1982

January

Animage [pg. 56]

富野監督はこの作品から、由悠季〟と改名しました。わしくは153ページの『ライナーノート』に書いてあります。『ダイオージャ』のあと番組の監督に富野氏が決定したのは10月はじめ。『ダグラム』への不参加により『イデオン』以後の動きが注目されていた氏だが、はたして「ザブングル』でどんなロボットアニメを生みだすのか? 「基本的にいままでの『ダイオージャ』路線と変わらないものです。ロボットという素材は、いろいろな切りこみ方ができる。いままでのシリアスものに変わって、また別の要素を引きだしてみたいと思います。しかし参加が急に決まったこともあり、そんなに新機軸をねらってはいません」(富野氏) 来春1月末か2月はじめごろに放映が開始される予定。主題歌は井荻麟作詞、馬飼野康二作・編曲による『疾風ザブングル』。キングレコードで制作される。

February

The Anime [pg. 38-40]

惑星ゾラの特異な世界を描く (Interview with Yoshiyuki Tomino)

“喜幸”から”由悠季”へ名前をかえて、心境も一新の富野監督が「ユーモア・ロボットアクション」と銘うったテレビシリーズ『戦闘メカザブングル』を製作中! さっそく富野監督にインタビュー。

TA. 企画書には「ユーモア・ロボットアクション」とあるんですが、これはどういう意味ですか?

Tomino. まったく基準なんかないんです。見る人にいっているのではなく、作り手側の意識の問題です。今回のスタッフは、今まで僕とあまりかかわりのない人たちなので『イデオン』『ガンダム』の富野というように誤解されてはいけない。で、ユーモアという言葉を冠したわけです。ユーモア・シーンが多くて、楽しいものを作るということでは決してありません。キャラクターの生きる世界を構築することで、楽しい作品になると思います。

TA. 内容をおしえてください。

Tomino. 主人公のジロンという少年の惑星ゾラは、感情にこだわると生きていけないような世界です。そんな中で、ジロンは父の仇討ちをしようというんですから、みんなにバカにされるわけ。で、この世界では、盗んだものも3 日たったら、自分のものになってしまうというきまりみたいなものがあるんです。ザブングルも、ジロンが盗み出してしまうウォーカーマシンなんです。

TA. ウォーカー・マシン?

Tomino. ロボットですが、ここでは自動車と同じ感覚で使っています。エンジンも高性能の内燃機関―つまり、ガソリンエンジンと同じですね。で、ジロンたちは、エンジンは作れても、制御用のコンピューターやバーニア類はイノセントという特殊な連中から買わねばならない。そこでもっと簡単に手に入れるために、かっぱらうわけです(笑)。

TA. お話は、ジロンの仇討ちがメインになるのですか。

Tomino. いいえ、ジロンの仇―ティンプというのですが、敵役としてどうこうじゃありません。そのバックにあるイノセントをからめて、どうして惑星ゾラがこういう世界になったのかを描いていきます。それに、仇のティンプは、すぐに殺されちゃうことになっています。まあ、特異な世界ですが、日常性を出していきたいですね。

TA.『ザンブグル』には、恋愛シーンなどはあるのですか。

Tomino. いや、ホレる余裕なんかないですよ(笑)。ですから、美しいお話にはなりませんね。キャラクター全員、かなりクサイ人間ですよ。親しみが出てくればいいと思うんですが。

TA. では、ファンの方にひと言。

Tomino.「イデオン』や『ガンダム』フアンの年齢の人たちには『ザブングル』は食いたりないかもしれませんね。でで――期待してくださいとはいいません(笑)が、一度ぐらいは見てくださいね(笑)。ところで映画の『イデオン』はすごいですよ。後半 80分は、ぜひ見てほしいと思います。あれ、これ「ザブングル』の取材でしたっけ(笑)。

全編がぜ~んぶ見どころです!! (Includes Comments from Hironori Nakagawa)
今までのパターンですと、戦闘は後半というように作られていましたが『ザブングル』では、前後通して見どころが入っています。いわば、あきさせないようになっています。今までのロボットとの違いを出すために、デザインや色で苦労しました。同じサンライズ作品の中でも、違うカラーを出していくつもりです。

田アキラが主題歌をうたう
アニメ主題歌は初挑戦という串田アキラが「ザブングル』のテーマを歌う。オープニングは『疾風ザブングル』エンディングは『乾いた大地』レコードはキングから発売予定で、放映前に発売される。作詞は井荻麟、作曲は馬飼野康二。レコーディングは11月16日、キングレコードのスタジオで行われた。

April

My Anime [pg. 71-74]

ジロンはいい奴
決して二枚目ではない。いや、カッコワルイ男といっていいだろう。けれど「親父が、女は大切にしろって……」と自分の体もかえりみずに動いてしまうその心意気。考え方は、素朴でさえある。けれど「いい相棒になる」とラグに言わせたその男っぷり!男は顔じゃない。何よりも、片腕でも舌巻くほどの大活躍!!! 「鉄の腕」と呼ばれた、凄い親父の息子なのだ。「坊やの動きは、まだムダが多い」･･････ジロンは、鍛えられて、これからどんどん成長していくだろう。そして間違いなく、こう呼ばれるだろう。ジャン・アモスは、いい男”と。。

ラグは姐御かな･･･!

サンドラット砂ネズミは、砂漠の少年少女強盗団だ。奪うことが、あたりまえの世界では、子供たちでも大したものだ、という評価をされてしまうわけだ。ラグ・ウラロは、サンドラットのリーダー。仲間からは一目も二目も置かれている。それは腕だけじゃなく、いわば姐御肌の気風のせいなのだ。みんなまとめてついといで!的器量の大きさ、行動力。けれどジロンに「女」と言われた時、ラグは一瞬、気がついた。「女」――か。女の子が女の子らしくするなんて感覚はゾラにあるはずがない。けれど、何もないはずの心に、フッと浮かんだ「女」の一文字。いったいどんな〝価値観〟が生まれてくるだろうか。

エルチは、ジャジャ馬娘!

一見、かわいいお嬢さん。だがどうしてどうして、サンドラットも真っ青のナイフ投げの名人。ミニスカートも気にせず、跳ぶわ蹴るわの大立ち回り。ハリウッドを文化と思うエルチは、人形劇をゾラに広めようというのか? 「思うのですけどね、人形劇を文化だといって文化のためにとお金を渡すユルごく滑稽ですよね。視点を変えてみると、あたかもアニメを文化だ”として”地球”に広めようとして一生懸命な女の子が浮かんできたりして。それを滑稽だと笑うのも一つの ”価値観〟だけど、そういった斜めに見る観点の向こうで、〝価値観は作られたものだ”というテーマがニヤニヤしてる気もするんですね。とにかく楽しみですよ」(評論家南田操氏) 第二話でジロンの問いに「自分でもわからない」と答えるエルチ。エルチの考え方の変化が、物語の流れを理解する大きな手掛りになりそうだ。

予告で、そう区切ったように聞こえたんで、アレと思ったんです―東大IV Aの山田一成君は、「ザブングル」のタイトルについてこう語ってくれた。「富野作品の場合、タイトルとかネーミングが重要な意味を持つことが多いので気にしてたのですが、今回は英語でしたね。ザ・ブングルを英語つづりにしてみると The bungle=”ドジな奴”つて意味なんですよね」ザ・ブングルは”ドジな奴”のこと、するとそれは、富野氏が言う〝バカ者ジロン”とも符合するのではないか。「バカな奴ってことがとっても重大だと思うんですね。それは富野さんがおっしやっている”価値観〟に関係すると思います。つまりある”価値観”から見て、そいつはバカだ、という感想が出てくるわけで、物語の中でバカ者とされているキャラ、見ている僕たちがバカだなあと思うキャラ、そういった二重三重の構造の中に価値観〟についての富野さんの “イイタイコト”が出てくるんじゃないでしょうか」(南田氏) “価値観は作られたものだ”ということに富野氏がどんな主張をこめてくるか、これからがたのしみである。

ウェスタン・ザブングルマ

アレヨアレヨという間に第一話が終わっていた。そんなところが素直な感想。富野さんの作品は、もはや“こんなものかな”と”期待するようなレベルではないとわかっていたものの、やはりスゴイ!!! 内容については、完璧に〝ウェスタン” 嬉しくなってしまった。イントロでのジロンとラグの出会いなど、まさに”西部劇”のセオリー。こんなにも素敵にアニメになってくれるなんて! 一人バザーに向かうジロンをホバギーに乗せるところでのカットの切り替えなど、まさに一級! うう、感動してしまった。バザーでは、ホバギーが一瞬、馬に見えたりして…。キャラにも驚かされっぱなし。ブ男かと思っていたジロンが、動けば〝個性派”キャラに格が上がり、ラグとの会話を聞いていれば、思わずジロン・アモスはいい男”なんて言つてみたくなる。はたまた、勝気一辺倒かと思っていたラグの、ふとした時に見せる”女の子”の部分。文化だ、文化と言うから、どんなお嬢さんかと思っていたエルチは、見事なまでにおきゃんな、まさに西部の鉄火娘! とくる。ブルメ・ダイク・チルもよく描かれ、キッドもギジェの西部劇時代のご先祖みたくていい。ひたすらよく動かしている。枚数は、ハチ九千と聞いたが、そう聞くと逆に疑問。ルパンの「アルバトロス」や最終回と同じかそれ以上の枚数? まだ動けるんじゃない、というのはぜいたくか。まず、画面で見せる。ストーリーで後ろをささえているから、第一話でザブングルは二度も変形できるのだ。一つの設定をくり返ししゃべらせ、繰り返し話題に乗せる。キャラたちはあたりまえのこととしてそれをやる。気がつくと、見ている者もそんな気になる。富野作品は、確実にその蓄積をふやしているのだ。今年も一年、その腕の冴えを堪能したい。ただただ、土曜日が待ち遠しいこのごろなのだ。

May

Animage [pg. 19-25]

3クールから新メインメカが登場

Interview with Yoshiyuki Tomino:

AM. 『ザブングル』は過去のRAではタブーとされていた約束事を大胆に破っている。たとえば、主人公は 2枚目の正義漢じゃない。で、それが作品のいたるところに発見できてじつにたのしいわけですが、とくに第1話でザブングルが2台でてきたのには正直いってびっくりしました。「これはなにかあるな」という感じがしたんです。

Tomino. そう感じてもらえればうれしいですね。じつはあるファンからも同じことをいわれて、気づいてくれる人もちゃんといるんだなあと喜んでいたんです。

AM. メインメカをなぜ2台出そうと考えたのですか。

Tomino. 簡単にいうとこういうことです。ロボットといってもザブングルは、惑星ブラではあくまでも乗り物です。だから、3台あろうが1台あろうがちっともかまわない。ジロンの近くにたまたま2台あっただけてすからね。じつをいうといま、3台目のザブングルを出そうかと、あれこれ考えている最中なんです。もっとも出し方”は相当むずかしい。出すだけじゃ意味がないですからね。というわけで、ザブングルはあくまでもジロンの乗るマシーンだ、しかも、背中の翼も車輪も、いったんこわれたらこわれっぱなし。こういう設定を作り出すことで、ほかの WMVからうきあがった感じのザブングルを単なる“車”として扱おう。それが不自然でなくなるためには2台あったほうがいい。そして、この「主人公の乗るメカが2台ある」というなんとも落ちつかない設定を利用して、この作品にある種のユーモア感覚を出してみたかったわけです。

「ラストシーンには新しいユーモア感覚をもりこんだ」

AM. すると『ザブングル』では、あえてロボットアニメのタブーに挑戦してみたわけですね。

Tomino. ええ。『ザブングル』の場合、企画の途中から助っ人として参加したことで、はじめはシリーズの全体像がまったく見えなかった。そうしたなかで、なんとかシリーズとして見つづけてもらえるものを作ろうと考えたときに、ロボット物のセオリーを破った。ところが、セオリーを破るといっても、それは口でいうほどやさしくない。もしかしたらシリーズ全体に破たんをきたすかもしれない。実際に、ザブングルを2台出すということでも、スタッフのあいだ拒否反応がありましたしね。けれど、あえてその危険を冒すことで、シリーズの全体像がつかめたということはあるわけです。

AM. ようするに『ザブングル』という作品がなりたつために、どうしても”タブー”を破る必要性があった?

