1983
January
My Anime [pg. 68-69]


Report 1: 物語の舞台である”バイストン・ウェル”とは?
「高度3万メートルのところが海の底。ですから、上空を見上げると、海がたれ下がっているように見えます」
富野氏の語る”バイストン・ウェル”とは、陸と海との狭間にある虚空間である。この空間は、生きる物の生命の源である”オーラ力”で支えられ、人と妖精、怪物たちが共存している異世界なのだ。
「この設定は4年ほど前から考えていたのです。原作はないのですが、オスカー・ワイルドの水の子”の世界に近いですね。つまり、我々が気付かない世界があるのでは?ということから発展したのです」
Report 2: 空想世界を舞台に繰り広げられるファンタジックな“地球伝説”
では、異世界バイストン・ウェルで何が起こるのだろう?
編集部に送られてきた設定資料から、ドラマの発端と展開を紹介しよう。
バイストン・ウェルの”ア”国で争いが起こった。そこへ地上人によって”オーラ・バトラー”と呼ばれるオーラ力で動く戦闘用ロボットがもたらされた。
強いオーラ力を持つ少年ショウ・ザマは、妖精の不思議な力により、この世界に引き込まれ、”ア”の国の動乱に巻き込まれていく。
ショウを待ち受けていたのは、オーラ・バトラーの戦士として、動乱の原因をつくった悪徳領主との戦いである。この戦いに勝てば、報酬を得るとともに、再び地上に帰ることができるのだ。
しかたなく戦いに出たショウが見たものは……敵のオーラ・バトラーに乗る地上の少女だった。
「わけもわからず悪の味方をする馬鹿な男」と罵る少女の言葉にとまどうショウ。「この戦いは、何なのだ?」いったい、バイストン・ウェルとはどういう世界なのか、戦えば本当に地上に帰ることができるのか? 自分を戦わせる “正義”とは?
様々な人々のしがらみの中から、やがて真に倒すべき相手を知っていくショウは、強いきずなで結ばれていく仲間とともに、いつしか〝バイストン・ウェルの勇者”として成長していく。
ロボット路線を軸に、今までにない新しい映像を創造するというスタッフたち。期待度は大だ!!
Report 3: ユニークな登場キャラクター
ショウ・ザマ: 18歳・日本人
設定: モトクロッサーを目指す、メカが好きで好きでたまらない行動的な少年。正義感と冒険心にたけた反面、ナイーブでウィットに富んだ感情の持ち主。強いオーラ力を持っているために、バイストン・ウェルに引き込まれ、戦いに巻き込まれていく。
マーベル・フローズン: 18歳・アメリカ人
主人公ショウより先にバイストン・ウェルに降りた、強いオーラ力を持つ少女。牧場主の娘。射撃などの武勇に優れ、男勝りだが禅を愛好する意外な一面も持つ。
展開: その神秘的な美しさに、ショウはぞっこんになる。
ニー・ギブン: 23歳・ア国人
設定: ア国の一地方領主。ロムン・ギブンの長男。
性格: 勇敢。
展開: ルフト家の支配を阻止しようと戦う勇敢な戦士で、ショウたちのリーダーとなり、オーラ・シップ”ゼラーナ”の艦長を務めることになる。
キーン・キッス: 16歳・ア国人
設定: ギブン家の少女戦士。明るく行動的。正義感と向こうっ気は人一倍強く、おちゃめなお転婆娘。
リムル・ルフト: 17歳・ア国人
ドレイク・ルフトの一人娘。心やさしい平和主義者。ニー・ギブンに想いを寄せている。
ドレイク・ルフト: 43歳・ア国人
設定: バイストン・ウェルの支配をくわだてる権力の亡者。ア国の一地方領主。
性格: 自分が他人に劣る姿を妻に見られることを極端に嫌う。
ショット・ウェポン: 28歳・地上人
バイストン・ウェルに地上の機械知識をもたらした技師。権勢欲が強く、きれ者。
Report 4: 「ダンバインとぶ」のレコーディング完了
去る10月某日、キングレコード第2スタジオで主題歌「ダンバインとぶ」がレコーディングされた。
歌うのはMIO。作詞は井荻麟氏こと、この物語の原作者、総監督でもある富野由悠季氏だ。
富野氏は、
「景気のよい、リズム感のある行進曲風にと思ったのですが、ちょっと歌謡曲風になってしまったかもしれません」
と語ったが、MIOさんは笑顔で、
「とてもいい曲なんですよ。大人の人にも歌える、いままでになかったアニメの主題歌じゃないかと思いますね」
と、すごく気に入っている様子だ。いずれにしても、我々の耳にとどくには、あと数か月待たねばならないのだ。
MIO(本名・門本浩子)
1955年10月3日生まれ。東京都出身。ソウル、ジャズ等の音楽をクロスオーバーさせたソウルフルなステージは、日本のチャカ・カーンと呼ばれているほどである。
1984
January
My Anime [pg. 76-81]

これは、夢なのでしょうか? それとも、光がかいま見せる、ひとときの幻影なのでしょうか? 人はどこから来て、どこへ行くのでしょう、己の弱さとけんめいに戦いながら……。彼らの生きざまに示されるものはなに? ミ・フェラリオの語るこの物語。それを見つめるあなたに見えるものは……なに?
