)。みんなあわせ デロイア7(セブン)”と呼 ばれるゲリラ部隊。 地球連邦 政府に反旗をひるがえして、 独立運動をすすめるグループ のひとつである。 そして、この物語でもっと も重要な位置をしめる人物ド ナン・カシム (7中央)。地球 連邦のメドール州の代表でク リンの父親である彼は、実は デロイア独立派の代表である フォン・シュタイン大佐をか げで操る黒幕ともなっている のだ。 というわけで、ストーリー はちょっと複雑な人間ドラマ をはらみながら展開するが、 サイドストーリーとして作品 を彩るのが、最初に紹介した デイジー・モレア。 主人公ク リンの幼なじみのカレンな少 女である(18) まるで西部劇 2: 高橋良輔+星山博之の新コンビがえらん テーマは”父と子の対立ドラマ”
9月17日、あわただしい打 ち合わせをぬって、監督の高 橋脚本の星山、プロデュー サーの岩崎正美のメインスタ ッフとアニメ雑誌5社の共同 記者会見がサンライズ近くの 喫茶店「青柳」で行われた。 高橋監督はまずテーマにつ いてこう語った。 「いまを境い目にした歴史の 過去と未来の戦いです」 もうすこしストーリーにそ っていえば、父親と息子のそ れぞれの持つ立場や性格が、 デロイア星の独立という“政 治的テーマ”をなかだちにし て対立していく、ということ になる。 「やはり、視聴者は少し高い 年齢を狙っています」(岩崎プ ロデューサー)と語るだけあっ て、設定もストーリーもかな り緻密に作られている。 その具体例のひとつを高橋 監督が説明してくれた。 「たとえば、ロボット戦なん てものはかなり不便なものの はず。故障もするだろうし、 燃料も切れる。レーダーだっ て、電波障害でなかなかうま く働かない。いままでのロボ ットものとちがって、そのあ たりをていねいに描きたい。 ひと味ちがったロボットアク ションになることは確実です。 星山氏もこうつづける。 「いまいる人たちとほとんど 同じ人間として描き、それが いつしか非日常的な戦争とい うものにまきこまれていく過 程を描き出したい」 ところで、作品のアイデア はという質問に、高橋氏は笑 いながらこう答えてくれた。 「星山さんの顔、なんとなく 岡本喜八さん(実写の監督「肉 弾』などの作品がある)に似て いると思いませんか? それ で「独立愚連隊』(これも岡本 氏の作品)なんかのアクショ ンがイメージとして頭のなか にあるんです。それと、昔、 テレビでやっていた『コンバ ット」が作品のイメージ作り をするときに、ぼくの頭には ありました。
3: 物語の舞台となるデロイア星とは?
スタフェラ2重太陽系にあ る地球の植民星。地球からの 移民開始後130年、人口は 12億を数える。地球の資源の 多くを供給しているが、自治 は認められていない。気象は ほぼ地球と同じ。 地球を知らないデロイア人 が90%を占めるようになって、 ようやく地球からの独立の気 運が高まってきた。 地球とは専用宇宙船による ワームホール”、星間トン ネル航法でむすばれている。
のワンシーンのようなこの後 ろ姿は、早くも第1話に登場 するが、話題を呼びそう。 さて、気になるのはメカの ことばかり、というキミにも 『ダグラム』のメカはこたえ られないものになりそうだ。 大河原邦男氏のデザインによ るメカ群は『ガンダム』より も、より「メカらしいメカ」 を目標に設定されたもので、 マニュアルもパーツも凝った もの。第1話から登場する。
5: 親の不正を子があばくという 従来のアニメにはなかったストーリー展開
第1話は予告編的なものに なり、ストーリーは第2話か らはじまる。 クリンの父、ドナン・カシ ムがいなくなる。独立を要求 するデロイア人にとらわれた らしい。クリンは父を追って デロイア星へと旅立つ。 しかし、父の失踪は、彼自 身がデロイア独立派を弾圧す るために仕組んだ計略だった のだ! デロイア星に到着 したクリンは、その弾圧の あまりのむごさに、しだいに 独立派へと心を傾けていき、 ついにゲリラ組織に入る。そ れが“デロイア7″だ。 クリンはその過程で、実は 父がこの弾圧の黒幕だったこ とを知る。父と子のおたがい の正義を主張する闘いがはじまる。 そして、クリンを追って、 デイジーもデロイアへ……。
7: ところで、注目のメカ・ダグラムはなぜ”コンバット・ アーマー」と名づけられたか?