Tomino. それはつまり、自分があまりにワンパターンな人間だと感じるからなんです。ワンパターンな人間だからこそ、とにかく自分のワンパターンを崩してみることで、新しい感覚を発見する努力をしようとする。たとえば声優のキャスティングの場合に、ほかの作品に出ている人はなるべく選ばないようにするというのも、そのひとつの方法です。また、キャラ設定でも、動いておもしろいキャラにするため、あえて丸顔の主人公を作り出す。これはみんなリスクがともなうことです。けれど、その”のるかそるか”という部分で、自分にかなり刺激になったり、新しい作品の切り口を発見したりするということもある。あるいは、自分が予想していた以上の効果を生む。その点で「ザブングル』第1話のラストシーンは、新しいロボットアニメの感覚と、かってのギャグ物とはちがったユーモア感覚で出せたと思っています。『うる星やつら』や『スランプ』に代表されるような、新しギャグセンスですね。

AM. ところで、あるファンがこんなことをいっていた。「第1話のラストから推測すると、もしかしたら今後、ザブングルにかわるメインメカが登場するのではないか?」と。

Tomino. かなり鋭い指摘ですね。じつをいうと、これはあくまで”予定” なんですが、3クールめから、ジロンの乗る主役メカを登場させようと、いま準備中です。

AM. ザブングルがお払い箱になるということですか?

Tomino. いいえ。3クール以降も、ほかのWMと同じように、サブメカとしては残るんです。

AM. いったい、どんな“新メカ” が登場するんですか?

Tomino. 詳細はまだわかりません。ただ、ほかのWMと統一のとれたデザンにしようとは思っています。台数は1台になる事が決定しています。

AM. こうしてみると、第1話のラストシーンが、じつにいろいろな意味をもっていたことがわかりますね。

Tomino. やはり、シリーズ第1話というのは特別なものなんです。その後のシリーズ全体をそういう意味では左右するわけで、今回もかなり緊張を強いられました。

第1話は意表をつく銃撃戦でスタートした
冒頭、ナレーションもなくいきなりはじまった物語。ホバギーの動きおもしろさがとくに目をひいた。

2: キャラ設定はあえて美男美女をさけた
ジロン・アモス
「おやじが、女は大事にしろって」
「動いて魅力のあるキャラ」にしようと、この丸顔になったジロン。泣き、笑い、叫び、ずっこけ、表情はいったい何種類あるんだろう?

●エルチ・カーゴー「フワ……。そういうの好き」
けっして美女ではないけれど、可愛いエルチ。
ナイフ投げのシーンの動きはバッグン!

●ラグ・ウラロー『サンドラッドの面目丸つぶれだよ」
「あの太ももがいい」と人気のラ
グにも、女の子らしい表情が。

●ブルメー「あんな馬の骨のどこがいいんだかね」
つっぱってるようにみえても、
仲間意識は強く、機敏なブルメ。

●チル「あたいも、手貸すよ」
「えっ、これが女の子」と驚く人も多いチル。小屋のシーンは楽しかった。
ヌーボーとしていても、人を見る目はちゃんともっていたダイク。

●ホーラー『私の趣味にはあいませんね」
キザなセリフもはくホーラだが、実はジロンにやられ
っぱなし。食事のシーンではコミカルな一面も見せた。

これがサブ・ザブングル出現シーンだ
シリーズ全体の重要な伏線として、また『ザブングル』という作品のおもしろさを凝縮したシーンとして覚えておこう。

ザブングル、変型・着地!
「カッコよかったネ」といまや語り草になったザブングル着地のシーンを一話からひろってみた。岩をけちらすこの迫力!

●アイキャッチャー
見のがしやすいアイキャッチャー。「いままでのものよりよかったネ」という声もあり、一挙に掲載してみます。

こんなシーンもおぼえてる?
上からラグのホバギーに驚くトカゲ(?)、に突入するダイク、あわてて楽屋に入る踊り子たティンプの登場シーン、プロポピエフの小屋ちンの母が殺される回想シーン。

★ところで、RAのセオリーとは?

1主役メカは1台。 2主役メカは合体、変型する。 3主役メカは決して破壊されない。 4主人公は2枚目正義漢。 5いわゆる美形キャラ、美女キャラが登場する。 6主人公の側に正義がなければならない。 7各話のなかに必ずロボット・アクション・シーンがある。などが、一応セオリーとしてあげられるだろう。『ザブングル』はこのことごとくに反発し、新しい魅力をみせてくれる。ただ、動きを見せるアニメなので、7のアクション・シーンでは、ホバギーやWMの新しい動きを作りだすことで、新鮮な切り口をみせてくれている。富野監督のセオリー破りはどこまで進むのか?

注目のイノセントは, 12話で明らかになる!?
ジロンたちは、12話(4月24日放映)でいよいよイノセントのドーム内部に入る。ビジネス街と生活区域が整然と分離されたイノセントのドーム内は、エルチにとっては「まるで天国」だ。惑星ゾラで唯一、文化の香りがある場所。しかし、ジロンにとっては、仇・ティンプの逃げこんだ場所だ。惑星ゾラの住人のなかで、はじめてイノセントに刃むかうジロンたちの存在が、イノセントの秘密をあばくきっかけになる。

June

Animedia [pg. 14-17]

足の『ザブングル』力の『ダグラム』

「太陽の牙ダグラム」と「戦闘メカザブングル」は、ともに日本サンライズが制作しているロボットアニメだ。もっとも、ロボットアニメとはいっても、「ダグラム』はコンバットアーマー、「ザブングル』はウォーカーマシンと呼んでおり、従来のロボットものとは異なっていコンバットアーマーは白兵戦用に作ら戦闘メカ、ウォーカーマシンは本来へはブルーストーン採掘用に作られたメどちらも、従来のロボットとは異なり、より現実的に、より実用的なメカとして設定されており、空を飛んだりといったスーパー機能は持たされていない。したがって、コンバットアーマーとウォーカーマシンを比較する場合、もともとの製造目的が違うので同一には論じられないが、戦闘の場合には、その製造目的の違いが特長ともなっている点が興味深い。どちらのメカもともに歩行し跳躍することもできるが、本来が採掘用で素早く身軽で人と同じような動きを必要とされているウォーカーマシンの方が、陸戦用のコンバットアーマーに比べると、移動速度、跳躍力の点ですぐれている。一方、戦闘能力の面からいえば、戦闘用に作られているコンバットアーマーの方がウォカーマシンを、性能や武器の面で問題にしないのは明らか。仮に両者が戦ったとしても、ウォーカマシンは正面攻撃ではとてもダグラムにはかなわない。足の早さと身軽さで、攪乱する以外にはないだろう。もちろん逃げ足では、いのだが・・・・・・。ウォーカーマシンの方が早デザインの面から見ると、ウォーカーマシンは身軽さという性能を生かすために、従来のロボットに近い人間型をしている。一方のコンバットアーマーは頭部がキャノピーになったり、重量感があるなど、戦闘用リアルメカを意識してか、比較的鈍重そうな印象を与える。形は人間型から、アビテートなどの昆虫型に近づけたデザインといえよう。このデザインについていえば、シリアスな『ダグラム』と、ウエスタン・コミック風な「ザブングル」の設定上の違いも表れていて、「『ダグラム」は全体にリアルな感じだ。どちらのタイプが好みに合うかは、キミの趣味と感性の問題といえよう。

たくさんのメカニックが登場する中で、かたや戦闘を目的とするコンバットアーマーと、かたやブルーストーンを手に入れるための採掘メカのウォーカーマシンでは、それに乗り込むキャラクターも違ってくる。たとえば、『ダグラム』の場合では、クリンを中心として、チコ、ビリー、ロッキー、チェスタ、ナナシ、キャナリーの計7人が、デロイア7として独立のために連邦側と戦うわけだが、コンバットアーマーは貴重な戦闘兵器。したがって操縦する人間も当然、それに最も適した人間でなければならない。クリンはヒーローであり、ほかの6人はクリンを助けて戦う仲間たちである。一人一人の利益のためよりは、全体の共通の目標のためにチームワークを大切にして戦うといったキャラクターたちである。一方の『ザブングル」。三日たてば他人のものでも自分のものになるといった世の中では、これはもう盗んで逃げたが勝ち。ウォーカーマシンなどは自家用車ならぬ自家用メカといったところから、コンバットアーマーと異なり、誰が乗ってもいいようなものだ。だからジロンをはじめとした、エルチ、ラグ、ダイク、ブルメ、チルなどは、もう個性豊かに自分のことだけを考えて行動するキャラクターばかり。それぞれの利益と成り行きで寄り集まったという、人間臭いキャラクターばかりなのだ。このような『ダグラム』と『ザブングル』のキャラクターの違いは、デロイア 7とジロンたちの作画の上にも表れており、デロイア7のシリアスな劇画的なタッチに対して、ジロンたちの方はコミカルで、それぞれのキャラクターに個性を感じさせる、漫画的なタッチで描かれている。このキャラクターの違いをひと言でいえば、『ダグラム』の民主主義的協調型対『ザブングル』の個人主義的独立型といえるだろうか。となればメカにしても同然で、民主主義的協調型のコンバットアーマーなどは、さしずめコンバットアーマーはみんなの物、操縦するはみんなの代表”といったところで、逆に個人主義的独立型のウォーカーマシンは、さしずめ “ウォーカーマシンはボクの物、乗ってしまえばボクの物”といえるだろう。

『ザブングル』も!?
『ダグラム』同様、『ザブングル』もオープニングが変わるのがほぼ確実となった。話数は27話からで、3クール目と区切りが良く、ちょうど現在劇場用イデオン」の作画で忙しい湖川友謙氏も、現場復帰してくる。現時点の日数から計算すると、8月の第1週の土曜日7日からのスタートとなりそうだ。

アイキャッチも･･･
もう一つ「ザブングル』についての情報だが、オープニングより早くアイキャッチが変わる。こちらは、もう作画が終了していて、もちろん、湖川氏が描いている。現在までに登場したのはジロン” とラグ”であるが、第18話のエルチ”から始まり”ブルメ”“ダイク”チルファットマン”と用意されている。

ニューWMとは
『ザブングル』第27話よりの湖川友謙作画監督の復帰と共に、新しいウォーカーマシンが一台登場する。それは、現在2台あるザブングル” の内一台が壊れ、それに変わり登場するニューザブングルである。デザインはもちろん、大河原邦男氏が担当し、ウォーカーマシンの燃焼機関を表すマフラーがはっきり確認でき、現在の物よりゴツイ感じである。

September

My Anime [pg. 7-29]

惑星ゾラとれている地球
物語の解説から始めよう。ニクールを過ぎたわけで、たまにはふり返ってみるのも悪くはない。「ザブングル」の舞台は、一見してアメリカ西部を思わせる「惑星ゾラと呼ばれている地球」なのである。ドラマの作り方からすれば、ゾラが本当に「地球」なのか、どこかの移民星という、よくあるパターンなどとは、ほとんど関係のない作り方をしている。ただ、物語の背景として、舞台は「惑星ゾラと呼ばれている地球」なのである。すべてのことに三日でこだわりを捨てる〝三日の掟”に支配され、生きるために戦い続ける人々。自分のために生きていく彼らにとって、生活とは、本当に目の前だけ、自分の周りだけのことなのだ。それが“生きる”現実の意味ではないのか。そんなお題目にかかわらず、ジロンは走る。エルチもラグも走る。走り続ける彼ら・・・・・・。「ザブングル」の本領はそのパワーなのだ。ゾラが地球であろうがどこかの星であろうが、そんなことは関係ない。「ザブングル」は「ザブングル」、そんな物語なのである。

ジロンは伊達男か
ジロンをめぐるラグとエルチの意地のはりあいは、見ているファンの楽しみの一つ。最近は、それが基調となって物語が進んでいってるくらいですから……。さて、印象深いシーンをちょっと見てみましょう。

さて、ここでゾラの設定を確認してみよう。風景は西部、空はあまりにも青く、雲はほとんどなく、雨はふっていない(もつともTVアニメで雨がふるのはかなり珍しいし、それなりの必然性のあるときしかない。ここらへんはまだまだパターン破りの可能性があると思いますよ、富野さん)。海もあまりない。主人公たちは、かなり少量の水で十分生きていけるようである。気候は、かなり乾燥しているようだからなのだ。そしてこの世界の産業構造は、ブルーストーンという鉱石を生産〟することがすべてなのだ。野菜を作ることも、物を作ることも、この世界では〝変わったこと”となっている。ブルーストーンを掘りおこすロックマン、その道具であり乗り物であり戦闘メカであるウォーカーマシン。ウォーカーマシンや生活用品とブルーストーンを交換する〝運び屋”。それの手下で、ならず者といった役割のブレーカー(用心棒)。そしてウォーカマシンを作り、ゾラの住民からブルーストーンを収集している、支配者イノセント。イノセントは、外気の入らない、清潔で文化的に管理されたドームの中で暮らしているのだ。このイノセントが作ったゾラの唯一の〝法”三日の掟。これはどんなことをやってもその罪は三日限りで消える。三日間生き延びれば、その犯した罪は消えるというものだ。罪を感じること、悪いことだと判断することができながら、三日たてば忘れてしまうということは、僕たちにはできない。それをこの物語では「こだわりを捨てる」といっているのだ。こだわりを捨てなきゃ生きていけないゾラで(それだけ生活環境が厳しいのだ)、こだわりを持ちつづけた主人公ジロン・アモスによつてこの物語は始まった。父母を殺され、三日たったからといってそれを忘れろというのか !? 物語は、そこから始まったのだ……………。「ザブングル」の世界へ突入!!

