1981

March

Animage [pg. 52-53]

まったく悩まない少女・アラレちゃんのまきおこすコミックファンタジー (Includes Comment from Keizo Shichijo)

小さな体にすさまじいエネルギー、かわいらしくあどけない少女・アラレちゃんがきょうもゆ『Dr.スランプ』(週刊少年ジャンプ』連載)は単行本第1巻、第2 巻を100万部以上、第3巻も、なんと初刷り70万部、2週間で増刷というすさまじい人気。この“アラレ・パワー” 爆発の真っただ中、アニメ化が進んでいる。「4月8日の放映開始日には、 1時間のスペシャルを組みます。通常は 15分2本。このスペシャルではアラレの誕生から学校でのクラブ活動まで、アラレのプロフィールのすべてをお送りします」とは、七條プロデューサー。原作1話分をそのままテレビにすると、せいぜい7~8分。だから、数分ぶんはオリジナルを入れていく。「いま、われわれは、道徳とか風習、因習など、日常のカセのなかであえいでいる。このアラレちゃんは、そんなものを一気にふっとばす痛快なメルヘン・ファンタジーになります。もちろん、ギャグもふんだん。でもギャグはむしろつなぎ的要素。この話は、空想の世界の現実化が基本になっ現在ている。ペンギン村というひとつ世界に住むさまざまな人々には、悪人がひとりもいません。この浮き世ばなれしたメルヘンの世界を、ひとりの邪気のない少女がパワフルにかけまわります」 (七條氏) 2クール (26話)以降、30分1話のものなどを作っていきたいそうだ。少しだけ、原作とちがってきそうなところがある。絵? 絵は同じ。酒タバコ、ウンチペチャペチャなどだ。でも、アラレちゃんのおもしろさには変わりはなさそうだ。

「ギャグものとはいえ線がくたいへん」(Incldues Comment from Minoru Maeda)

「アラレちゃんのはとにかく元気な子。ふつう、喜怒哀楽などというでしょう。その喜と楽しかない子ですね。たのしい子ですよ」「最初、パッと見たときは、描きやすいキャラだと思ったんですよ。でもね、よく見ると頭身がつまっているだけなんです。ぐっとのばすと、すごくリアルなキャラです。ギャグタッチでも、あまり省略した絵じゃない。でも線をはぶくとアラレちゃんにならなくなっちゃうしね。アラレちゃんのブーツのアミをカンタンにしたのと、アカネの髪の線を少なくしたていど。作画はたいへんですね。ストーリーものよりキャラの線が多いんですから」「ええ、ぼくはもともとこの作品みたいに、ギャグ物大好きです。タブチくんとかバカボンみたいなの。みんなも、キミはギャグタッチが似合っているよっていうんです。人の絵だと、大塚康生)さん、宮崎(駿)さん、芝山努)さんなどの絵が好きです」「えっ? アニメと雑誌のちがいですか、むずかしいなあ(笑)。とにかく、鳥山明さんの原作はおもしろいし、絵もうまいんですね。イラストレーターあがりだからかな。だから、原作通りに、ということを念頭においているけど、やはり、アニメと雑誌のちがいはでるでしょうね。とまっている絵だとウンチなめるのもいいけど、これを動かしたらナマになりすぎちゃう。雑誌は読むほうの想像が入ってくるでしょう。でも、アニメだとぜんぶ絵で見せちゃうわけですからね。演出的にも、ギャグの段取り、間など多くなるんじゃないですか」

Comment from Minoru Okazaki:

原作ばなれ”という点についてはどこまでご期待にそえるか・・・。とにかく、絵は線1本もできるだけ原作に忠実にと、鳥氏とも確認し合っています。ただ、キャラの動かし方では遊びをふんだんにとり入れてたのしみたいし、また、それができるおもしろい作品と思っています。それでも、原作の”遊びの精神” イメージをこわさないで作るつもり。

The Anime [pg. 48-49]

めっちゃんこカワユ~い我らのスーパー・アイドル、アラレちゃんがキイイ~ン!とブラウン管を駆けめぐっちゃうのだ!!