Comment from Kunio Okawara:
「ダグラムはガンダムと同じ モビルスーツといえますが、 より兵器というイメージに近 いものです。目的に応じて武 器をつけかえるし、頭部は本 来は透明な素材を使った司令 室だったんです。 あまりにも 便利になりすぎたメカへの反 省として、ストーリーのなか で、いろいろな変化のあるメ カを作るのがねらいでした」 さて、この”コンバット・ アーマー”というネーミング だが、これを決定した高橋監 督の理由はこうだ。 「やはり『コンバット』のイ メージがあったんです。それ これに決めました。 アーマ Iには”よろい”の意味もあ りますが、白兵戦用のメカと いう意味で使って下さい」 このダグラム、第1話に登 場するが、つぎの登場は9話 以降となるから、お見逃しの ないように。ゲリラ側が独自 に開発する兵器として、下の 2つの連邦軍メカと対決する。
8: コンバット アーマーの開発 の重要なポイ ントとなった メネブラ星 雲”とは?
デロイア星は、2重太陽系 惑星のためレーダーなどが使 用しにくい。そのうえに“X ネブラ星雲”という、高周波 コンピューターの能力を制限 する現象がおこる。このため、 地球連邦軍の主戦武器である ラウンドフェイサー”は本来 の機能を半減される。 ダグラムは、この”Xネブ ラ星雲”から影響力をうけな いように設計された武器。 コ ンピューターを使わないため に、かなり不便なものになる が、緒戦においては、ソルテ ィックより有利な戦いを展開 することができるのだ。
Episode Summaries (Written by Masami Iwasaki):
『ダグラム』のオープニングでは、 これまでのメカもの、アクションも のとは多少感じを変えてひそかに 息づいているダグラム”というふん い気を出してみました。 そしてエンディングは、クリンに 想いを寄せているデイジーにスポ トを当て、デイジーの側に立った構 成にしました。作曲は冬木透さん、 作詞は原作者のひとりである高橋良 輔さん、そして歌うのは麻田マモル さんです。 クリンを追って星に出かけて行く デイジーの気持ちにピッタリのバラ ードふうの美しい曲調です。 そして、 画面ではデイジーがひとりで花うら ないをしています。クリンを想うデ イジーの気持ちが、見ているあなた にも、かならず伝わることと思いま す。 『ダグラム』でのいままでにないオ ープニングのふんい気、そしてこの エンディング。男性だけでなく、女 性の方たちもきっとファンになって くれるはず!
★見どころ★
1話「光りの戦士」
地球の植民星デロイアに、独立戦 争がおこった。父をさがしにこの星 にやってきた少年クリンは、戦争に まきこまれ、独立派ゲリラに身を投 じる。彼と6人の仲間がつくるゲリ ラ隊デロイア7″は、独自に兵器 を開発する。それがダグラムだ。 第1話は、このダグラムが補給列 車を襲うシーンを中心に、クリン・ おいかけてきた少女デイジーが、従 軍記者ラルターフとめぐりあうエピ ソードが展開する。
Animedia [pg.14-15]

December
Animedia [pg. 22-23]

と子が互いの 存在意義をか けてたたかう
デロイア星を舞台に、親と子がみ ずからの存在意義をかけて火花を散 らす。いま、この運命の人間関係を 徹底研究!