なんでパターン破るのさ
「ザブングル」が高年齢層やいわゆる“通”好みといわれるところに、この”パターン破り”がある。もちろん、これはテーマとは関係な単なる興味のレベルでのことだが、それにしても毎回毎回目が離せない面白さの大きな理由だろう。大前提のウォーカーマシンがガソリンで動くことからはじまり、その例は枚挙にいとまがない。主人公メカザブングルが2台なのにも驚いたはずだ。なかなか変形できなかったアイアンギアーとか、武器がなくてもなんとかしてしまうジロンやら、もう大騒ぎ。悪役とて純粋な悪役などいないから楽しい。そんなシーンをピックアップしてみよう。

作画マン悪あがき
絵の魅力も「ザブングル」の重要な要素だ。サンライズの「コナン」を目指したともいわれるその動きは、実によく動いている。そんなシーンを、コマ送りで見てみよう! 楽しい表情に注目して欲しい。

遊びがなんで悪いのさ
第1話から人気の一輪車。ユニークなキャラです。みなさんお上手ですね。実は湖川氏のスタジオビーボオーには本物の一輪車があるそうです。で、富野さんが打ち合わせに訪れ、なぜか帰りはあちこち痛めてお帰りになったそうです。一輪車が「ザブングル」に出た理由、わかりましたね♡

「ザブングル」の楽しさを、フルに味わうには、こんなシーンの紹介がいちばんじゃないだろうか。とにかく楽しめるコマ、コマ、コマ「ザブングル」は本当にシャレたお遊びの精神に満ちています。百聞は一見にしかずと申しますな。とにかくご覧あれ!

命をかけて生きてます (第1話~第10話)
丸顔ネジ目のジロン・アモスはそんな顔でも主人公。父母を殺され血がのぼり、ゾラの掟も知らぬ顔。敵の悪役ティンプ・シャローン求めて、一週間も追いかけます。さまようジロンが出会うのは、サンドラットのラグ・ウラロ(早い話が砂漠の少年少女強盗団ね。でもこの世界じゃ、子供のくせに頑張ってるってほめられるわけ)。ウォーカーマシン盗もうと、やつて来たのはキャリング・カーゴのバザー(移動式の交易市)です。そこにあったのがザブングル。盗みに失敗、エルチ・カーゴに捕まるジロンのふがいなさ。文化の華を咲かそうと夢見るエルチの試練に耐えて、ジロン頑張り大活躍。ザブングルは貰ったよと、逃げるジロンを追うホーラ。キッド・ホーラは、野心家でセコくてキザでドジな奴。キャリング死んでの跡目を狙うが、ジロンに負けて尻尾を丸めてしまいます。キャリング殺られた戦いは、グロッキーを仕掛けてのティンプの悪だくみでありました。エルチの文化の伝道も、しばらくお預け新艦長(文化的というより、とってもブレーカー的なのよねエルチは。頭より手が早いわけ)。アイアンギアーはランドシップ、運び屋の基地でお家で船なのです。乗り込む因縁なんとなく、ジロンもサンドラットも加わります。

追いかけて追いかけて (~第11話)
ラグとエルチのジロンめぐっての恋のさやあても姦しく、アイアンギアーの旅は続きます。ジロンはジロンで、敵ティンプを追い求めての同乗。折あらば飛び出してしまういいかげんさ。なんのかんのといいつつも、お話はうまーく進みます。最初に出会うは、トラントラン (インディアンモドキ)とホッタ老人。緑と水の大地は、イノセントがブルーストーンで誘導して、ゾラではあまり意味のない所とされていました。けれどそれも怪しいらしい。こだわり続けたホッタの生きざまは、野菜を作り孤児たちのために争いを捨てて生きる美少女マリア(島本須美さんよく) にも通じるものがあるわけで、ジロンたちに何かを残したようです。しつこいティンプは、オールドミスのミス・ギャブレット・ギャプレイを仕掛けてのアイアンギア潰し。哀れギャブレイも倒れ、その親分ビッグマンもやられてしまいます。

謎また謎のイノセント (~第27話)
舞台はついにイノセントのドームです。ゼロ戦、アポロ、SLとドームの中は博物館。前後左右の見境なしで、ジロンはティンプを追いまくり、現れた美青年ビエル司政官にエルチは首ったけとなるのですよ(よつ、隠れガルマ)。ティンプにとどめをとドームの中で大暴れ、ついにドームを破壊してジロンは本懐とげました(あ、ティンプは生きてますよ、実は。死んだフリしてたわけですね。ジロンは熊ですな)。イノセントを敵に回したアイアンギアーの前途は多難、イノセントに取り入って成り上がったホーラが追つ手で、逃げこんだのがマッドシー(泥の海)。暗い所でしか生きられないハナワン族もだまされて、ほんにホーラはセコイ奴。ジロン、涙の熱血でハナワン味方にホーラを追う。マッドシーを抜け出したわけであります。

破れかぶれのラグ・エルチ (~第23話)

エルチもラグも女の子、かまつてくれないジロン憎さに、相ついでの船出です(船を出るから船出です)。エルチが出会うはこれまた美形のエルコンドル。彼とて、イノセントと戦った誇りとこだわりを持っています。ここにもホーラの魔の手がのび、エルコンドルは散りました。一方、ラグも船出です。出会った男は純情一筋アコン・アカク。惚れて惚れられいいコンビ、夢見るアコンをホーラがだます。哀れアコンも散りました。ジロンの想いもどこ吹く風で、ラグは恨みをぶつけます。ホーラは色気に弱いです。ラグは恨みをはらそうと、なんとアイアンギアーを襲います。ジロン、愛の往復ビンタ(壮絶!)。ラグよ帰れ、わが胸に……。

ザブングル大乱戦 (~第26話)
ラグは、なんとか償おうと功名心にあせります。カラス・カラスを仕掛けたホーラ、見事にカラスをのせました(しかし、セコイやつちゃ)。新型メカを導入してのカラスの戦いもの凄く、ザブングルもアイアンギアーもやられます(パワーアップがパターンでも、メインメ総入れ替えは史上初ですな)。かくして手に入れるウォーカーギャリアー、新ザブングル。ジロンはエルチはラグはホーラは、サンドラットはティンプはいかに! ゴーイングマイウェイ、ファットマンにコトセット。「ザブングル」続きます。一回見たらやめられない。前のこだわり関係なし、途中から見ても大丈夫。まだ見てないなら土曜の午後5時半、名古屋テレビ・テレビ朝日系でやってます。「ザブングル」の未来やいかに! パワーアップの物語、大特集は続きます。さてエ!!
いてっ!
みんな強いのです。す。けっしてくじけぬ男の子! 逞しいのであっエルチは女の子だけど……。その瞬間を、どうぞ……

セコくて女の子に弱くて、やっぱり純情というのか、なんというのか、とにかく憎めない悪役キッド・ホーラさん。ギジェの面影も消えさって、見事な悪役ぶりでありまする。

サブキャラなのです
ちょっとした小物、もちろんウォーカーマシンや拳銃だってそうですが、こんなのも思い出してください。

みんないっぱい見せちゃう♡
今度はこっちのお遊び。みなさん豪快なんで、かつてのチラリズムなんてどこ吹く風。それでもメゲずにちょっとあつめてみました。やっぱりスケベ♡

コトセット
けれどどうして大活躍!! ご覧くださいこのスナップ、いつも一生懸命のエンジニアであります。あつ、ファットマンとは同じ部屋に寝起きしているそうですね。やっぱりいいコンビなのです。

ヒロイン二人もシャクのタネ!
なんのかんのいっても美少女二人に囲まれてるのはジロン君。ラグもエルチも魅力いっぱい。やっぱりジロン・アモスはいい男なのでありますか。エルチとラグの素敵な表情、それに第22話のラストで見せた、ラグへの熱血ジロンの愛情表現! 「ザブングル」は続きます。二人の美少女の運命やいかに······

ザブングル活用大事典
ザブングルを10倍楽しく見る方法
ザブングルセリフ活用事典

富野作品の魅力の一つは、その独特なセリフ回しにもある。印象深いセリフ、謎のセリフ、使えるセリフ、今回は第15話までを第一部としてお届けしよう。ストーリーを思い出しながら読んでほしいのだ!!

第1話「命をかけて生きてます」
ジロン「親父が女は大事にしろって」
第一話の冒頭でラグへ向かってのセリフ。女のくどき方としては最高級といえるだろう。寡黙さのなかでの一言は印象深く、「女を大事にすることにしている」などというキザさの逆で母性をくすぐるいい回しであろう。「親父が」というところに、その核心がある。ジロンの父親への敬愛、そういう父子の関係まで彷彿させるわけだ。ジロンの素直さ、信念の強さもわかる。TPOが決まれば、これで女性はくどける。

ラグ「こすっからいことやるんじゃないよ」
古い、いい回しだが、江戸前のポンポンポンというしゃべり方にはぴったりである。マジでいうとヤバイ売り言葉に買い言葉、気心知れてる相手にならよいだろう。年齢的に、若い相手には意味不明で無害だが、屈折した青年以降には気になるセリフとなるから要注意。

ラグ「お宝、お宝」
自分で出しておいてそれを持ってきた場面にしてはそぐわないセリフ。普通は偶然的に手に入れたものへの感嘆詞。これも古い用法。今の子供には新鮮なのでは。例やはり野盗、山賊の類が使うべきであまり良い例はうかばないが、相手の勘違いで、背景付きのすごセルが偶然手に入ったときなどリアリティがあろう。

ジロン「すごい! まるで人間並みの動きじゃないか」ラグ「でも人形みたい。きゃしゃじゃない?」
ジロン「いや、あの手を見たろ!人間そっくりだ」
会話になっていない。きゃしゃじゃないかとの問いと、ジロンの答えの次元が違っている点に注意。正しい会話は、相手のいわんとしていることを、よくつかまねばならない。この場合「いや」をとるか、その次に「それより」を入れねばならない。

ジロン「俺のことでいさかいか」
渋い。古い、いい回しだが、「いさかい」などという単語は、味わいがあっていいものだ。わりとポピュラーに使えるセリフ。なんとなく決まるはずだ。決して「いかさまか」などといい間違ってはいけない。

エルチ「私はこの地球に文化を育てようとしている身なのよ」
ブルメ｢だからって、人質になれないこたあないだろ!」
ろ、論理か…..。しかし、納得できないこともないし、セリフは気迫という前提がよく生きている。応用例としては、「だからって」で始めて、とにかく自分の主張が「できないことはないだろ!」と押してみることだ。