要するに、あのアラレちゃんがアニメになってしまったわけ。鳥山明原作の「Dr・スランプ」は「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)に連載されて以来、アラレちゃんの可愛いキャラクターが人気を呼んで、下は乳飲み子から上は入れ歯のおばあちゃんまで、あらゆるジェネレーションから愛読され、支持されている。 Dr.スランプこと、せんべい博士が製造した人間型ロボットの女の子・アラレちゃんが、主役!?の博士そっちのけで、ペンギン村の仲間達を巻き込んで、おかしな活躍をくり広げます。 4月8日水の第1週目は、1 時間に延長されて「Dr・スランプ・スペシャル」を贈る。グーンとワイドになった内容で、ペンギン村の不思議な世界をたっぷり楽しんでちょ。

アラレちゃんの絵が動くぞ~ 原作のアラレちゃんの絵が、連載開始のときから、少しずつ変わったのを知ってるかナ。最初3等身ぐらいだったアラレちゃんが、単行本の第2巻あたりから現在の 2等身に近くなっている。よりアラレちゃんらしくなったわけで、作画のベースになっているのは2 等身のアラレちゃん。もともと明快でスピーディなキャラなので動かしやすいそうだが、難しいのは表情のつけ方。一本の線ひとつで、全く違った感じになってしまううえに、顔の表情自体がアクションやギャグを生み出すわけだから、非常に神経を使わなくてはならないというワケ。とにもかくにも、愛くるしいアラレちゃんのパンチのあるスピーディな活躍に御期待あれ! 早くもガッちゃんが出るぞ~い空を飛ぶ不思議なガッちゃんとアラレちゃんのユーモラスなコンビネーションが、この作品の楽しさのひとつ。で、原作では第11話になって出てくるガッちゃんを、アニメではすぐ登場させる。第2話がガッちゃんの誕生編になっていて、3話からはガッちゃんの活躍も始まるのよ! ★まだまだいるぞ~~~い! ペンギン村の住民の他に宇宙人のニコチャン大王やスッパマン等、おかしなキャラクターがワイワイいる。いつ、どんなのが出てくる楽しみに待っててちょ!

いま、話題を独占するホットでナウな作品! ジョイフルなキャラが展開するユカイな世界 (Comment from Keizo Shichijo)

アラレちゃんの可愛さとテンポアップされたギャグの歯切れ良さ。これこそ、ナウでホットな作品と言えるものです。ギャグもイヤ味ではなく、むしろファンタジックな感じなんですね。僕らのどこかに「Dr.スランプ」の世界に憧れる気持ちがあるんじゃないかな。一種の平和指向みたいなものがあって、悪人までもコミカルでおかしい。良い子も悪い子も一緒になって一つの世界が愉快に展開している、そんなくったくのない楽しさをそのまま表現したいですね。

April

The Anime [pg. 52-55]

純真さとパワーをミックスしたスーパー・ギャルの魅力!! (Includes Comment from Keizo Shichijo)

この作品はギャグでありながら、憧れに満ちている。ギャグ・ポエジーとでもいうのかな。日常では考えられない不思議な世界が展開されているけど、そこには人間的で自由な解放感があふれているんですよ。それに、なんといってもアラレちゃんのユニークなキャラクターが魅力。膨大なエネルギーと純真な可愛らしさが合体した、本当に楽しいアイドルなんですね。ロボットのくせにメガネをかけているのも面白いし、ハッとするような新鮮な笑いをふりまいてくれる小気味いいスーパー・ギャルです。一方、せんべい博士のほうは、そんなアラレちゃんの父として兄として、ホームドラマ的なあったかさを満たしてくれています。ギャグで笑わせながらも、この世界の独特の雰囲気を大切にしたいね。

ギャグの新旋風! この愛らしさがたまらない!