『太陽の牙ダグラム』は、惑星デロイアの独立 戦争を舞台とした父親と息子の物語だ。戦闘シー ンでは、人間型をした戦闘マシーン・コンバット アーマーが活躍するが、登場キャラクターの関係 つかんでおかないと、『ダグラム』のおもしろさ は半減してしまうだろう。 そこで、メインキャラクターについて、 高橋良 補監督とキャラクターデザインを担当した塩山 紀生チーフ作画監督のコメントを交えて徹底研究 してみた。 ドナン・カシムには、妻フィナとの間に、クリ ンのほかに、2人の息子と娘がひとりいる。長男 のラビンは財務省につとめ、次男のロイルは武器 なども扱う商社にいる。長女のサラは、兄ラビン 弟ロイルの生き方を嫌い、夫のレークとともに クリンのことを親身になって心配している。 このほかメインとなるのは、独立戦争を引きお こした謎の男フォン・シュタイン大佐だ。
善悪の対立では描けない世界をめざす (Includes Comment from Ryousuke Takahashi)
親子を対立関係に置いたというのは、 一つには善悪ということでは描けない部 分を描いていきたいと思ったからです。 善悪だったら倒すか倒されるか、正か邪 かってことになりますけど、善悪でなけ れば、いまは対立しているけれどももし かしたら手を握ることができるかもしれない、2つのぶつかり合いの 中からもっと新しいものが出てくるかもしれないということがあるわ けです。そのためには、一番身近な肉親を敵にしてしまえば、完全に たたきつぶそうということにはならないだろうと。『ダグラム』でいけ ば、かなり長い間お互いに妥協しないでいくとは思うんだけど、その うちどこかで肉親の情というのが出てくると思うんですよね。 とにかくこの話では、20話近くまで誰も大義名分では動いていない んです。みんななりゆきで、本能的に動くんですよ。
第一話がこの物語のすべてを語る
第一話誌上VTR
砂漠に半ば埋もれ、赤サビたダグラム。 ラストシーンから第1話は始まる。スタフ エラス二重太陽系第3惑星デロイア。この 星はいま独立のためゲリラ戦が続く。
よりリアルな作画を (Includes Comment from Norio Shioyama)
キャラク ターの性格 設定がかな りリアルな ものになっ ているんで 絵の方もそれに合わせてリアルにして いかなければならないんです。アニメ ーターにとっては苦しい作業になると 思いますが、これも勉強ですからね。 くろうと受けのするキャラクターにな ったんじゃないですか。 ロボットの動きにしてもよりメカら しさを強調して、ふつうのアニメなら バアーッと飛んでいくところを、「ダ グラム』では一歩一歩歩いていきます からね。こういうのが好きな人には、 こたえられないと思いますよ。
1982
January
Animage [pg. 41-44]

主人公の魅力は?
いうとあごのとがった顔が多かっ たけど、こういうふっくらした顔 立ちのほうが、動いたときにかわ いい。はじめての丸顔のヒーロー」 「デイジーは50年代のアメ リカにいたみたいな女の子。 とりたてて美人ではないけれせ ど、育ちのよさを感じさせる。 話の汽車のシーンがよかった」
タケルとクリンの恋人登場キャラの個性は?
「キャナリーのよう に個性の強そうな女 サブキャラはめず らしい。アクの強い キャラが魅力です」
メカニック・アクションは?
「ハードないいメカだけ れど、もうすこし動きが おもしろければ最高」
「とくにヘリコプター やミサイルが現実に使 われたものでリアルさ はあるが、まだお話し のなかでメカが生かさ れていませんね」 「ゲリラという設 定はおもしろいが いつ出てくるの」
主題歌・BGMは?
クラ~イ主題歌
「全体に音楽は暗い 感じ。ストーリーに あわせたほうがいい」
ストーリーの展開は?
話がおもわせぶり!!