現在、ドラマの終局へむけての変転を重ねる「ダンバイン」にファンの熱い視線が! 戦雲がきみを呼び、戦慄がきみを襲う・・・!!!
バイストン・ウェルから地上界へと、その舞台を移した「聖戦士ダンバイン」。オーラ力の増大によるオーラ・バトラーの巨大化という新展開をみせ、物語はいよいよクライマックスを迎えようとしている。なぜ、地上界ではオーラ力が飛躍的に増大してしまうのか? オーラ力にのまれた人々はバイストン・ウェルを忘れ、地上人と同じ現実世界で朽ちていってしまうさだめなのだろうか? 疑問と期待とがつのる中で、ひとつのカギをにぎっているのではないか、と思われるのがバーン・バニングスである。最近、とみに目立つ存在になってきたバーン。地上人に救助されたその船上でみせた彼の涙。味方の人質作戦の中でも、ひとり騎士道を重んじ、人質を逃がした彼・・・・・・。その不器用なまでに純粋な彼の生きざまに、ファンからの熱い声が寄せられている。そして、あらためて注目したいのが”絵”としての「ダンバイン」。第37話「ハイパー・ジェリル」をはじめ、リアルで迫力のある映像は見ているものを圧倒する。ドラマの進行とともに、スタッフの技術もハイスピードで向上しているようで、「ダンバイン」のラスト、そして、今後の作品へと、大いに期待されるところであろう。バイストン・ウェルから端を発したこの物語。すでに心豊かな人々のもとから離れ、邪悪な心がうずまく地上界へ飛び出してしまったショウ・ザマたち。その行く手には、どんな結末が待っているのか? いや、行きつく先が、本当にあるのだろうか? あなた自身の眼で見とどけてほしい…と、心からそう思っている。
鏡の国のバイストン・ウェル リィンカーネイション
バイストン・ウェルってなんだろう? この作品について考える時、いつもついてまわるのがこの疑問。人の心の故郷〟と形容されているように、わたしはわたしなりに考えて、きっ魔法やESPのように、人間ならだれでも”あったらいいな”と思うようなもの、そのくせ欲深く、弱い人類にとっては、使い方ひとつで悪以外の何ものでもなくなる・・・・・・そんな、現実の鏡の国的イメージを持っていました。どうやら、少し違っていたようですけど。バイストン・ウェルは、夢の世界でもなんでもありませんでした。そこの住人たちは、地上の人類同様、欲深く弱い人たちでした。オーラ・ロードという名の鏡一枚にへだてられた並行社会だったのだなって思います。ただ、そう言いきってしまうには、まだ早いような気もします。わたしの中にも、富野作品には何がおこるかわからないという概念があるものですから、疑問はそのままにしておいて、キャラクターの行動や心理変化に注目せざるをえませんでした。そして、「ダンバイン」が終了したその時こそ、自分自身にも結論を出そう……、そう思っています。夢の世界・・・・・この言葉には、”もうひとつの現実”という意味が含まれていると思います。わたしたちが、夢の世界を追うように、夢の世界の住人たちも夢を見ているのではないかとすれば、夢も希望もないと言われる現実というものの見かたを変えてもいいな・・・・・って思います。幸福の青い鳥が、実は自分の家にいた、というたとえのように。ショウやバーンたちが、その旅路の果てに行きつくところ…………。彼らを文字どおりの、人の心の故郷”へ帰してあげたい。そう願ってやまないのです。
ショウ・ザマが魅力的です!