何が魅力かって? そりゃもう、可愛さ、楽しさ、ものすごさの三拍子そろったアラレちゃん。そのキャラクターそのものさ。そのへんは「スパンク」にも共通するところかも。期せずして、愛すべきユニークな主人公の新しいギャグ・アニメが、少年雑誌と少女雑誌の両方から登場したわけだけど、そのキャラクターが生み出すギャグのタイプが全々違うところが面白い。アラレちゃんの場合、ちょっと前までは、少年雑誌でこんなカワユイ女の子が活躍するなんて考えられなかったよね。最近になって映画の「グロリア」なんかで女性が活躍してるけど、アラレちゃんは、そういう時代の先頭を切って飛び出したナウな女の子なんだ。そのギャグも、いわばスラップスティックな感じだね。「スパンク」が日常的な物語の中でおかしさを出しているのに対して、こちらの舞台は”ペンギン村”という不思議な超現実の世界。それもストーリーをぶち壊してしまうほどのギャグのパワーとスピードが持ち味。 A地点からBC地点を飛び越して、いっきにZ地点へ行ってしまうような、そんな飛躍のすごさがあるんだ。つまり「スランプ」って作品は、ヘンな理屈抜きに遊びに満ち満ちているわけ。例の、んちゃ! ほよ? おはこんばんちは･･･なんてアラレ言葉も楽しいし、ちょっとウエスト・コースト風にキメたファッショナブルなフィーリングもニクい。それでいて、どこかほのぼのとしたムードが漂ってるんだ。そこが、「スパンク」にも通じる特徴かな。ギャグがただのドタバタじゃなくて、むしろ、ファンタスティックな趣がある。2つのニュー・ギャグは、アカ抜けた爽かさをもって、ギャグの新時代の到来を告げるものだ。とにかく、ペンギン村では良い子も悪い子も、おまわりさんも強盗も、みーんな仲良く遊んでる。そんな童心に返った楽しさもステキな魅力さ。

Comment from Ayuko Anzai:

脚本スタッフに加えてもらってるんですけど、アニメの仕事は初めてなのね。これまでは刑事ものを多く書いてたけど、そういう実写のストーリー的なのに比べて、アニメってキャラクターが大切なんだナって感じだわね。とくにこの作品は、キャラクターの魅力で押しまくっちゃうでしょ。それがすっごく面白いわけ。アラレちゃんの魅力っていったら、やっぱりパワーと迫力ね。例えば、アラレちゃんが怪獣と遊びまくって、怪獣のほうがイヤになって逃げ出しちゃうみたいな、そういうパワーにひかれちゃうわ。でも、アラレちゃんは根本的に無邪気で天真爛漫でしよ。だからめっちゃんこ可愛いんですよ。他のキャラも皆んな楽しい。あかねちゃんのあのニクたらしさがまた可愛いし、博士のみじめさがとってもリアリティがあって好きだわ。山吹先生はマリリン・モンローみたいね。好感の持てるキャラの集団なんですよ。そんな良さがギャグの新鮮さの根本にあるんだと思うわ。それから言葉の面白さ。いわゆるアラレ言葉って、ホントは文法的にてにをはがおかしいんですよ。〝命が死む”とかね。それが逆にキマッてるとこが、また面白い魅力ね。 アラレ言葉で歌声も弾む!! 水森亜土さんがユニークな主題歌をレコーディング!

2月17日、コロムビア・スタジオで、水森亜土さんが「Dr. スランプ」の主題歌2曲をレコーディングしました。 A面のオープニングが「わいわいワールド」(作詞・太田千恵/作曲・菊地俊輔) B面のエンディングが「アレアレ、アラレちゃん」(作詞・冬杜花代子/作曲・サタンタ)です。アラレちゃんも水森さんも共に特異なキャラクターの持ち主。その個性が微妙に合ったユーモラスな歌声が弾みます。スタジオでお会いした「アレアレアラレちゃん」の作詞家・冬社花代子さんのお話では、「アニメの作詞は、自分で喋るような喋り言葉で書くのが向いてるんです。この歌詞もアラレ言葉を織り込んで、喋りながら歌っている感じ。アラレ言葉以外のところで、あの雰囲気を作るのに苦労しました」とのことでした。レコード(シングル盤)は、4月上旬、コロムビアより発売の予定です。

遊園地みたいな不思議で楽しいペンギン村!!