ジロン「ロックマンの息子だぜ、ウォーカーマシンぐらい」
出ました富野流科白遁の術。登場人物たちだけで勝手に合意ができてるようにしゃべれば、その世界は完結してしまう。これをへたに視聴者を意識すると、「説明っぽいモノローグ」などになる。

エルチ「そーゆーの好きよ。おやり!」
女は怖い。何が好きなんだ。なんでいじめるんだ。ああ、だから女はわからない。好きよ好きよもキライのうち……………何か変だな。

第2話「ザブングルは貰ったよ」

N「惑星ゾラといわれている地球」 ダミドかギレンか、はたまたティンプ・シャローンか。「ザブングル」の表看板。応用例も広い。ただし、あの独特のイントネーションを勉強せねばならない。

ホーラ「しかし、やるなら俺のいるときに、正々堂々とやってほしかったな」ホーラ「プロメウスよりいい動きをするとは、ごきげんじゃないか」キッド・ホーラがよくいう。こういういい方も覚えておくと便利だ。ギジェとは違うのだよ、ギジェとは……。

第3話「みーんな当て外れ」キャリング「三千ギャラントだぞ」ホーラ「ニチギャラントだ。二千ギャラント」 ほーら、やっぱりホーラじゃないか。三千ギャラントの賞金といいつつチギャラント(一財産らしい)をネコババするつもりでいるわけだ。 ジロン「すごーい。チルは天才だ」チル「あったりい!」 チル語録その一。かわいいわよ。

ラグ「チルは?」ジロン「乗ってる」ブルメ「やるじゃんか」チル「まあね」 チル語録その二。いいですねえ。

第4話「なんで掟を破るのさ」
ブルメ「三日のうちにケリをつけられなかったお前が悪いんだ。逃げ切ったティンプのほうがエライ」 なんと、ティンプの名前をブルメが、最初に口にする。な、なぜだろーか。まあ深くは考えまい。

ティンプ「俺あ、早射ちにしてもちったあ自信があるっての知らなかったっての、かあいそうだなあ兄ちゃん。でもこうなっちまったら、兄ちゃんが止めたいったってムリだな。兄ちゃんだって男なんだ。大人、本気にさせちまったらもうダメだ」怖いですね。ネチネチネチネチ、不気味ですね。ま、そのかわり早かっただけで当たらないわけですが、威嚇としたらこういうハッタリも効果的。インケンさは自信に裏付けられているらしいと思っているでしょうね、特に弱い子は･･････。このパターンのあとでドスをきかせてカマせばまず相手はビビる。オスッ!

ブルメ「そうよ! この世界じゃこだわりは三日限り! そうしなきゃ生きていけねえのよ」 核心へ迫ってゆくセリフは美しい。たまに出すだけでいいわけで、こだわらない世界の人は楽でいい。なんでこーゆーセリフをいわないのかと思っても、こだわりを捨ててしまえば同じです。

第5話「3匹そろってシヤクの種」ジロン「へー、これが文化的か」ラグ「これが芸術なのね」ジロン「だな」 これなどは応用例の豊富な良いセリフのパターンといえるでしょう。どんな場合にいってもおかしく、かつセリフとしてはインテリジェンスに富む。テンポもいい。

プロポピエフ「遠い母なる星では、葬式にはお祈りがつきもの。ご存「知でしたか?」 あ、聞ーちゃった聞いちゃった、母なる星が遠くにあるって!?! いーのかなそんなこといって。みんな、忘れないよーにしておこうねがこだわっちゃうんだから!

グロッキー「ティンプさん、あんた、物がよく見える人だなあ」 ホメ言葉。現在、使われると多分に皮肉がまじっているようだ。そのようなときも、あくまでギャグとして使うように。楽しい会話をするためには、そういわれたらすかさず、こういうね。「時が、見えるわ・・・・・・」

エルチ「野菜でも作って文化的になるわ」 知らなかった。けれど、なかなか真理をついている。マジな顔して「アニメでも見て文化的になるわ」といいつづけてみよう。本当に文化的になるかもしれないぞ。

ラグ「あんたの神経は、ブレーカー向きにできてんのよ」 強くたくましい人に、尊敬をもって使うのも一興。ガサツだよね。

コトセット「この点数だけ給料から差しひいてください、艦長!」 コトセットの魅力が出はじめた一言。これも応用パターンあり。しかし、マジでやるとコワイ。「この点数だけ試験から差し引いてください、先生!」とか「この点数だけ小遣いから差し引いてください、お母さん!」などとやられてはたまりませんね。

第6話「あんたジロンの何なのさ」

ラグ「文化的っていうの、何もできない人のことをいうのよ」 ラグの反攻。文化的を貴族的とかえると歴史の真実となる。何もできない人がいることが文化分化のしるしなわけだ。応用例はこうだ。「知的っていうの何も勉強できない人のことをいうのよ」とか……。レトリック(修辞学)としては面白いですな。

ティンプ「あんたの男が光ってみえるぜ」 これも楽しいセリフ。おだて言葉にゃ最高ですな。スケベなことは考えないように。

ティンプ「心得ております。遊びは、やめにしましょう。イノセント」 何か注意をされたらこう答える。この場合「イノセント」は英語として発音し後置形容詞として純真にそう努めますという意味なのですと、何かいわれたらいってください。パロディセリフ遊びは逃げ道を考えておかねばね!

第7話「信ずるものは浮かばれる」

プロポピエフ「変な連中でな。一度、何かにこだわると一生こだわるようですね。文化的な考え方ってんですって」 何か自分は仲間とは違うと訴えたいときに使うと適当なセリフ。最後に「文化的」と使うところがミソ。日本人は「文化」に弱いのである。

ホッター「あれはイノセントの作った迷信だったのさ」 捨てゼリフとしてはなかなか。信ずるものも浮かばれない。

ギャブレット「私が出れば変じゃなくなるわよ」そういい切るのは大変なこと。そういう人間になりたい。

第8話「ミスにはミスがない」

ギャブレット「このギャブレットだてに年はとってないんだから」部下「じゃ、やっぱし……………」 この世に伝わらぬ真実はなし……。

ラグ「ティンプは頭使わないもん」 そういわれたらおしまいだよ~

第9話「花は野に咲けマリア花」

マリア「人は争い事しないで優しく暮らしていけるのよ。けんかなんかしないですむのよ!」チル「すまないよ、みんなやってるもん」 チル語録その三。明快である。

ラグ「生きがい? なんだろ」ジロン「なんだろ? かたきうちみたいなもんかなあ」 学校の宿題はこれでいこう! ドラマチックやなあ。

マリア「ああ、私まで争いを、争いをしてしまった」 ケンカに勝ったとき以外は、競争やテストに負けて弁解するセリフ。石の上にも三年。

第10話「女の勇者はこわいです」

ギャブレット「一生懸命でも、ちゃんとやってなきゃ努力は認められないの」 一瞬、すごく納得するが、ふと思う。一生懸命と、ちゃんとはどう違うんだろう。過程での言葉はどっちもどっちも…..。

ギャブレット「お前が悪いのだ。何もかも、お前が悪いのだ。お前が悪いのだティンプ」 ここまで徹底していえば相手も何となく、自分が悪かったような気になってしまう。会話は、気迫!

第11話「追いかけて追いかけて」

N「返り討ち悲し。ギャブレットギャブレイでしたァ」 自嘲、他嘲(?)、傍観者のセリフは面白いものであります。負けた者を追いつめるようなセリフは、相手の落ち込み方にかんがみて使いましょう。これなんか笑いをさそっていいかもネ。

チル「そんなことないやーい」 チル語録その四。そーだそーだ。

メディック「インテリだから深く考えないのさ。口は災いのもとだからな」 深遠だ。怖いから俺、寝る。

ティンプ「正直なのは人に好かれるが、それじゃ世の中、生きちゃいけねえんだよ」 これもリアルやなあ。でもアニメファンは正直なんだ。そうだそうだ!なに、傷をなめあう道化芝 ……

チル「うん。シリアスね」 チル語録その五。

第12話「謎また謎のイノセント」

ブルメ「俺はまたハエのダンスかと思ったぜ」 拝礼のからかい方。鋭いところをついている。身につかないことをやるのはねえ・・・・・・。

ビエル「ようやく世代が変わり始め、この地球に人が・・・・・・。しかし、まだ少し早いのかもしれん」 やはりこれは伏線でしょうね。

第13話「あとは野となる大破壞」

ジロン「青春だからさ。まあ三日もすれば忘れちゃうよ」れない。青春とは・・・・そんなものかもし

ガラパゴス ザブングルこだわり活用事典

こだわりを捨てる話だ、なんていわれるとますますこだわりたくなるのが人情!! ページの許す限り、「ザブングル」にこだわってみましょうよ!!! 新しいこだわりを思いついたら知らせてね!!

小物
意外なところに意外なもの。気がついたわけだ。た人も多いはずだ。作画のアソビか偶然か。君は、全部知ってたかな?

ティンプマーク!!
ティンプのウォーカーマシンのおヘソあたりについていたマークに気づいた人はいるだろうか? いったい、どんな意味があるのか エルメスのペラペラ Pポイントのドームの中、ショーウインドーの中の服を見てジロンたちが、「一万ギャラントもする」とあきれていたが、このブランドがなんと、HELMES=H ルメス。高いわけなのですよ。これもお遊びでしょうな。

グランドホテル
同じくその回に、ジロンたちの泊まったホテルは「GRAND HOTEL」と書かれていた。7話では、ホッター老人の孫の墓には「MIOH OTOR」とも書かれている。そう、「ザブングル」の世界では、英語が使われているのだろうか?

ファンクラブ
「ザブングル」のFCというのは、まださほど多くないようだ。今回は、このページにふさわしい、実に「こだわって」自分たちのスタイルを持った、FCらしいFC活動をしているサークルを紹介しよう。

「戦闘メカザブングルFC・惑星開発公社」がそれだ。会誌は「月刊チル」。「ザブングル」一本のF Cだけあって毎月の後追い情報も丁寧かつユニークだ。その月に放映された中での疑問点や、変更キャスト、スタッフのフォローもしている。 5月号の一部を紹介しよう。スペースは小さいが、「今月のなあ~ んで?」というコーナーだ。

10話、ジロンいわく「アイアンギアーを戦闘ロボにかえるしかなさそうだな」。あれ? いつから! Gは戦闘ロボになったんですか? 私はウォーカーマシンだと思ってた・・・・・。 11話、ジロンの親父さんはいつから「鉄の爪」になったんですか? 2話ではたしか「鉄の腕」のはずだったけど。

などなど、細かくこだわるところもあり、の楽しい会誌。問い合わせは60円切手同封にて、〒10多摩市愛宕2-6| 24 羽富萌さんまで。全国のザブングルFC” の皆さん、『マイアニメ』では、 FC活動の積極的な発展を願っています。「ザブングル」のページで、あなたのサークルを紹介したいと思います。代表者の住所、氏名、電話番号を明記の上、見本会誌を必ず同封して「マイアニメ編集部ザブングル」係まで送ってください。つています!!

銃器
ジロンが使うのは、ブローニングHP、ティンプはコルト44、ブルメはエンフィールドMI、などなど。ほとんどすべては現在までに実在している拳銃だ(あ、細かなデータに興味のある人は、拳銃マニアのお兄さんに聞いてみよう!)。英語が使えて、拳銃があって……。こだわりたくもなりますよね。

アイキャッチ
通例、クール(13本)ごとに変わったりするのだが、「ザブングル」ではアうか? 見つけたら「ザブングルの大発見コーナー」掲確実だぞ!!!

死亡者
「ザブングル」は、奇妙なところがある。あれだけ派手に戦いながら、めったに人は死なないのだ。では、「ザブングル」は人が死なないかといえば、そうでもない。ゲストキャラはよく死んでいる。そんなわけで死亡リストを作ってみた。雇われブレーカークラスは、対象から外してある。

モビルスーツ、重機動メカ、そしてウォーカーマシンと、作品世界にかかわって形作られる富野メカの意識は? ゲスト・メカデザインの出渕裕氏にうかがった!!