「1話がすごく奇をてら った出だしだったので、 印象に残ったけれど、期待したわ りにストーリーはすすまず、いっ たいどうなっていくのやらと心配 です。おもわせぶりすぎる展開の 仕方なので、ついつい期待しなが ら見てしまうのだけれど、その期 待にこたえてくれないのがこまり ます。話が複雑すぎるのでは」
The Anime [pg. 22-25]



すれいの青春 (Interview with Hiroyuki Hoshiyama)
TA. 人間ドラマ『太陽の牙ダグラム』 で注目したいのは、主人公クリンと ヒロイン(正確にいうと、ヒロイン らしき) デイジーの関係が、今後ど のように変わっていくかである。 原 作・脚本の星山博之さんに、そのこ とを聞いてみた。
Hoshiyama. デイジーはクリンを追って デロイアに行くのですが、なかな か会えないんです。そうなると デイジーの心にいつしかスキが できてくる。そのスキをついて やろう、という男が現れます。
TA. それは誰なんですか?
Hoshiyama. ドナンの秘書、ラコッ クです。デイジーは地球の 名家の娘なので、ひょっと するとそれをねらっているのかもしれ ませんね。
TA. そういう話は、いつごろ見られ るのでしょう?
Hoshiyama. だいたい20話くらいかな。 描 き方としては、見ている人に 「デイ ジーがラコックに持ってかれちゃう。 クリンはどうするの?」と感じさせ るような形ですね。
TA. クリンとデイジーは、互いに魅 かれてはいるんでしょう?
Hoshiyama. まあ、そうなんでしょうね。 でも、クリンの方は、自分の信念を 貫くことばかり考えているので、デ イジーのことまで頭がまわらない。 一方デイジーはというと、素直なコ なんで、ずーっとクリンを想ってる んです。
TA. このデイジーの性格について、 高 橋良輔監督はこう語っている
Ryōsuke Takahashi. 僕としては、彼女はナンにも 持ってない少女だと思うんです。 つまり、ドラマチックな人間像がない アニメのキャラとしては喰いたり ないかもしれませんね。 クリンを追っかけていくのは、純 情さゆえの無鉄砲ですが、これは肯 定できることではありません。 また、一見積極的に見えるあの行動 も、じつは状況に対する〝受け身” でしかないんです。 もっとも、財閥である家庭とつなが っている限り、しかたがないことか もしれませんが……。 ともあれ、このままではじつにた よりなく、どうなっちゃうんだろう と作り手の僕が心配しているくらい です(笑)。
ふつうのドラマなら、たいていヒ ーローとヒロインは「めでたし、め でたし」になるものだが、どうやら、 『ダグラム』ではそうはならないよ うだ。
複雑な人間関係がドラマを創る
人間ドラマをつくる
“人間ドラマ”とは何だろう。人間 の心を描いた物語、人と人の葛藤を ストーリーの骨子にしたもの や、物語の中に、生き生きと人間が 描かれていることが第一条件ではな いだろうか。 『太陽の牙ダグラム』にはそれが期 待できそうだ。ひとりひとりの個性 と、その背景をうきぼりにして、デ ロイアという植民星での内乱を描き 出そうとしている。 巨大な地球連邦のほんの片すみの 小さなしかし、それにかかわる 人々にとっては、あがらいようもな いほど大きな戦いの中で、クリンや ロッキーは、いまそれぞれの想いを 胸に荒野をゆく。
この関係図のウラに
愛があり、嫉妬があり、憎しみが、 恨みが交差する登場人物たちの心は、 『太陽の牙ダグラム』を、よりリア ルな作品に仕上げている。それは、 それぞれの性格や背景の設定が確立 されているということと、脚本、演 出などで、さらに生かされているか らだろう。いや、ここまでくると、 彼ら登場人物たちは、動画用紙の上 で勝手に動きだしているのかもしれ ない。 人と人のドラマを前面に押し出し た『ダグラム』は、未来史の1ペー ジに、デロイア内乱という独立戦争 を描き出している。戦闘シーンにも 登場人物の個性を表現する演出は、 『ガンダム』『イデオン』古くは『ザ ンボット3』などの富野喜幸作品に 多く見られるが『ダグラム』におけ る高橋監督の演出は、それとはまた 少し違うようだ。人間重視といった 点では同じだが、さらに複雑な関係 図を描き出すようにからみあってい る。その複雑な人間関係の奥にはど んなテーマが潜んでいるのだろう。