アラレちゃん達が住んでいるペンギン村は、とってもとっても不思議な世界。いろんな動物が住んでるし、怪獣だって出てくるぞ。正義の味方スッパマンもいれば、宇宙人もやってくる。コーヒーポット型の喫茶店もあったりして、建物なんかまるでマンガみたい(?)。楽しさいっぱい夢いっぱいの、ファンタジック・ワールドなんだ。そんな超現実のイメージを作るため、美術スタッフのお兄さん達は、どんな背景を描こうかと、いま、いっしょけんめい知恵を絞っているところなんだ。原作の漫画のページを片っ端からめくって、背景に出てくる建物とか面白い場所なんかをチェックしながら、ペンギン村が作られたのさ。だいたいの構図は、美術監督の浦田さんの故郷(伊豆の松崎)がベースになった。家の中がまた大変。左の設定資料を見てごらん。カフェ・ポットの椅子の配置まで決めてあるし、博士の研究室なんかゴチャゴチャしてて、ひと苦労なんだから。それから、美術スタッフの腕の見せどころになるのが色の使い方。浦田さんのお話にもあるように、いちばん難しいところなんだ。パイロット(試し描き)では、だいたい白が基調になっている。これは、「キャンディ・キャンディ」や「魔法少女ララベル」などのファンシー路線で使われた薄塗り手法(紙の地を出す描き方)に近いもので、色数も少ない。例えば、道路なんか紙の白地のままにしておくとか・・・・・・「Dr.スランプ」だから許される大胆なやり方だけど、ちょっとシャレた感じになって、カラフルなキャラがグーンと引き立っちゃうんだ。それに、アラレちゃんのおとぎ話みたいな世界を壊さないように、透過光などの技法はあまり使わないそうだ。サラリとした感触の絵本のような世界に期待しよう!

背景の色はサラッと薄塗り風に･･････ (Includes Comment from Mataji Urata)

作品自体のいかにもマンガっぽいところに魅力を感じてるんですよ。でも、実際に背景の作業に入ってみると非常に難しいんだよね。キャラクターがいっぱいで、しかもたくさんの色が入ってくる。これは、背景のデザインにかなり無理が生じるわけで、色で苦労しますね。「スランプ」の背景は「スランプ」でのみ生きる特殊なものだからね、アラレちゃん達の動きやスタイルが出て来て初めて完成されるものなんですよ。アクの強いキャラばかりなので、背景としては少しサラッとした感じにしようと思ってね。あまり描き込まずに、薄塗りみたいにするわけ。ペンギン村ってひとつのファンタジック・ワールドだから、遊園地みたいな感じにしたいと思ってます。ある意味では、いろいろ期待もあるんですよ。最近の背景は、メカものの影響で写真に近いぐらい緻密なものになりきってるでしょ。そういう傾向の中で、こういうマンガっぽい夢のある絵を描くっていうのは、新しい面白さになるんじゃないかな。実際にキャラの動きに合わせたらどうなるか? 今後もじゅうぶん検討しながらやって行くつもりです。

Monthly Comments and Q&As

Animage:

September ’81: 7月29日放映分からエンディングを“アラレちゃん音頭”に差しかえました。夏物はどうしても視聴者がダラけてしまうので、この新しいエンディング・テーマで少しはカツがはいると思いまして。それに夏向きの内容も、けっこう多くしています。ちなみに8月12日放映分から9月2 日夜放映分のタイトルを列記してみましょう。8月12日=おとぎマシーンと殺しのでいびる 19日=アラレ大昔へ海水浴に26日=キノコちゃん家出 9月2日=雨中でデート大冒険といった布陣です。この夏用ラインナップのうち、とくに夏を意識して製作したのが8月 26日放映分。学校がそろそろ始まるころになると、そう、学童の家出が増えるので、思いきって(?)それを題材にしました。ぜひ見てください。それにしても視聴率をどこまで保持できるか。人気絶頂期のアラレちゃんなので、スタッフは楽観的に考えているんですが。でも、平均15 は保持してくれると予測してます。
October ’81: アフレコ開始は金曜日の夕方4時からおなじみのメンバーが続々と集まります。時間が時間だけに、それぞれおにぎりやお菓子を持ち寄りにぎやかに出そろうわけです。だれかさんいわく「あたし、ドクタースランプのアフレコってピクニックに行く感じなのよね」。フィルムが映写されると、屈託ない笑い声がもれてきます。テストはオーディオ・ディレクターの小松氏を中心に、読み合わせを行います。各キャラクターの動きに合わせ、当意即妙なアドリブが飛びかいます。おなかを抱えて笑いこけるスタッフ、声優のみなさん。しかし、本番の真剣さはさすがにピッタンコの呼吸でわかります。中には真剣に間違え、それがおかしくて採用される場合もあります。たとえば、第1話でパゴスが「車を止めて降りなさい!」「車を降りて止めなさい!」。終了はだいたい7時ころ。ネオンが、いや赤ちょうちんがわれわれを手招きします平和です。
November ’81: 内容が濃いものだけに、つぎの点を考慮に入れました。 ○さわやかなお口なおしのティーとして。アラレの可愛らしさ、設定の補い。〇作品を象徴するぬくみ、やさしさ。〇夢、ファンタジー、あこがれなどをとり入れ、熱き鑑賞後に快く視聴者が微笑んで息をぬきながら、余韻を楽しんでもらうようにオープニングを動で掘りおこし、エンディングは静で受け止めたいと企んだのですが･･････。みなさんに狙いどおりに受け止めていただいているかどうか……。 7月の末から9月末までは「アラレちゃん音頭」に切り替えました。これはアラレちゃんとその仲間たちにユカタを着せ、よりみなさんに親しみを得ていただきたかったからです。さいわい、冬杜花代子さんの作詞、菊池俊輔さんの作曲をうまく、たかしまあきひこさんが編曲、また小山茉美さんが可愛らしく歌っていらっしゃったと思うのですが・・・・・・。
December ’81: ☆岡崎稔氏(チーフ)は、ベテランで温和でハンチングがよく似合う仏さまみたいな方。でも意外に頑固で、おとなですね。☆芦田豊雄氏は、カントリーロマンを持っていて、素朴で誇り高く、キャラの中では”はるばあさん”をお気に入りのようす。☆ 大関雅幸氏は、とても繊細で自分なりのポエジーを持っている方だけに、意見が大きく異なると最も激しく衝突。感覚がシャープすぎるので、だれかお嫁さんが早く来れば、さらに拡がった世界を展開できるのでは。ガンバッテちょ!
☆永丘昭典氏は、最もオーソドックスな作品作りをする人!! よき奥さんとうまくいっていて、情緒が安定しているからなのかなア。静かだけど、なかなか骨太。
☆加藤雄治氏は、新人演出家にもかかわらず、意欲と図々しさは人一偏見と独断の恐れあり!?!?! 今後に大いに期待。頭の回転がよすぎるのがたまにきず…かな?