ザブングルは鬼子 (Interview with Yutaka Izubuchi)

MA. ウォーカーマシンといいながら、ザブングルだけが実にカッコいいですね?

Izubuchi. あれだけが普通のロボットなんですね。そうすると他との対比で浮いてしまってつらいですね。富野さんの作品では、「ガンダム」ならモビルスーツ、「イデオン」なら重機動メカと、それぞれの世界観からのメカの形が決まっていたわけで、「ザブングル」でもウォーカーマシンの形”を定式化していこうという意識があったと思います。

MA. ウォーカーマシンのデザインは、どのようなプロセスで決まるのですか?

Izubuchi. 富野さんのイメージから僕がラフをおこし、湖川さんがクリーンアップするという形と、富野さんがラフを描き、僕がクリーンアップするという二つがあります。もちろん、第26話に出てくる軽ウォーカーマシン”ホッグ”のようにたまたまイメージで描いていたのが、そのまま採用される場合もありますね。

MA. ウォーカーマシンのモデル的な流れみたいなものがありますか?

Izubuchi. ええ。大型のプロメウス、ガバメント、カプリコ、ガラパゴスーなどと、小型のトラッド、クラブ、ギャロップなどは二系列といっていいと思います。

MA. お好きなウォーカーマシンは..?

Izubuchi. クラブなんて好きですね。

鳥足

MA. 「マイアニメ」 7月号でウォーカーマシンが鳥からイメージをとっている、となっていその点はいかいますが、がですか?

Izubuchi. ウォーカーマシンの原型を作るとき、今回敵メカも湖川さんがやりたいとおっしゃいまして、僕と並行して考えていたわけですが、偶然、二人とも関節が後ろへ曲がる鳥足”のメカを考えていたわけです。それでイメージとしてはできてきましたね。

MA. しかし、まだザブングル本体を含めて統一感が弱い気もしますが･････。

Izubuchi. ウォーカーギャリアの新登場、軽ウォーカーマシンと、かなり統一的イメージに向かっていきますから、期待してください。けれど、そう多くは新しいウォーカーマシンは出てきませんが(笑い)。

重機動メカ

MA. ガラパゴスとカプリコですが、「イデオン」の重機動メカに似ているという声もありますが?

Izubuchi. そうですね。やはり、重機動メカのスタイルは一つ完成されていて、イメージが強いんじゃないかかと思いますよ(笑い)。ガラパゴスは色の雰囲気までジグ・マックですね。カプリコは、映画でお初目のザンザ・ルブに似てますね。あのバッフ・クラン目”のデカール(模様)をつけて三本足にしたらそっくりじゃないかな(笑い)。

内装はトヨタ!?

MA. 大型ウォーカーマシンに比べて小型のは、吹きさらしというか、いかにも車の感覚ですね。

Izubuchi. 僕も、ウォーカーマシンはオフロードカー・ジープに、ブルドーザーを足したようなものだと思っています。だから僕は、スモークディスチャージャーとかフォッグランプとかをよくくっつけるんですね。プラモデル感覚としてもあったら面白いでしょう。

MA. 富野さんも車を意識しているわけですか?

Izubuchi. ええ。そういえば、ザブングルのコクピットのデザインをやるとき、渡された資料はカローラのカタログでした。(笑い)。

3D(=3次元)指向!!

Izubuchi. これは推測なんですが、富野さんはウォーカーマシンをプラモデル化、スケールモデルとしたときのことを考えてイメージしているんじゃないでしょうか。いや、決して営業政策じゃなく(笑い)。あのフォルムはアニメのデザインというより、3Dモデルにしたときの、手にとった面白さが基本のような気がします。色々な方向から見れば、色々な形が見えてくそういうアニメにしづらいような形がウォーカーマシンに望まれている気がするんですね。もう一つあげるなら、スケール、モデルとしてのディテールということ。リベットの感覚のあるメカ、つまり特に小型ウォーカーマシンなど、人の大きさと対比しうる楽しさがありますね。

MA. ありがとうございました。 ★ブチくんのこと (Comment from Yoshie Kawahara)
「ダイオージャ」以来のおつきあいですが、やはり、メカデザイナーとしての基本ポリシーを持っている方だと思います。けれど、器用に注文をこなしてしまうだけに、自分のものが弱くなるのではないかと心配しますね。なんといっても育ちの良さで、人柄もすばらしい人ですよ。他人のことをすごく考えてくれるという長所があるため、逆に押しのけていくようなずぶとさがないと思います。冒険心を忘れずに、新しいジャンルへもどんどん進んでほしいですね。あとは、もう少し原稿を早くあげてください(笑い)。

好評のこのコーナーもついに第 6回目。今回は、ナニメ研究(新しいアニメの楽しみ方というべきジャンル)で著名な、国際アニメソング学会の藤原百太氏の、「ザブングル」と「イデオン」とのかかわりについての講義を聴講させていただいた。それによれば「ザブングル」は「イデオン」の未来であるとのことだが・・・。

ザブングルの大発見
夏休み自由研究!?
連載第6回

「ザブングル」はですね、これは「イデオン」の未来だと思います。つまり、富野さんの作品の”流れ” という点からもそうですが、それを証明する幾つかの点があるのではないかとお話しするわけです。 ”流れ”ということをまず考えてみましょう。当然ながらスタッフが似ている(笑い)。作画も同じ湖川さんですね。「ガンダム」から「イデオン」より、「イデオン」から「ザブングル」のほうにより近しいものを感じるのは当然ですね。さて、ここで注意しなければならないのは、「イデオン」で富野氏が訴えようとしたことです。それは何か? そうです、「こだわり」を捨てることです。そして、映画を見れば明らかなように、人々は「こだわり」を捨て、新たな星に新たな生命を生み出したわけですねえ。そこに生まれてきたのが、こだわり」を持たないゾラの人々、そうです、「ザブングル」の世界なんですね。ここまでくるとあの「イデオン」の映画の結末に出た海が、実はゾラのものであったとわかります。もちろん、そのゾラという星が元の地球であっても少しもかまいません。いや、そのほうがよくわかることがあります。

シビリアンとイノセント

そうです、それがシビリアンとイノセントに続くわけです。つまり、元の地球へ行ってしまったということは、そこにはやはり何らかの「こだわり」が残っていた、と考えられます。もしくは「こだわり」を残していた人がいたわけですね。これがイノセントの先祖となるわけです。で、つまりはイノセントの先祖からの記憶とでも申しましょうか、イノセントは「こだわり」を捨てねばと、「こだわる」わけですね(笑い)(拍手)。シビリアンは、「こだわり」を捨ててしまった人々の子孫というわけです。が、ここに「ザブングル」の物語が始まりました。そうです。ジロンが「こだわり」を持ったためです。今まで遺伝子の記憶の底に隠れていたものが出て来たというわけですね。何というか? 「先祖返り」です(爆笑)。そこでそのルーツをたどると、最後まで「こだわり」に執着していたキャラが思い出されるわけですね。その通りです。コスモというわけです。でも、コスモならカーシャやキッチンがいたじゃないかと思えば、いますねえ、ラグとエルチ。ラグの髪の青いのは、やはりそういう血筋があるからではと考えるわけです。もちろん、ギジェはホーラですね。エルチにはシェリルの血もまじっていると思って構わないでしょう(笑い)(拍手)。

ビエルはズオウ

ここで驚くべきことにですね、「イデオン」の中にすでに、あのビエルの登場が予言されていたわけでして……(本当かの声)。本当です。それはかのズオウ大帝の中にです。やはり、ズオウの血は「こだわり」を捨て切れなかったわけですね。ズオウのフルネームは、なんと “ズオウハビエルガンテ”。ここにはっきりと書かれています。「ズオウはビエル」と(爆笑)。ま、ビエルファンは、やはり姿形にこだわりたい。そういうファン心理よくわかりますが、彼ら、彼女らはこう反論するわけですね。「ズオウはビエルじゃあがんで」と(爆笑) (拍手)。ま、こういう風に、一つの作品でも別の視点を立てて見てゆくということが重要なわけですね。二つの視点があれば、二通りの見方のほかに二つを統合した第三の見方さえ生まれます。三つの視点ならば 3C1+3C2+3C3=七通りの見方が生まれてきます。こういう方法論を、我々の間では「ナニメ的」と呼ぶわけですが、「ザブングル」もぜひ、ひとつそうやって楽しんでほしいものです。どうも、ご静聴ありがとうございました(拍手)。

いかがだろうか? 富野氏の作品作りの流れの中からある視点を立ててみると、今までにない”楽しみ方”が現れたわけだ。このコーナーは、新しい楽しみ方を知ってもらえることが、最大の目的といっても過言ではないわけだ。さて、次は東京都大田区のじゃりん子チル君からのお手紙を紹介とだ。

7月2日の新聞のTV欄を見ていて気づいたんですが、日本テレビ夜10時の「ドキュメンタリー特「集」というものに大変面白いことが書かれていました。「コンドルはとぶ! 大アンデスの野生王国縦断ケープホーン~ アコンカグア~アタカマ砂漠」。このアコンカグア山はアンデス山脈にある山です。これがアコン・アカグのネーミングの由来ではないのですか、富野さん。そして、最初の「コンドルはとぶ!」。エル・コンドルも、エル=偉大な、コンドルというわけで、二人ともアンデスに関係しているようです。なぜなんですか? 富野さん!

さて、先月号でも触れましたが、今、アイアンギアーがどこを走っているのかが、大きなヒントだと思います。コンドル家が守ろうとしていた遺跡〟だって、皆さん見たことあるのでは? 来月も、楽しい「大発見」待ってま~す!

ザブングル音楽活用事典

①よく使われるパターンー
こういうあと打ちのリズムはメロディーの間を埋めるのにとても便利だ。ただ埋めるのではなく、カッコよく埋めてくれるから。たとえば、「ゴッドマーズ」のオープニングなど、全体にこういうリズムがちりばめられているくらいで、「ブライガー」にも終わりのほうでちょこっと出てくる。

②よく使われるパターン2
これもまた、カッコづけにはもってこいのリズムパターン。だから①と同じくいろんな曲で使われている。「ヤマト」では、「(笑顔で)答え……」のところで。「グランプリの鷹」では、「栄光の空」というところ。水木一郎さんがキメにキメて歌っていたから覚えている人も多いのでは?「ブライガー」では、「ブライスター」のメロディー。ほかにも「ダイモス」のオープニング、「ダンガードA」のエンディングなど、と用例豊富!

③馬飼野氏がよく使うパターン
前の二つは、いわゆる、カッコよさを強調するために使われるパターンだったけれど、これは作曲の馬飼野康二氏のパターンともいえるものだ。というのもこのパターン、つまり弦楽器が細かく動いてグーッと盛りあげていくってやり方は、氏の他の曲にも出てくるからだ。「新・エースをねらえ!」「ベル「サイユのばら」「プリンプリン物語」のオープニングを思い出してほしい。どれにも「ザブングル」と同じく、前奏の終わりのところにこのパターンが顔を出しているはず。ただし、同じパターンを使いながら、「ザブングル」ではスピード感と迫力、他の三曲では華やかさと、それぞれにねらいどころはピタリときめているんだよね。

④新機軸やノォでカスタネット
ここのバックでカスタネットがリズムをきざんでいるのが新機軸。「カスタネットフラメンコ」って連想がわく。そして、これが伏線になって・・・・・・?