今後の展開のポイントは? (Interview with Ryosuke Takahashi)
前号で疑問符をつけた第1話の暗 示するものや、今進行している物語 の今後、またこれからの見どころな ど 『太陽の牙ダグラム』の内容を、 高橋監督にきいてみた。
TA. 第1話でくちはてたダグラムが 登場しましたが、あれはいったい何 だったのですか。
Takahashi. まず結末の暗示ですね。それ と『ダグラム』に登場するロボット は兵器”であるということ、また 兵器としての末路”を描いてみた んです。僕としては兵器を必要とす る世界は望ましくない戦いの世 界はくちはててほしい、そういう想 いがこめられています。
TA. では、最後は平和になるんですか。
Takahashi. いや、それはわかりません。 兵器がくちる時は、平和になる時と は限りませんよ。ただ、ダグラムの 戦いは終っています。それがハッピ かアンハッピーかは、見ていてく ださい。
TA. 第1話のあと、第2話以降はス トーリーが第1話以前の話になりま すね。
Takahashi. つまり、少年であるクリンが ロボットに乗るというのは、やはり 無理があると思ったからです。まあ マンガだからいいじゃないというこ ともいえるでしょうが、ロボット自 体だって不自然な存在になる。ダグ ラムを兵器として位置づけるために も、クリンがロボットに乗るまでの 話にふれる必要があるんですね。
TA. それは何話ぐらいまでですか。
Takahashi. 第10話ぐらいまでで、描きま す。多少はぎれの悪さはあるかも知 れませんが、がまんしてください(笑)。
TA. 『ダグラム』での新しい試みはありますか。
Takahashi. 音です。今までは、セリフの 入る時には、あまりBGM(音楽) やSE(効果音)は入れませんでし たが、今回は臨場感を出すために細 かく入れていきます。第2話で、ソ ルティックが立ってる下にジープが 集まってくるシーンでは、現場報告 が2種ぐらい入っています。音の人 がなかなかいい音にしてくれていま す。画面がイキイキしますね。
TA. では、今後の見どころは。
Takahashi. 第7話でダグラムが登場 つったってるだけですが(笑)。その 後、ダグラムがいかに強くて、かつ、 不自由なロボットであるかというこ とですね。やはり兵器ですから、や っかいをかけるんですよ。 それから、第9話の戦闘シーンにつ いて、ぜひ感想を聞きたいと思いま す。ほかの戦闘シーンと印象が違う かどうかをおしえてください。
My Anime [pg. 23-26]



ダグラムは勝ち残れない
兵器としては劣る性能
第一話で大活躍したダグラムを見ただろう か。今までのSFアニメに登場したメカとあ まりにも違うので、とまどいを覚えた人が多 かったと思う。少なくともダグラムは、空を 飛ぶことは不可能 だし、超能力もな い。まして合体な ど、とても出来な い。つまり、兵器 としては、本当に だらしのないロボ ットなのだ。 そのダグラムの全重 量は約30トン、最大歩 行時速は推定で55キロ、 現在、陸上自衛隊で使 われている74式戦車が、 重量35トン、最大 時速50キロだから、 戦車よりも劣る というわけだ。 その点を制作担 当のスタッフに 聞いてみた。 「『ダグラム』は、あ くまでもSF(サ イエンス・フィク ション)だということを頭において見てほし いですね。しかし、ヒト型のロボットで人間 が中に入って操縦するものとしては、考えう 最大限のものだと思うんです。逆に、真実 味が出てくると思うんですがね」
ウイークポイントはキャノピー 近未来戦を想定しているだけに、リアリテ ィーの追求が大切。今までのSFロボットの ような、スーパーロボットではダメだという ことなのだ。しかし、いくら近未来戦を想定 しているとは言え、あまりにも弱すぎるのだ。 たとえば第二話、空港で ダグラムの原形 であるソル ティックが、ジープからの砲撃一発でやられ てしまうところがあった。狙われたのは、キ ヤノピー。つまり、コクピットの部分だ。 「現在使われている戦闘機のほとんどに共通 しているのは、コクピットがウイークポイ ントだということなんですね。ですから、キ ャノピーの部分が極端に小さく作られている んです。けれど、デロイア星の場合、Xネ ブラと呼んでいる強烈な磁気あら しがあるので、電波が使 えず、有視界操縦に 頼らずにはい られないんですね。だ から、必然的にキャノピー も大きくならざるを得ない んです」 なるほど、ただ弱いだけ ではなかったのだ。