January ’82: 当たるべき原作を当てるべくアニメ作品として制作するできてしごく当然のように思われる過程の中に、えもいわれぬ涙ぐましいスタッフの努力があるのです。ある人は原作のおもしろさに魅せられ、ついついギャラ以上の仕事に汗し、また別の人はおのれを殺し、あるいは熱情と創意のゆえにイバラの道をはいずりまわり… ここに、あらためてこれからの戦闘をひかえ、血と汗にまみれた誇高き旗に敬礼したい。原作のあの楽しさ、おもしろさ、豊かさをより大勢の方々にわかっていただければ.. ..そして、できればふくらみをもって…それが当初からの念願でした。もし、原作とくらべて物足らず、腹立たしく思われた点がありましたらお許しください。私どもは、少なくとも私はみなさんがこの番組を大勢で楽しんでおられる状況に同胞としてのぬくもりを感じているしだいです。’81年を十分にふり返る余裕もなく’82年に突進!
February ’82: 生年月日・194×年8月8日シーラカンス時。出身地・東京で生ま小3まで長崎、そして横浜。慶応義塾大学商学部卒業。東映外国部入社制作、テレビ事業部を経て、東映動画に移る。趣味・「花を愛で、蝶とたわむれ、吹く風に宇宙を想い、月見て涙し、ラーメンすする」。テニス、将棋、絵。特技・重心低く内マタで歩くこと、かな!? 現在一番ほしいものやりたいこと・お嫁さん (今年こそお手々つないでランランラン)。 /何ごとにも拘束されることなく大持って外国旅行。好きなキャラクター・アラレちゃんを筆頭にみんなき! 番組PR・人はみなそれぞれに都会の煤煙に身を汚し、世の多くのカセをひきずりながら生きています。でもでも、週に1度、私たちがペンギン村で出会うとき、そこにはサンサンと太陽が降りそそぎ、たがいのカセを取りはらって満喫できる自由があるのです! フレースランプ! ビバ、アラレちゃん! バンザイ! ペンギン村よ永遠に!!
March ’82: 現在担当している『Dr.スランプ」において、私のやりたいアニメーションはかなり実現しています。原作の鳥山さんが描く非常に自由な世界ペンギン村の中で、動物や人間、過去のスーパー・ヒーローたちが平和に生きています。おとなになるにつれて遠ざかり、しかもたえず求めているようなあこがれの世界がペンギン村です。生きていくことは、つらくて苦しいことなんだけれど、それでも心ときめくような夢をもって、くったくのない笑いの中でおたがいを確認し合える自由を求めるーそういう行動自体を、つぎの世代にバトンタッチできたらすばらしいと思います約8年、実写の世界にいましたが、かたや、目の前にアニメーションがチラチラしていました。アニメーションでは自分の中のテーマである自由や夢をより自在に表現できるような気がしていたのです。そして『スランプ』というすばらしい作品にめぐり会えたのは幸運でした。
April ’82: 今回は制作担当の岸本さんに、各作監の紹介をお願いしました。 ☆自称シティボーイ・芦田豊雄氏。 Gパン皮ジャンを愛用、「どうも」で現われ「どうも」で帰る。イザという時、どんな手を打つか無意識に感じさせる深いキザな若年?☆つっぱり、落ちこぼれに誇りをもたせ武道精神で引っ張る熊男・進藤満尾氏。犬猿の仲とはよくいったもの。頼りになる武芸者。 ☆芸を楽しませてくれる弦き語り、カラオケのマイクを離さず、ただたださだまさしだなぜかそれらしく見えてくる不思議な海老沼幸男氏。「ぼくは描けただろうか?だが時間をありったけ使いたいと考えている」とがんばり屋の野館誠一氏期待しています。 ☆「あかんのう、めちゃくちゃや!!!」と関西弁で愛車117クーペで乗り込んでくる、陽気で明るい富永貞義氏、いつも忙しそうな人。☆どことなく物静かでいつもやさしく両手の中に受けとめてくれる西山里枝さん。美しく楽しいのはほんと、でも強くて力持ち、これもほんと。☆以上名のスタッフの頭・チーフ作画監督の前田みのる氏。若くて動物的本能を持ち、連日連夜酒につかり、床について机にかじりついて、休む間もなく追いまくられ最近すこし疲れぎみ。でも劇場があります。ただいま青春まっただなか。