⑤俺はオーレッでフラメンコ
ここはやっぱり「オーレッ」とフラメンコのかけ声でいきたい。エルチがフラメンコダンサーのカッコしたらかわいいだろうな、と思いつつ、ジロンにバラの花くわえて踊っていただく、というのも捨てがたい・・・・・・。

⑥ 北へ….
スペイン風フラメンコに続いてこのあたりのメロディーはロシア民謡風･･････と思ってさがしてみたあったあった! 「カチューシヤ」という曲。「りんごの花ほころび…………」って始まる歌(知らない人は、お父さん、お母さん、お姉さん、隣のおばさんあたりにきいてみてね)。この歌の中の「君なき里にも」のところのメロディー。○ 印のついた音符同士を比べてみて (譜例)。ここではジロン、コトセット、ファットマン、ダイクの四人にコサックダンスをお願いしたい(どうせ四人いるんだから「四羽の白鳥」というのもいいかも)。

⑦なんで北に来ちゃったの?
しかし、せっかく南欧、スペインのフラメンコで熱く始まったのに、どうしてロシアに来てしまったのだろうか、もったいない。ここは地の果てシベリアに流されて今日もさすらい涙も凍る…ベーリング海をめざしてつばさを開く鋼の機体産地直送もぎたての野心を乗せて …なんて、ちょっとコワそうだなあ。

⑧ザブングルはブが命?
「ザブングル」は「ザブングル」って話があるけれど、歌のメロディーはすでに完全に「ザ・ブングル」で作ってある。というのは、「ザブングル」と言った時に一番強く高い音で立つのは「ブ」の音。だからメロディーも、ただ言葉の抑揚にあわせるだけじゃなく、一番強い拍子に高い音で「ブ」を置いたわけ(譜例2)。この曲を聴いて最初に覚えるのはここのところじゃないかな、と思うのだがどうだろうか?とても巧く作ってあるんだよね。タイトルははっきりと印象深く、というのが主題歌の鉄則。さすが、です、馬飼野氏。

⑨ザブングルの虹
ザブングルって名前、こんなに「ウ」行の音の多いメカも少ないのでは。やはり、メカやロボットの名前を絶叫するのが売り物の話だと、要所はハデな「ア」行か「オ」行でキメる、ということになるんだろうけど、ザブングルの場合あんまりそういう場面ってないのね。しかし、「ざーぶんぐうるうずあぶんぐるう」とぶつぶつ唱えるとお経になってしまうのだよ! ともあれ、これを迫力で歌った串田あきら氏はすごい。録音の時には「ブ!!」というたびにマイクの上に虹がかかったことでしょう。

⑩ エッセンスはイントロにあり
さて、カッコづけパターンがイントロ(前奏)に集中していたことを思い出してね。小節数からいえば前奏はわずかなものなのに、三つもポイントがある、というのは、それだけ重要だということ。つまり、ロボットもの主題歌のエッセンスはイント口にあり!!! ということなのだ。ではなぜイントロか? それには図のようなねらいがあるわけなのだ。

⑪ ベテランには実力があり
やはりベテラン馬飼野氏。氏の他の曲とメロディーの相互乗り入れをやってみたかったけれど、ダメだった。スキがない。ともあれ、タイトルの強い印象ロボット物パターンを巧みに取り入れたアレンジ、そしてスピード感、広がり、と大満足の「疾風ザブングル」。さて、あなたは?

「ザブングル」をささえる多くのスタッフ。エンディングテロップでしかお目にかからぬ”裏方”さんはどんな人? ブラウン管のこっちとむこうを近づけたいので、スタッフルームの噂話をうかがいました。お話してくれたのは、レッキとしたスタッフ(文芸設定)なのに、ナゼかテロップに出ない風間洋さん。サンライズにおける各セクションの役割についても聞いてみました。

プロデューサー

外国映画とか、他のプロダクションの場合、プロデューサーが事実上の最高責任者であることが多い。シリーズ物にあっては、全体の物語を決めるのがプロデューサで、その敷かれたレールの上で各話に責任を持つのがCD(チーフディレクター)ということになる。これに対して日本サンライズの場合は、かつてハリウッドでディレクターとプロデューサーが分化した通りの分担でやっているわけだ。つまり、作品〟の内容については総監督(CD)。その実製作上の事務、経理、人事を担当するのがプロデューサーという分け方なのだ。どこの場合でも同じで、一人がすべてを決定するシステムはないわけだが、サンライズの場合「物語作り」の全権は総監督にあり、プロデューサーは裏方に徹しているといってよいだろう。サンライズという会社そのものの体質として、各パート間での職位的序列はないわけで、プロデューサーも演出も製作デスクも、意見を出すという上では同等なのだそうだ。
中川宏徳氏(プロデューサー) 「見た目は怖そうですが、仕事には怖そうで仕事をなさるという感じがあります」
山浦栄二氏(企画部長)
「企画プロデューサーという役柄が山浦さんですね。大変忙しいお方です。悪くいえばせわしないというか(笑い)。打ち合わせでも、必ず待ち合わせの場所に駆け込んできて、あの堂々たる体でですが、これこれがこう、あれはああで、それじゃよろしく、といってまた飛び出してゆくんですね。ものを創るということにいつも初心を忘れない方です。『もうからなくったって良いものならいつか必ずわかるときがくる。ならば創りたいものを創ろう』という意志で、包み隠したところがない、大きさのある人物だと思います」

総監督

いわずとしれた役どころだが、その仕事内容は超人的なものだ。仕事のうちでいちばん重要なのは絵コンテチェックといっていいだろう。富野氏の場合、ここで多くの修正、リテークを出し、コンテさえキチンとやれば総監督の仕事は終えたといっていいだろう、と語っているそうだ。それ以降は、各演出家の力量に任せてゆく形をとっているそうだ。そのほか、シナリオチェックと数話分をまとめた形での基本プロットを原作としてライターへ渡すために、書く作業も並行して持っている。そのあいまをぬって各話のキャラ、メカなどの設定チェックをしてゆく。それらのラフイメージを出すこともかなりだそうだ。そして色指定にまで目を光らせ、自らペイントしてみせることもあるそうだ。そしてラッシュチェック、アテレコには立ち合い、カッティングの最終チェックは必ずするそうだ。
富野由悠季氏(CD)
「通称はおトミさん。会社には自宅作業などがない限りキチンと朝いらっしゃいます。早いときは10 時ごろからで、スタジオでいちばん早いこともしばしばですね。大変な勉強家で、あれだけの仕事をこなしながらいつも色々な本を読んでいます。仕事はかなり早いです。絵コンテは、普通の方で2週間から3週間かかるのに、早ければ3日、週間あればあげてしまいます。安彦さんが『コンテは時速で切るもの』といったことがありますが、そんな感じですね。コンテは、アニメーターにとっては大変なようです。手が抜けないような細かな演出があって、楽ができないそうです。読んでて面白いコンテです。そんな反面、やっぱりスケベじゃないでしょうか(笑い)。サンライズの女の子の中で、お尻をさわられたことのない子はいないんじゃないかしら(笑い)。もうみんな慣れちゃったようで(笑い)。冗談ポンポンでるし、仕事をしてるのかな、と思うとプラモデルを作ってたりで、とにかくつかめない人です(笑い)」

演出

他プロダクションでは絵コンテマン、すなわち演出というところもかなりあるが、サンライズの場合コンテと演出は別になっている。描かれたコンテをもとに〝演出〟をして、演出家の解釈で一つの話を創りあげるわけだ(詳しいことは、本誌連載中の「ザブングル演「出スタディ」を読んでほしい)。「ザブングル」班の全員がまだ30 歳前で年齢的にも近い、チームワークのいいスタッフとのことだ。
鈴木行氏 「映画が好きで、音楽もよく聞いていますね。ミュージカルもお好きなようで・・・・･･。音楽はポール・マッカートニーなんかが好みらしく、よくお話ししますね」
関田修氏 「関田さんとは『ザンボット3』以来のおつき合いですが、豪傑ですね。お酒にも強いし、笑いながらリテークを出すと怒られたり、ラッシュチェックをしていて色もれなんかがあると、突然笑い出したり、ユニークで楽しい人です」
菊池一仁氏
「撮影のほうから演出にこられた変わりダネというところでしょうサンライズでいちばんの映画マニア、映画音楽マニアといっていいと思います。映画音楽のLPなんか月に10枚は買い込みます。『ダイオージャ』で映画の星へ行った回がありますね。あの回を作ったのも菊池さんです。あの中にどれだけのパロディが入っているか想像つきませんよ」
加瀬光子さん
「作画から入られた方ですが、数少ない女同士で、よくおしゃべりしますね。ある意味では彼女が最初かと思うんですが、サンライズ育ち”の演出家なんですね。演出にしてもとにかく〝こだわる”女。作画打ち合わせにしても、普通の倍以上かけて納得するまで考えぬきます。彼女の場合、ロボット物しかやっていないようなところがあり、もっと色々なジャンルに挑戦させてあげたいですね」

作画監督

湖川友謙氏
「不思議なムードのある方です。落ち着いた、マイペースをくずさない方です。そのためそれなりの年齢に見られて、富野さんより10 歳も若いのに、富野さんは湖川さんのことを、年上だと思っていたというエピソードがあります。マイペースの反面、とにかく好ききらいが激しく、机に向かっているのが大変らしく、製作進行の腕は何時間机に座らせられるか、などともいわれています(笑い)」
佐々門信芳氏
「ペースをキチンと、本当に驚くくらいキチンキチンと仕事をなさる方です。ムラがないんですね。手が早く、夜中になると手が8本になるんじゃないかといわれるくらいの早さです(笑い)」
金山明博氏
「温厚で丁寧な方ですね。冗談もわかるし、なんといっても昔気質の職人アニメーターという感じがします。体力配分もうまいし、さすがベテランという感じですね」
坂本三郎氏
「ベテランの貫録って感じです。そつなく、丁寧に、実力を感じさせる仕事をなさる方ですね」

サブンクルを10倍楽しく見る方法解説コーナー

ジロンタイプ
ジロン型のあなたは、一度面白いと思ったものにはとことんこだわるタイプです。アニメも全回見るか、まったく見ないかす思い切るタイプです。主人公中心の見方をするメジャー指向で、ストーリーのダイナミックな面白さにも敏感です。
これからの楽しみ方
メジャーな部分以外にも関心を持ちましょう。一話かぎりのゲストキャラとか細かな遊びにも楽しみを見つけてください。あなたのバイタリティーを生かしてFC活動の中心になってみるのもいいでしょう。責任ある立場にたって目配りのコツも覚えましょう。

エルチタイプ

性格
エルチ型のあなたは、自分の信念に忠実な人です。あなたの信念の通りアニメは美形でもっていますね。美形趣味は、ゲストキャラに注意を向けている良い傾向があります。そのため数多く見る忍耐力も人一倍。性格的にはやはりメジャー指向です。
これからの楽しみ方
ゲストキャラだけでなく、味のあるキャラにも注目しよう。ビエルよりティンプ、エルよりアコンという意識が、あなたを筋金入りのミーハーにするでしょう。あなたが、ビエルの死後も最後まで見つづけるか、美形一筋を貫き通すかが問題ですね。

ティンプタイプ

性格
ティンプ型のあなたは、はっきりいって目立ちたがり屋です。セリフ回しにもアニメパロディを気づかう、神経の細かさがあります。人から注目されることが生きがいのあなたは、イベントにもよく顔を出します。好きな作品も人気の高いメジャー指向で、その人気を感じるセンスも抜群です。
これからの楽しみ方
毎回精神を集中し、パロディの仕込みをやり、アニメファン仲間のヒーローを目指しましょう。イベントに参加するときにはコスチュームプレイも忘れないように。ただし、鏡と相談をしからね。

コトセットタイプ

性格
コトセット型のあなたは、典型的なメカマニアです。手前のキャラより後方のメカ。自分でメカのデザインをしてみることもあります。作品の良し悪しはメカデザインにかかっているのですね。メカの色気がわかれば一人前でしょう。
これからの楽しみ方
ウォーカーマシンのディテール分析、フォルム解析など、マニアックに迫る手段はいくらでも。新作のWM、ランドシップなどユニークなものに挑戦してみましょう。表現手段としてのイラストの腕をあげることが第一。物理的、SF的なメカの考察にも挑戦してみてください。

マリアタイプ

性格
マリア型のあなたは、楽しみ方を知っていながら、周囲の目を気にして素直になれないタイプです。アニメを見るのはいけないことではないか、という世間体を気にする反面、アニメの面白さ楽しさがわかるすばらしいセンスの持ち主です。友達を作るのが不得手な方です。
これからの楽しみ方
いきなりアニメファンという顔をするのは無理でしょうから、まずは遠方のFCにでも入ったり、アニメファンの交通相手をみつけましょう。自分の頭の中でアニメの良さを整理し一つの考えにまとめ自信を持ったらアニメ仲間にとびこみましょう。