ワームホール航法の不可能
反重力システムはいつ使われたか
「ダグラム」の世界では、星間を往来するのに、 ワームホール航法が使われている。ワームホ ールとは、回転しているブラックホールのこ とだが、その全容は現在の天文学では解明さ れていない。むしろ、宇宙最大の謎と言われ ているくらいだ。しかし、その存在だけは明 らかになっており、ワームホール を使って異空間に抜け出ることも、 原理的には可能だと思われて いる。 ただ、ここで問題になるの は、ワームホールを通過 するために使われる反重 カシステムのことだ。ブラックホ ール内は想像を絶する世界だ。し かも、入る角度を間違えると、二 度と出てこられなくなる危険性も ありうる。いかに宇宙船をコントロールして 進入するかが、重要なポイントになってくる のだ。それには反重力システムを使うことが 考えられるが、第二話、第三話の宇宙船がデ ロイア星に向けて発進するシーンでは、どこ でこのシステムが、 使われたのかわか らない。 「反重力システム 自体、どのよう な装置なのか、 あるいはどのよ うな作動をするのか 想像するしかないの で、明らかなカタチでお 見せすることはできなか ったのですが、反重力シス テムは使われています。そ うでないと、宇宙船をコント ロールできないかもしれませ んからね。ですから、ワームホ ール内を航行する時は、必ず使 っていると思って下さい」
ブラック・ ホールの怪
「ダグラム」ほどの世界だ。 宇宙船の航行 に関するすべては、すべてコンピューターま かせ、ひょっとしたらパイロットさえいない のかもしれない。そして、反重力システムも 乗客の知らないうちに、コンピューター制御 によって使われているに違いない。
忘れ去られた太陽風
理論を無視した二重太陽
デロイア星の一日は、二重太陽が昇 る時から始まる。奇妙な光景だが、 現実の宇宙にも二重太陽は存在す るのだ。二重星あるいは連 星と言われているのがそれで、特に連星の場 合は、互いに非常に近接していて、引力を及 ぼしあい、軌道運動をしている。 デロイア星の二重太陽は、この連星と思わ れるが、それにしては、そこから受ける影響 が、あまりにも少なすぎるのではないだろう か。たとえば、デロイア星に かかるリングだが、二重太陽 からの強力な太陽風によっ て、その存在はありえな いと思うのだ。 「デロイア星には人間 が住んでいます。人間 が宇宙服を着ないでも 住めるということは、 太陽風の影響もたいし たことはないんでしょ うね。ですから、リン グの存在もおかし くないと思うんで す。地球とほと んど同じ星だと 考えて下さい」
矛盾だらけの近未来戦
滑稽な軍用列車
赤い谷で、デロイア7が連邦軍の軍用列車 を待ち伏せする。これは、第一話でのゲリラ 戦のシーンだが、なんと、軍用列車は シュッシュッポッポッという、まるで 蒸気機関車のような音とともに近づ いて来たのだ。だが、煙突らしきモ ノもないし、一体、なに を動力にしているのか不 思議に思えてくる。 では、「ダグラム」の 世界ではリニアモー ターカーは存在し ないのだろうか。 デロイア7が持 っているリニアガンと、ほぼ同じ原理である リニアモーターカーが、作れないはずはない と思うのだが・・・・・・。 「確かに、蒸気機関車のような音が しますが、そこは未来のことです。 石炭が見直されて、あのような列 になるかもしれませ あるいは、全く 音の出ない列車では 列車らしくないという。 ので、テープレコーダー のようなもので音を出し ているのかもしれません。 いずれにしても、ノスタ ルジックなモノが懐かしくなっ ている時代だと思うんです」 デロイア人も人間だ。現在 に生きる我々と、同じような 気持ちでいるのかもしれない。
なぜ太陽 の牙か?