湖川さんのキャラクターなしでは「ダンバイン」のファンになりえなかったわたし。あの迫力、あのリアリティー、立体感、そしてパワフルで軽妙な動き……とあげればきりはありませんが、デッサンがしっかりしているということは、見る側をホッとさせます。とくにせっぱつまって、ぎりぎりに追いこまれた時の人間の表情には、ハッとさせられっぱなし……思わずこぶしをにぎりしめて画面に見入ってしまうのでした。キャラクターでは、ショウ・ザマが魅力的。母性本能くすぐり型なんです。ふだんおとなしい彼ですが、激情にかられて涙する姿には、心をゆすぶられてしまいます。そんなときには思わず抱きしめてあげたいっ! なあんて……………この役はチャムにゆずりましょう。最近の彼は、当初より大人っぽくハンサムになってきたようです。やはり、主人公キャラなんですもの当然よ!…….とはいうものの、やっぱり、精神的に大人になったからなんでしょうね。役に立つ男から、頼れる男に変身したショウ・ザマ。物語はますます過激になるけれど、しっかり男っぷりをあげてくださいね! <星ヒカル>
地上で散った女戦士たち…
ジェリルもガラリアも不幸なまま死んでしまいました。哀れと言えばあまりにも…..。ウェルを目前にして……。ガラリアは、バイストン・おそらく、ジェリルは幸せを知らないまま……。ただ、二人が死んでしまったことをショウのせいにする人がいるのですが、それは断固として反論させていただきます。正義の味方ぶぶって言うわけではありませんが、ただただガラリアの場合不幸な事故だったし、ジェリルはオーラ力を悪用してしまったため、それぞれ自滅していったのですから。もうじきラストをむかえるわけですが、いまいちストーリーの流れをつかみきれない自分がくやしく思われるのです。富野監督は何がいちばん言いたいのでしょうか。<東京都/本橋祥匡>
バーンさまにラブコール
「ダンバイン」と言えば、やっぱりバーンですねえ♡ 初めて設定書を見た時は、なんだまた美形キャラか…とたいして気にもかけなかったんですけど。しかし、例の34話でしっかりファンになってしまいました。でも、バーンってめげないというかしぶといというか……。よくまあ毎回やられに行きますねェ。出ると負け! いいかげんにこりてくださいよっ!! 別にゼラーナに乗れなんて言いませんから、考えなおしてください。<S・Shige>
まとまりある奥深い作品を
「ダンバイン」は、最後にみんな死んでしまうそうで……安易なラストだ。今まで、ナレーションでは、「バイストン・ウェルという所は、魂の安息の場である」と言っていたし、わたしたち視聴者も、そう思っていた。それを第4話「パリ炎上」のナレーションでは、「バイストン・ウェルは、パラレル・ワールドである」と、世界を変えてしまったのである。ナレーションであんなこと言ってるなんてヒドすぎる。ビデオ持ってる人くらいしか気がつかないですよ。パラレル・ワールド…なんて安易なのでしょう。バイストン・ウェルのイメージがボコッとくずれてしまいました! 人間だってだしすぎる。個性がだされていない。こんな、お話の展開が、わけのわからない状態になって、殺してしまうというのもものすごく不満なわけで、富野さん、本当に”やりたかった作品なのですか?”と問いたくなってしまうのだ。もっと、〝見る側”の身にもなって作ってほしいと思うのだ。それでも、なぜだろう…·····惹かれるのは…・・。彼の作品というのは、我々に考えさせてくれる。ただ見るだけでなく、内容があるから、みんなと語ることができる・・・・・・見るだけではすまない何かがあるんだろう。そういった作品を作る富野監督は、もっともっと個性が強い人なんだろう。だれかが言っていた、”こわい人だ”と。人間的にとてもきびしい方でいらっしゃる。ああ・・・・・・お願いです。登場人物をもうちょっと減らして、もっと奥の深いまとまった作品を見せてください。富野監督+湖川氏のイメージは強烈です。これからもがんばってください。お互い、生かしきれるように祈っております。<KEY>
拥啓 バーン・バニングスさま