ラグタイプ

性格
ラグ型のあなたは、細かなことにこだわらない大胆な人です。けれど一方で妙なことにこだわり周りからは理解されないこともあるでしょう。関心はストーリーよりキャラに向き、回によってのセリフの食い違いなどにはガマンできないタイプです。声の演技に敏感で、登場人物のイメージづけなど想像力もたっぷりです。
これからの楽しみ方
自分の趣味を生かしたリスト作りなどはどうでしょう。陽の目を見ないサブキャラのキャストに注目し、インデックスを作ってみては。データとして引っ張りだこ確実です。

ホーラタイプ

ホーラ型のあなたは、自分の欲求に素直な人です。かわいい女の子が好き、お金がほしい、カッコ良く思われたい。それらの欲求を素直に満たそうとする姿勢は、かわいいともいやらしいともとられるので注意が必要です。もっと無邪気に表現してみましょう。
これからの楽しみ方
今はやりのロリコンにのっかって「ザブングル」をPRしてまわりましょう。「ザブングル」を PRするならばきっと富野さんも許してくれるでしょう。趣味と実益をかねた楽しみ方です。でもそれだけに流されるのも困りますね。

ビエルタイプ

性格
ビエル型のあなたは、研究熱心な人です。作品を見るときもテーマやSF考証に並々ならない関心を示します。「ザブングル」のような謎ときがあるとあれこれ思いをめぐらし、資料をあさるのもこのタイプ。アニメだけでなく他のジャンルとのクロスオーバーにも熱心です。
これからの楽しみ方 ともすれば専門バカになりがちなところを気をつけましょう。作品の矛盾点などたちどころにわかってしまうあなたは、それを楽しむことが必要です。こだわりをすて笑ってすませましょう。ミーハーチックなところももつように努力してください。
ファットマコンタイプ

性格
ファットマン型のあなたは、一つの目標に異常なファイトを燃やす人です。寡黙で他人からは理解されなくとも自分に課したことは必ずやりとげます。「ザブングル」はどんなことがあっても、最初からキチンと見なければ気がすまないタイプで、土曜の5時半の人”です。
これからの楽しみ方
あなたは「ザブングル」を見ることにこだわり、心から作品を楽しむ余裕が少ないようです。たまには一回飛ばして、先週を想像しながら楽しんでみましょう。見ることではなく見たものにこだわりましょう。テーマソングの演奏に挑戦するのも良い。

名なしのブレーカータイプ

性格
名なしのブレーカー型のあなたは、実に幸せな人です。流れにのってあらゆるこだわりをすて、単純に面白いものを楽しんでいます。ときには何が面白いのかわからないのに、面白がっているくらいで、はたの人からうらやましがれること確実です。そうです、「ザブングル」は面白いのですよ。信じる者は救われます。
これからの楽しみ方
あなたは大きな選択をしなければなりません。このまま幸せでいるか、こだわりをもって苦しむか。けれど、そのときジロンたちの気持ちはだれよりわかるはずです。よく考えましょう。

Interview with Misao Minamida & Yoshiyuki Tomino:

「ザブングル」は明らかに「イデオン」の”次”の作品富野由悠季氏なのです。

「『イデオン』公開日までに「ザブングル』の物語は書きあげました。ゲストキャラで殺して良かったのはビエルだけだと思います。気分が見えてきた『ザブングル』、つらいところはあるが決して不愉快ではありません。ジロンがどこまで走れるか、それが課題ですね」。富野由悠季第一作「ザブングル」を語る!!

殺しちゃいけないザブングル

Minamida. 「ザブングル」について色色お聞きするのは、シリーズ半ばというので非常に心苦しいわけですがよろしくお願いします。これまでをふり返っていちばん疑問なのは、やはりジロンのキャラデザインですね。確かにユニークですが……。

Tomino. 他意はないんですね。第一稿として湖川さんからあがって来たのを見てナゼか納得したんです。こちらからいったことといえば泥臭さ、あるいは埃っぽいんだみたいなことで、あのキャラについて特に指定したとか、戦略的でも何でもなかったんですね。

Minamida. ベースカラーとしては茶系ですね。

Tomino. ええ、これはイノセント側との対比ということでもあったわけですが、あの世界からは必然でしょう。

Minamida. ここーか月ほど、20話前後を見てどうしても聞きたかったことがあるのですが、エル・コンドルやアコン・アカグの殺し方はあれで満足されていますか? どうもらしくないと思うんですね。

Tomino. わかります。それはあります。「ザブングル」の世界には人が死んでゆくのが似合わないところがあります。本来あの二人も殺さなくてもよかったんですね。

Minamida. 8月号の『マイアニメ』にも少し書いたのですが、〝情念”という問題があると思うのです。その意味で今一つもりあがらない。

Tomino. いやあ、うすうすヤバイなあ、と感じていたところがないわけでもないんです。そもそもティンプがシナリオでは殺していたもああやって生き延びさせたところで、「ザブングル」全体の気分が少し違和感を出して来たんですね。こちらの作劇との間に･･････。こちらはパターンのロボットものがどうしても体にしみついていて、ゲストキャラを殺すのも整理学としてよろしいという思いがあったわけです。けれどティンプを生かしてみて、ああ、このほうが似つかわしいな、という気分もあった。にもかかわらずアコンとエルを殺したわけです。あそこらへんで実に話がワサワサしてました。それでカラスの女房のグレタは急きょ殺すのをやめました。エルコンドルのところも、かなり悩みラストシーン(エルチの悲しみにラグの茶々)はずっと待ってもらったんです。せめてああしないとまずいんじゃないかと。アコンからなんか違うなというものがはっきりしてきたわけです。ティンプで感じたもの、とですね。

Minamida. 描き方の目がそっちへ向きすぎてるのではありませんか? ゲストキャラを思い入れるまで描きながら殺す。これは暗い話になってきそうだ(笑い)と。

Tomino. 「ザブングル」のようにやってなければ、それほど気になりませんよね。

Minamida. 殺すべきキャラなら、もう少しサラッとやればさほど気になりませんよね。その意味ではキャリング・カーゴが死んで、あれ、こういうのを描いてゆく話なのか少し方向づけられたところがありますね。そしてグロッキー、ホッター、ギャブレットときて、そのイメージが固まる。けれどホーラやティンプが生きてゆく、名もないブレーカーはどんどん助かる (笑い)。ううんわからん、というわけでして。

Tomino. マリアが死ぬ話がこれからあるんですが、それもやめまして次の話のシナリオも書き直してもらったんです。やっぱり似合いませんから。

Minamida. 暗くならないようにしてください(笑い)。

Tomino. そういう風に思われても仕方ないですよね。大団円に向かって根暗的になるんじゃないかと。けれどそういう形ではなくしたい。そのため作劇的には作意が働かず作劇法の破綻がおこるかもしれないわけです。けれど、アコンのときはそういう風にいきませんでした。最後の大決戦でホーラとティンプの連合艦隊相手にドンパチやにしても、あの二人はきっと生き残りますね(笑い)。

Minamida. ぜひとも気分よく、明るきめてほしいですね「笑い)。

Tomino. ファンの人にも殺したキャラにも申し訳ないと思ってます。アコンは本当に気の毒したなと。ギャブレイもね(笑い)。

Minamida. 最初からだれも死ななければまた見方も違っていたというのも事実ですね。期待している分だテーマとかそういうこだわりを増幅しちゃうわけですよ(笑い)。

Tomino. 初期設定から順々に整理する、殺してゆくつもりだったのに「ザブングル」の世界がそれを拒否してしまったわけですよ。カラスは、仕方なく死ぬんですが、カラスの役者さんが死にぎわが悪くてね、「なぜ生きてちゃいけないんだ!」と言われまして(笑い)。やっぱり何話か出てみると作品のディテールがわかるんですよね。

Minamida. 殺して整理してゆくというスタイルは、これは大団円へ向けて収束してゆくやり方ですよね。けれど、「ザブングル」は、生かして生かして、発散させきって花を咲かせなきゃいけないわけですよね(笑い)。

Tomino. こうやって話しているとよくわかるんですが、やっぱり死ぬべきゲストキャラはビエルだけでしたね(笑い)。

ビエルが語ること

Minamida. ビエルが死ぬのですか?

Tomino. 死にます。36話か37話。彼はジロンたちにイノセントと惑星ゾラの秘密を全部しゃべっちゃいます、あっさりと(笑い)。秘密も謎もないんだってな感じで。でも、それはジロンたちにはどうでもいいことなんじゃないでしょうか(笑い)。今日食うトカゲがとれるかどうかのほうが重要だし、イノセントの考えなんかより弾を撃ってくティンプやホーラのほうがよほど問題なんじゃありませんか(笑い)。その意味では、アニメなれしている人たちがウソだろ~、というような作劇の破綻を見せるかもしれません。けれど、「ザブングル」はそういう作りをしているわけですね。なぜそうしたかといえば、「ガンダム」「イデオン」の作業の中で、あの中に語られている理想的なメッセージなりテーマをいち「ばんよく受けとってほしかった直接制作サイドの人が見事にそれを無視してくれたからなんです。自分たちの生活を、考えを、メッセージを理想的なものと受けとった少しでも近づけよう、アニメなんかやってちゃいけないんだ(笑い)、という想いを抱いてほしいわけですよね。もちろん、僕だって個人の我で仕事をしているわけで、肉薄できないことのいいのがれをやってる、口先だけで終わる部分が自覚されているわけですよ。謎も理念もクソもない、とにかく生きなきゃならない。「ザブングル」はまさにそういう人たちのことなんです。「ガンダム」「イデオン」の以後のトミノ監督の大団円なんて「ザブングル」にはないわけですよ。

Minamida. 先ほどのアニメなれしているという点で、「ザブングル」を興味として引っ張ってきたものに、いわゆる“パターン破り”がありますね。

Tomino. あくまでシリーズを52本も引っぱってゆくためのテクニックとしてですね。”パターン破り”なんておためごかしにあおられてもこまりますね。

Minamida. それは楽しむべきところで、見るべきところは、より大きな意味でのアニメなれしていることの怖さ”ですか。これは、ファンも心して見なければなりませんね (笑い)。ところで、イノセントはドームの外では生きられないのですか?

Tomino. ええ。28話ぐらいでイノセントの別荘ドームを壊し、イノセントを人質にとる話があるのですが、数時間で死んでしまいます。ムを出てビエルの死も、自らドーいくことで、ゾラの大気に順応するための抗体かなにか飲んでいたんでしょうが、10日ぐらいで死ぬわけですね。

Minamida. イノセントの持っているビジョンはあるのですか?

Tomino. もちろんありますね。ただし、それはジロンたちにとってはまったく関係のないこと(笑い)。具体的にどうのというわけじゃないけど、きっといつかシビリアンに渡している武器弾薬を強権発動で取りあげたりするんじゃないでしょうか。長長期の話ですが。

Minamida. まだ早すぎるのだ、みたいなセリフが伏線と感じるわけですね(笑い)。

Tomino. ニクールはそういう興味でっぱり、次でそれが明らかにされる、そして最後へ、まあそんな展開でしょう。全部お話してもかえってつまらないんじゃないでしょうか(笑い)。

Minamida. 「ザブングル」の面白さはそれとは別のところだと思っていますから。

ファンのこと

Tomino. でも僕のところにきた手紙には「南田さんて大キライ。私はもジロンがただ走っているのが好きなのに、南田さんはこだわりがどうのなんて難しいことを書くんですから」なんてのがありましたよ。

Minamida. そうですか(笑い)。でも僕がいつまでも「これ面白い。好きなんだあ」と書いてるわけにもいかないと思うんですよね。少なくともそこから会話なり、討論なりを生み出してゆくためには客観的共通点に認め合えるところで語らなければいけないと思うんですよ。はっきりいって「ザブングル」の場合、感想を求められるといちばん難しいところがあるんですよね。スキキライでいってもアコンやエルのあたりは、どうしてこういう展開なのかなあみたいな不満や、クールぐらいで眺めてのキライな部分、整ってないみたいなこともあったわけですね。それでいながヨシ、ワルシも難しい。富野さんのやりたいこと、イイタイコトが今一つ見えないというつらさがありましたもの(笑い)。

Tomino. 今、僕はファンの人たちの感想に注目しているんですね。「ガンダム」や「ゴッドマーズ」のようなアニメマニアがワーッと盛りあがるタイプじゃないわけで、よく見ていくとアニメファンのタイわけさえできそうなリアクションがあるんですよね。どこかに載っていた「富野さんは15~17歳しか使わないし相手にしていない」みたいなこともいわれたりで、「大人の世代との関わりを描かない」そうなんですね、ナントかいう作品はそれでキチンと描いてるということですが。

Minamida. それは無理ですね。今のアニメでは。まだ一つの世代すら描いてないのに。

Tomino. 確かに「ザブングル」を見ていて子供が、なんでこんなに大人のようにふるまわなきゃならないんだろうか。こんな風にやられたらつらいなあというところがあるわけです。けれど、それをキチンとやられたら怖い話になるだろうし、それを描くための「ザブングル」じゃない、と納得しているわけですね。

Minamida. 「ゴッドマーズ」はご覧になっていますか?