なぜ「太陽の牙」 なのだろう。誰も が疑問に思うことだ。 「意味は、権力に対する 民衆の力といったものです。具体 的には、新聞記者であるラルター フが記事の中で使う言葉なんです」 制作担当スタッフは明確に答えてくれた。 地球の植民地星として、10年間という永い間 地球の支配下にあるデロイア星。ドナン・カ シムとフォン・シュタイン司令官の 策略によって、独立の夢がもろく 崩れ去ったかのように見えるが、 戦いはこれからなのだ。 イトルが示すように、民衆 の方がひとつになって、 本の牙になり、独立を勝 とってほしいも のだ。
November
My Anime [pg. 60-62]

アンディ鉱山を根拠地に、ゲリラ たちは組織を確立した。それによっ て、サマリンを中心に、ザルツェフ の指揮のもと、数多くの戦果を上げ てきた。 しかしそれは、本誌で何度も言っ てきたように“敵”と戦うことだけ であって、本質的には何も変化はし ていないのである。つまり、クリン 解放軍遊撃隊が、いかに多くの Bアーマーを倒そうと、デロイア の状況は変わらないのだ。 デロイアの戦いは、あくまでも独 立をめざしたもの。 局地戦の戦果だ けで一喜一憂していたのでは、何の 進展もしない。この戦いを成功させ るには、民衆、つまりデロイア人の 意識の統一が必要ではないのか。 幸 いサマリンには、その点がわかって いると思われるのだが、ザルツェフ 以下、クリンたちはわかっていない。 また、ストーリー自体も、アンデ ィ鉱山をとりまくデロイア人の意識 を描いてはいない。画面に現れるの は、ただおびえる市民であったり、 逃げまどうだけの市民であったりす るのだ。 だから、我々はゲリラと連邦軍の 戦いだけに注目するのではなく、本 来の戦いの目的を常に頭に置いてス トーリーを追っていかないと、「ダグ ラム」を理解したことにならないよ うな気がするのだ。
これまでのストーリーを見る限り、 レーク・ボイドは善人であった。デ ロイアの政情がどんなに変わろうと、 常に自分の職務をまっとうしようと する男なのだ。 たとえば、ドナンがゲリラに対し て強硬策をとろうとした時も、レー クただ一人だけは反対するのであっ その心底には、武力で人を押さ えつけるのではなく、話し合いで政 治をしていくのが、政治家の務めだ といった考え方が流れているのだ。 だから、デロイア人のことを常に考 え、地球とデロイアが平和に共存し ていくことを理想としていた。それ が行政官の務めだと思っているのだ。 しかし現状はあまりにもシビアで ある。レークがデロイアについて考 えれば考えるほど、ドナンの意向と は正反対の方向にいってしまうのだ。 おまけに、地球人であるレークは、 どんな善政をしようと、デロイアで は信頼を置かれないのだ。だから、 彼自身の中で、相当なジレンマがあ ったに違いない。 このストーリーの中で、レークの 存在は小さいけれど、地球とデロ イアの板ばさみになって悩む彼の存 在は、ひょっとするとストーリーテ ーマそのものだと言えるかもしれな いのだ。