近ごろ、また停滞(後退?)ぎみのバーンさま 黒騎士”としてのあなたの再登場に、素直におめでとうと言っていいものやら、悪いものやら、未だに悩むところです。思えば、あなたが、第1話で登場したときから、ある種の不吉なものを感じたのは、わたしだけだったのでしょうか? ショウ・ザマに対しての、たび重なる敗北、左遷・・・エリート・コースへの道はとざされ、ショット・ウェポンの部下という立場に甘んじながらも、決して誇りを捨てないあなた……。その姿に、かつての富野作品に登場した某キャラクターをだぶらせてしまうわたしは、いけないファンですか…? やはり、あなたも何かを見とどけたその時に、散ってゆかねばならない運命なのでしょうか? あなたはただひたすら、その瞬間を目指して生きているのですね。そんたあなたが、わたしは好きです。 地上界にひとりで放りだされ、夕日の中、カバンをかかえて、さめざめと泣いていたあなたが好きです。世渡りがへただっていいのですよ。それは、あなたが自分自身に素直であること、純粋な人間であることのあかしですもの。あなたの思うままに生き抜いてほしい! もはや、どうこうしてほしいという言葉は見あたらないのです。わたしにできることといえば、あなたを最後まで追いつづけたそののちに、こんな人がいたんだよ……ステキな人だったんだよ・・・・と語ることぐらいなのですから・・・。<FROM KARNWITH LOVE>
「ダンバイン」の好きなところ
「ダンバイン」の好きなところといったら、あのすがすがしいラブシーンですよ。すごく素直に自分の気持ちをぶつけて、そして素直に、自然な気持ちで「そのシーンにはこれしかない!!!」という感じでさわやかにKISS。最高ですよ。今後のショウたちの活躍に期待してますよ!
<愛知県/ミホコ・キュービィ>
トッド・ギネス様への想い
わたしは、トッド・ギネスさまが大好きである。もう、ほとんど毎日が、トッドの奥さん気分なのである。ぜったい、トッド様がよいのである。どんな所がよいかというと……とにかく全部いいのである!
<広島県/TAMACHAN>
ジェリルへの情熱
まずはひと言、ジェリル – きゃー!!! あのキツイ目、ハデな髪型。どこをとってもいいわけ。と・に・か・く、リクツぬきでジェリルが最高なのです。もう、大好き♡
<愛知県/きりこ>
バイストン・ウェルへの好奇心
「ダンバイン」は、1本も欠かさずに見ています。オーラ・バトラーばかりでなく、もっとバイストン・ウェルについてくわしく語ってほしいと思います。たとえば、エ・フェラリオは、みんな学習をする戒律らしいけど、なんのための学習なのか、よくわからないので……。
<大阪府/エンゼルフィッシュ>
未掲載者への謝辞
載せられなかった人、ホントにごめんね!
御牧佳奈子・岬ルイ・よお・寺内啓介・牧原正泰・南部広譜・小沼みゆき・小早川裕利・高橋利昌・大倉了・井筒加奈美・佐々木哲也・三村麻希子・川村尚子・リマール君・浜島義久・ぷちばあど・鈴木一弘 湖川キャラだーい好きのみいちゃん・安居智博・山崎陽子・伊藤純子・相沢千春・寺方修・菊地朋子・他のみなさん
今月のサークル・同人誌紹介
湖川アニメシンドローム「こだわり」
「イデオン」「ザブングル」「ダンバイン」のアニパロ本です。メンバーは、星ヒカル、盾及誠。興味のある方は左記まで。
〒73-1 広島県広島市安佐南区安古市町上安5053-13 米本万里
アニメーション研究会「MOBIUS」
当会では、ショウ、チャム、リムルの声優さん方を名誉会員に迎え、「ダンバイン」中心のFCとして活動しています。現在は、約90名の大家族となり、みんなやる気満々です。「ダンバイン」にどっぷりの方、お待ちしてます。
〒30 千葉県千葉市今井町1378-10 白百合寮 中山方「MOBIUS」 第5課
「GREEN PLANET」
活動を始めて、そろそろ1年。現在、会員募集はしていませんが、来春には、会誌「LIVERO ROSE」の総集編「POP ROSE」を発行します。この本に興味のある方は、ぜひ連絡ください。
〒153 東京都目黒区中目黒駅前郵便局留 高橋奈巳
「ダンバイン」FC「ライネック」
バーン、トッド、ジェリル、ガラリヤを中心としたFCです。スタッフ、会員大募集中。来年、創刊号「バーン・バニングス・マガジン」を発行するにあたり、執筆者を募集しています。
〒281 千葉県千葉市柏井町1680-20 大滝方 小早川裕利「ライテック」係
FC講座予告編です!!