The Anime:

September ’81: Q. 絵がきれいですね。毎回みています。そこで、絵を描いている美術監督の浦田又治さんについて、プロフィールなど教えてください。お願いします。A. 生まれたところは、西伊豆の静岡県加茂郡というところです。出身校は多摩美術大学のなんと油絵学科。画家志望だったんですよ。多摩美を出てすぐ現在の東映動画に入りました。これまでやった作品の代表的なものを上げてみますと「白蛇伝」「長靴をはいたネコ」「人魚姫」「タイガーマスク」「キャンディキャンディ」「銀河鉄道999」などです。趣味は、スポーツ、とくに野球、空手など。最近忙しくてなかなか描けませんが油絵。年齢は不詳ということで(笑)。(Mataji Urata)
October ’81: Q. もう「アラレちゃん」大~スキ。できるだけつづけてくださいよね。ところで、山吹ミドリの役をやっている声優の人についてどんな人か教えていただけませんか。ぜひ、お願いしますネ。A. ミドリの役をやっているのは、ベテラン(失礼)の向井真理子さんです。向井さんといえば、あのマリリン・モンローの吹き替え役としてつとに有名な方。そのセクシーな声はファンを魅了せずにはおきません。アニメ作品にも数多く出演しており、代表的なものでは「どらネコ大将」のチビ公役、「花の係長」のヨーコ役、「宇宙エース」のアサリ役などがあります。所属プロは青二プロです。(Editorial Department)
November ’81: Q. もう毎週水曜日が待ちどうしい。早くこい、早くこい、という気持なのです。もちろん「アラレちゃん」を待っているのです。最近では、アニメなんてなどとバカにしていた、わがお母さままでが「アラレちゃん」の時間がくると、キチンとテレビの前に座ってるの。本当楽しいですね。アフレコなどはどんなムードでやってるのですか。A. 毎回ゲストが一人ぐらい加わりますが、ほとんどいつものメンバーでやっていますので気心もわかりりラックスムードでやっています。ムードづくりはセンベエ役の内海賢二)さん。内海さんの声が響くと一瞬にしてアラレムードに一変します。おかげで私もラクできます(笑)。(Nobuhiro Komatsu)
December ’81: Q.「Dr.スランプアラレちゃん」いつもみていますよ。ところでお聞きしたいのですが、センベエのお母さんという人はいるのですか。テレビに出てきますか。A. 弥永さんもご存知だと思いますが、原作にはセンベエのお母さんは出ていませんよね。テレビのシリーズはあくまでも原作に忠実に、ということでやっていますので、そうした新キャラクターの登場はないと思います、その予定も今のところはありません。弥永さんには申し訳ないんですけどね。(Keizo Shichijo)
January ’82: Q. なんというてもガッちゃんが一番です。ホントかわいいですね。皆さんそう思いませんか?わたしなんか寝ても起きてもガッちゃん、ガッちゃんですねん。ところで、あのかわいらしい声を出している中野聖子さんてどんな人なのでしゅうか。大阪府中川由紀子(15歳) A. 出身は広島県です。広島県のどこかは本人に聞いておりませんので今回はゴメンナサイ。これまでに出演したアニメ作品は、古いとこですと、「エースをねらえ!」のマチコ役、それから先日終了した「めちゃっこドタコン」のミチル役、現在のものではガッちゃんはもちろんですが「一休さん」の哲梅役、そして「まんがことわざ事典」のかっこ役などをやっています。趣味は油絵です。(Aoni Production)
February ’82: Q.「センベエ」の声おもしろいですね。内海賢二さんという方がやられているみたいですが、内海さんてどんな人なのですか。アニメ作品はこれまでどんな作品のどんな役をやられたのですか。群馬県深谷市福鳥千代(14歳) A. 内海さんといえば〝悪役好き” で有名な方ですね。顔もなんとなく …いや、内海さんゴメンナサイ。アニメ作品は、代表的なものですと「マッハgogogo」の六郷警部役、「魔法使いサリー」のパパ(大魔王) 役、「狼少年ケン」のジャック役などです。NHK放送劇団の出身でニックネームはケンちゃん。生まれは福岡県。昭和12年8月26日のバースディで現在44歳。趣味スポーツであらゆるスポーツをこなします。(Editorial Department)
March ’82: Q. ペンギン村”みているだけで楽しいですね。わたしもあんな村があったら行って一緒に住んでみたい気持になります。(こんなこというといつもお兄ちゃんからバカにされるんですけど)でもいいですよネーみなさん。あ、それで質問なのですけど、登場するキャラクターには年齢があるのでしょうか。(たぶんあるのでしょうけどなんだかないみたいですので)あったらそれぞれおしえてください。北九州市植山みどり(12歳) A. 則巻千兵衛からいきますと、千兵衛は28歳、アラレちゃんが13歳、ガッちゃんがもちろん、生まれたばかり、木緑あかねが13歳、空豆タロウが15歳、山吹みどり先生が24歳、です。(Toei Animation)
April ’82: Q. 中学生にもなってアラレちゃんでもないでしょ、などという母親の非難がますます強くなりますが、好きなものは好きなんですよネ。年齢なんか関係あるものですか。編集部の人にあたってもしかたないので質問に移りますが、センベイ博士と山咲先生は結婚するのですか。東京都中野区湯山幸美(15歳) A. この質問けっこう多いんですよネ。そうですね、今すぐに2人が結婚するみたいなことはないですが、基本的には、原作と同じようにやろうというのがありますし、原作の方では2人はめでたくゴールインしてますので、やがては、アニメの方もそういったことになるだろうと思います。いずれにしてもずっと先のこですネ。(Keizô Shichijô)

Animedia:

September ’81: すでにファンの方はお気付きのことと思いますが、この番組は30分番組なので、原作にはない部分が加えられています。たとえば今迄放映されたドンベ物語や英雄スッパマンなどは半分近くがこちらでのオリジナルストーリーです。ひとくちにオリジナルストーリーといっても、原作にない部分を考えるのはとても大変な作業です。キャラクターひとつとってみても、ペンギン村のキャラクターはすでに1人歩きしていますから、与えられた場面や状況に、そのキャラクターがどう反応し、対応していくか、どう反応・対応するのが自然か? ということを常に頭におき、原作のイメージをそこねることなく、TVアニメという別個のメディアの中で活躍させてやりたいと思っています。そのため、1本の作品を仕上げるまでには、シナリオライターの方たちと何度もディスカッションをし、常に納得のいく作品ができるようにと心がけています。今後も、少しずつ原作とは違うエピソードのオリジナルを作っていきたいと思っています。お楽しみに!

Dr. Slump Arale-chan