軍内部でのデロイア人兵士と、地 球人兵士との亀裂は、日増しに大き くなってきた。そのことは、ドナン たち地球の首脳陣にとっても、ゲリ ラ側のサマリンたちにも大きな驚き だったはずだ。 具体的には、33話でウナル基地に 駐屯する連邦軍内でクーデターが起 こる。約六百名のデロイア人兵士た ちが、地球人のデロイアへの差別に 抗議して、武力で基地を占領するの だ。それに対しドナンたちは、他の 部隊への影響を恐れ、極秘裏のうち に鎮圧にかかる。一方、サマリンは、 これをチャンスとばかり、反乱軍の 応援に解放軍遊撃隊をさし向けるの だ。 連邦軍の約8割を占めるデロイア 人兵士を味方にすれば、兵器での戦 いよりも、一段と効果的であるとは 前号でも述べたが、サマリンもその ことに気付いたに違いない。 では、デロイア人兵士をゲリラ側 につかせることで、今後のデロイア 情勢に変化は現れるのだろうか。少 なく考えても、影響は大である。連 邦軍側にとって、指揮が乱れること は、直接、戦力にかかわってくるか らだ。今後も、軍内部の混乱には注目 していきたい。
新型CBアーマー・F4Xの登場 は、すでに前号でも紹介した。だが、 それに対して、何の対応もできない のがゲリラ側の現状だ。 もっとも、アンディ鉱山に総攻撃 命令が出る52話以降では、新型ダグ ラムをつくるような余裕はない。ゲ リラの根拠地をどこに置くかのほう が、重大な問題なのだ。 その点、軍内部の乱れはあるにせめの後 よ、続々と新兵器をつくりだす連邦 軍には、ゲリラ側にはない余裕を感 じる。それは兵器だけに限ったこと ではない。人材においても、とてつ もなく豊富なのだ。 では、そんな連邦軍に対して、ゲ リラ側に勝算はあるのだろうか。た とえば、大活躍のクリンたち解放軍 遊撃隊が、ダグラムとともに全滅し たら? あるいは、ゲリラ側の中枢 であるサマリンやザルツェフが死ん だら? 生死が隣り合わせとなる戦 場だけに、常に不安がつきまとう。 し、そのような事態になった場合、 ゲリラ側がこの戦いに勝つことはむ ずかしくなる。サマリンは、そのた めの後継者づくりを考えているのだ ろうが…
Monthly Comments and Q&As
Animage:
- January ’82: ’81年は一言でいえば激動の年であ ったと思います。年明け早々『トラ イダーG7』の打ち上げパーティー に始まり、名古屋テレビよりの高視 聴率賞にホッとするが、後ワク 『ダ イオージャ』の放送開始にてそのな りゆき心配。中学生のあいだで水戸 黄門遊びの流行を聞き、喜ぶべきか 悲しむべきかー。 春3月 『ガンダム』(第1部)、当社 にとって初の劇場公開にて心身とも に疲れるが、ファンの熱気に元気づ けられる。急用で故郷の京都に帰っ ても『ガンダム』の結果が心配で京 映の入口でウロウロ。入場料を払う お客に「ありがとうございます」と 叫びたくなる。『ガンダムII』7月公 開決定でスケジュールに頭痛し、ス タッフの協力と努力を祈るのみ。 『太陽の牙ダグラム』10月放送開 始決定となり、日曜祭日がうらめし いばかり。深夜の帰宅連続に夜空の キラリ。せめてあの星のような 作品にと思う。放送開始を待たずし 代表岸本の突然の他界。 この痛み を乗り越えていかねばと光る作品づ くりを霊前に誓い、アニメ戦場を今 日も行く(なお『太陽の牙ダグラム』 は回を追うごとにおもしろくなりますの でご期待ください)。 (Masami Iwasaki)