- 2月号: 「キャッツアイ」
- 3月号: 「ルパン三世」(予定)
※しめきり=1月14日(当日消印有効)
2月号の「キャッツアイ」は、すでに投稿をしめきらせていただきました。3月号あての投稿をお待ちしております。投稿はおハガキで。よろしく!!!
あて先
秋田書店
〒102 東京都千代田区飯田橋2の10の8
「マイアニメ・ルパン三世FC講座」係
※ハガキには、住所・氏名・TEL・性別・年齢をお忘れなく。
おくづけ
(編集) やぎざわ梨穂
(協力) 星ヒカル/S・Shige
Animedia [pg. 136-137]
彼女はいちばん純粋な思いこみの代表者だ!
バイストン・ウェルの物語は、地上へ舞台が広がってから、さらに深みを増してきた。その中で、ナの国の女王、シーラ・ラパーナは、この物語のテーマに大きくかかわる要因であろう。シーラを通して、ファンタジックでスリリングな『ダンバイン』の世界を、富野由悠季監督に語ってもらった。
AN: シーラは、バイストン・ウェルを牛耳ろうとするドレイクとビショットに対して、アの国のエレと連合し、ショウ、マーベルを擁して戦う。バイストン・ウェルのためにという以外の考えは、シーラにはない。
Tomino:「シーラにしてもエレにしても、いちばん純粋な思いこみの代表者ですね。僕なんかにしてみれば、理想像にしたいキャラクターです。あれぐらい純粋になれたらいいな、と思いますね」
AN: シーラとショウたちの出会いは、嵐の玉の中であった、ガローランに追われ、赤い嵐の中に閉じこめられたシーラを、トッドとの戦いのためにオラカの増大したショウが助けた。そして、ドレイクとビショットを倒すという同じ目的を持つショウに、シーラは新オーラバトラービルバインを贈った。それ以来、ショウもマーベルも、シーラの考えの純粋さに魅かれていく。
Tomino:「よく3歳までが神童、10歳で天才、大人になったらただの人なんて言うでしょう。アニメの仕事をしてきて、これは決してたとえではなく、真実だと思うようになりました。つまり、人間っていうのは、いいものを持っている。その本来持っているものを拡大していけば、人間って素晴らしいものだと思います。そういうものを忘れないでほしいというのが『ダンバイン』です。ショウやマーベルは、大人になる途中で、シーラやエレと出会って、彼女たちのためなら死んでもいいとまで思うわけ」
AN: ふたりは、シーラの純粋さに触れたのだ。
シーラ、チャムそしてショウたちの役割は?!
Tomino:「シーラは、男を知らない、まだ手を握ったこともないでしょうね(笑)。そういった意味で、彼女にはパワーがある。ジャンヌ・ダルクも、シーラと同じように聖少女だった 無知な田舎の少女だったからこそ、フランスの救世主になれたんですね。いわばシーラは『ダンバイン』の象徴です。ですから、重要な人物ですが、内容は単純という純粋な人ですね」
AN: そのシーラと一緒に戦うショウとマーベルは、現代の我々の世界の代表だと富野由悠季氏は言う。
Tomino:「まあ、チャムなんかも象徴的な感じですね。その中で、ショウやマーベルがいないと『ダンバイン』は、絵空ごとにしかなりません。しかし、いちばんの不幸は、このふたりが語り部ではなく、主人公になってしまったということでしょうね。そのへんをキチンとすれば、もっとすてきに見えたんじゃないかな」
AN: 現代社会からバイストン・ウェルへと引きこまれたショウやマーベル、そのバイストン・ウェルも地上をも牛耳ろうとするドレイクたち、さらに純粋な思いから、それを阻止しようとするシーラ、エレ彼らの物語は、ようやく佳境に入ろうとしている。
Tomino:「ようやくキャラの関係が単純化され、本来の物語に到達した感じですね。そして、この仕事が終わったら、もっとわかりやすくこの先を伝えることを考えてみたいですね」
『ダンバイン』は、今、結末へ!