Tomino. いや。見てないんですが、あの物語は生理的につらいです。

Minamida. 物語作りとしたら楽だと思いますね。ファンをのめりこませる、という意味では作劇性のオーソドックスなところをトレースしていますから。

Tomino. 今回、確かに「ザブングル」で一つ新しいことに手を染めたと思っていますし、少なくともこの作品では現実を投影しているんだという自負はありますよ。

Minamida. 先ほど少し触れましたが、情念と情感”の問題で、今回新しく手をふれられたところにこの “情念”を描くというものがあるのではないかと思うのですが・・・・・。

Tomino. あります。やはり自分の不得手なものを乗りこえようという作家としての欲が出てきたんですね(笑い)。そして、この「ザブングル」で、TVアニメというジャンルの中で、別な意味ではあるけれど一つの問題提起ができるという保証が感じられてきました。

Minamida. いい意味で作家のもの、「作」品」という匂いがする気がしますね。「ガンダムⅢ」までで磨きあげられた情感”で流すというスタイルにはない”臭さ”ですね。

Tomino. 情感で流せば楽ですよ(笑い)。そういうもの作りの欲と、やはりメカ物ロボット物を見わたすと、今、貧相さがあるからですね。こんなものがあってもいいじゃないか、という気分でした。けれどその作業はかなり面倒なものになりそうだな、という予感が、一本目のコンテからありましたね。たとえ武骨になっても逃げないぞという思いでした。「ダイターン」のときと構造的には同じところがあったわけですよ。投げないでもう少ししつこくやってみようかという気分がすべてでした。かなり不愉快になるんじゃないかという覚悟がありましたが、やっていて不愉快さはなかったですね。かなりつらいところはありますが。

Minamida. 明確に、ご自分の演出域を拡げていかれてるんだなというのがわかると、これからはもう何でもできるんじゃないかと次回作が楽しみですね。

来年は!!

Tomino. 僕はいつも一つが終わってから次の企画を考えてきましたが、まだ夏にならないうちから来年の企画を出せといわれて今、色々やってるところなんですね。

Minamida. 随分早いですね。今のスタッフでですか?

Tomino. サンライズ自体としても少固定観念が強いので、多少いれかえも考えているんじゃ……………。

Minamida. 新作の心づもりはやはり、 “クルー物”

Tomino. クルー物”?

Minamida. 登場人物が多く、主人公がそのクルーの一員である・・・・・・。

Tomino. ハハハ。

Minamida. ヒーロー物でいきましょう。

Tomino. ヒーロー物がなかったからね。でも前々からやりたいというものが、「ダグラム」の後の番組で高橋良輔さんがやりたいといってるものとシンクロしそうなんでね。こっちからは出さない感じです。

Minamida. サンライズならではで、同じテーマで競作なんてのもやったらいかがでしょう(笑い)。

「ザブングル」の位置づけ

Minamida. 少し抽象的になりますが、「ザブングル」の富野作品における位置づけなどありますか?

Tomino. ありませんね、特には。

Minamida. けれど、明らかに「ガンダム」「イデオン」の次である。富野:そうです。それは明確にあります。その意味で先ほどお話しした「ガンダム」の映画製作を通しての1年が、この「ザブングル」を生みだす土壌ではありました。

Minamida. 「イデオン」が終わり富野さんが全力で「ザブングル」に入ると、またかなり暗くなるんじゃないかというおそれ(笑い)。が、一部ファンの間ではあったようですが…。

Tomino. (笑い)わかります。僕自身それを恐れていて、とにかく「ザブングル」の最後までは、「イデオン」の作業が終わらないうちにあけてしまおうと頑張ったんです。結局、公開4、5日前の段階までかかりましたが、なんとか気分が大きくかわらないうちに作ったつもりなのです。これからは、その初心を忘れず忠実にトレースしていくつもりなんですね。もちろん、「ザブングル」の世界は、死んだ人間を簡単に生き返らしうるところがありますから(笑い)。

Minamida. 暗くならないように(笑い)。

Tomino. 初心というのは、ジロンがどれだけ走れるかというスタミナ論でもあるわけです。へんにナマ臭くせずとも、今回のスタイルはこれでいい、雑誌が何を書こうがジロンは元気に走ってるじゃないか!という気分ですね。多少ガヤガヤしていようが、これは見ていてやはり気になりますけど、そもそも作品的には「イデオン」とのダブル・リリースなわけで、ワサワサしながら作ったもの、その気分でつっ走れ!と思っちゃうんですね。決して作っていて気持ち悪くないですよ(笑い)。

Minamida. 楽しいですよ、実に(笑い)。

TVと映画

Tomino. 僕の場合、周りがあって初めて作る気がするわけで、やはり TV人間なのね。

Minamida. わかります。気がついたのですが、なぜ「哀・戦士」のときあんなにのびのびと作れたのか、ということなんです(笑い)。それはあの作品が頭と続きのあるまさにTVのシリーズ中の一本というスタイルだったからではありませんか?

Tomino. 安心しているのよね。まったく、そう。そういうシステムがあるから多くの演出家が演出家ヅラでき多くの役者が役者ヅラできると思うのです。TVはいうなればエセ文化ですよ。1本の独立した話、本当に根本だけの姿にしたら、いったいどれだけの人間が「演出家」なり「役者」なりでいられるかわからない。そういう中でやってくるということの怖さが、痛烈にわかりましたね。日本映画の状況に立ってみていかに作家性を持った監督が少ないか、演技のできる役者が少ないかは驚くべきぼどです。そんな中で、やはり黒沢監督のように、まあ現在の作品は別にして一時期あれほど名前が出た人は、まちがいなく「作家」だったと思います。それに対したら、所詮、TVはエセ文化です。確かにエセ文化の中から、TV という土壌から本物となっていく人は出てきました。けれど、それはごくわずかで、いってしまえば戦前の状況と何ら変わらないのです。現代はTVや情報が発達し、本物となるチャンスがより多いように思われますが、戦前とかわりませんよ。多くの人はTVの中に安住 365日それだけです。

Minamida. なるほど。

Tomino. 僕はウォークマンをきらっていました。半分以上堕落の文化だと思います。TVも同じですよ。そういった中で、個人の評価がどういうところに根ざしているかは実に大切な問題です。あ、名前が売れた、やっちゃえというのでは殺されますね。自分をきっちりとわきまえ、用心していかないとやられるぞと思わないといけませんね。これから4、5年かなり気をつけねばと思っています。そういう実感があると、ああ50という年齢は迎えられないな、と思ったり (笑い)。そういう怖さをお互い身につけたほうがいいと思いますね。その上で、画面なり活字に定着させるものを、定着させてゆくんだとしなければだめだと思います。

Minamida. 富野さんとはもっと低い意味ですが、気をつけたいですね。

Tomino. 固定化というものは、保守化ではないと思いますよ。仕分けをし良いものを残してゆく、その作業である限り、残してゆく価値があり意義もあると思うんですよね。だから、そういう仕分けをする母体としてのTVの意味はまだまだあるし、ダイジェスト版であろうが1本の映画としてあったものを否定することはないと思います。安穏に、安々穏々に流してゆくことは気をつけたいのよね、となるわけです(笑い)。

Minamida. 「ザブングル」について、最後に、サブタイトルのことを少し。

Tomino. うまくつけられないんですよ、いわないでください(笑い)。僕はタイトルをつけるの下手なんだ。

Minamida. アイアンギアー同士が戦うシーンは、ウォーカーマシンでやるのですか?

Tomino. いや、それはもっと後のときやるつもりです(笑い)。カラスのところでやったとしたら勝負になりませんよ。

Minamida. 先に殴ったほうが勝ち。

Tomino. あの高さで倒れたらおしまいですよ(笑い)。

Minamida. 現在、『マイアニメ』で「ザブングル演出スタディ」が連載中ですか、演出を志すファンへ何か一言お願いします。

Tomino. これはやはりセンスですね。作品を語るためのその世界での足場、目線が見えなければなりません。もちろん、図式はありますが、最後はやはり才能、カンです。絵が描けたからといって作家ではないし、物語が語れたからといって作家ではない。ひとつの映画のためにはやはり両方の才能が必要なんですね。映画を見て、そういう語りの目線、世界を描く足場の感覚がやはり高校生くらいで見えないと、本物の演出家になるのはつらいんじゃないかと思いますね。

Minamida. お忙しいところを本当にありがとうございました。「ザブングル」のすばらしい完結を期待しています。

December

Animage [pg. 23-24]

センションラグカユのランデブースキー”だれか見ていケイもなしにテレあって。ブリコラザというのも何か変な感じやっぱり似合わないというと失礼かな? よくやるよ本当。

ビリン・ナダとキャロン・キャル
女性だけの部隊をひきいてアイアン・ギアを襲ったイノセントの雇わブレイカーキャロン・キャルとソルトの女戦士ビリン・ナダ。はなればなれになっていた姉妹が再会したとき、それは敵同士だった。ビリンの銃弾に倒れたキャロンにジャンたちは、つくづく女の恐ろしさを感じた……。

キャラ設定をする場合、ひとりのイメージができ上がった時点で、全体像が見えて来ます。「ザブングル」の場合、ジャンがそのひとりで、結果、あのようなサブキャラが生まれたわけです。例外もひとり、ビエルに関しては富野さんのラフがあり、それがイメージに近かったので使わせていただきました。アーサー・ランクが、この世界で珍品美形といわれているとのことですが、彼のもつ思考、行動、性格など、設定上、異質にならないと思ったのですがいかがでしょうか? 現在「ザブングル」の作画はビーボオー担当分はすべて修了し、新作の 1話が進行中です。こちらもごさい。

タフもいいぜ!!
エルチを捜すためにどこまでも、ファットマンは進みます。顔じゃありません。やっぱり男もタフじゃなくっちゃ!! 「戦闘メカザブングル」も最終回をむかえる1月まであとわずか。物語もエルチが洗脳されて完全にイノセントの手下になり、イノセントの秘密もだんだん明かされ、いよいよ佳境へー。それにともない、ただですら多いキャラクターたちに、ルトのメンバーも加わったりして、ふえるわふえるわ……。これからもラストへ向けてシビリアン・イノセントの両側に、いろんな人間たちが出る予定もある。それだけの人間を描き分けるには総監督、富野由悠季氏の力もさるとながら、キャラクターデザイン担当の湖川友謙氏の力によるところも大きいはず。そんな湖川キャラの魅力の数々を紹介。イノセントに洗脳され、アイアン・ギアと同型艦のギア・ギアに乗り、ジロンたちを狙う立場にまわったエルチ。しかも、その長い緑の髪をヘアバンドで止めコスチュームまで変えて登場して来た。この髪のデザインの変化を湖川氏に聞いて見たところ「あれはもう別人です。そのため、顔も人形的にデザインしました」という答えが返って来た。確かにコスチューム的な変化だけでなく、瞳など、冷たい無表情な目をしている。さて、きみはどちらのエルチが好み。

美男子薄命?
イノセントとシビリアンとの秘密。すなわち、シビリアンはイノセントにより作られた人間という事実とアーサー・ランクがシビリアンの味方だということを伝え、死んでいったビエル。しかし、シビリアン派のイノセン下は美形が多いのかな……。

Combat Mecha Xabungle