Animage #031 (January 1981)

pg. 3-6: Voice Actor Bromide(?)

pg. 7-14 Fresh Camera Eyes – Akira Kamiya

’81 Preview Pack

pg. 21-30: Jarinko Chie

1: 映画化の話題
“ホルス”のスタッフが1年ぶりに作る“長編漫画映画

アニメ・フアンにとってこの映画の最大の話題のひとつは、なんといっても、高畑勲、大塚康生、小田部羊一の3氏がスタッフとして参加しているということだ。宮崎駿氏が参加しないのは、唯一残念だが、この3人が”長編映画”を作るのは「ホルスの大冒険」(45年)以来だから、じつに12年ぶりということになる(短編では宮崎氏も参加した「パンダコパンダ』<47年>『パンダコパンダ・雨ふりサーカス』48年の作品がある)。とはいっても、「4人では、ずっとよくいっしょにやっているんですよね。たとえば、『母をたずねて三千里』(高畑・宮崎・小田部氏が参加)のときだって大塚さんに内緒でやってもらったし・・・(笑)」(小田部氏)というわけで、特別「1年ぶりという感慨はない」そうだ。製作現場は「ルパン三世カリオストロの城」(3年・監督・宮崎駿、作監・大塚康生)でおなじみになったテコム(東京・高円寺)。4階にあるスタッフルームでは、現在(水)絵コンテの作業が着々進行中。「11月いっぱいでコンテを完成させるつもりです」(高畑氏)ラフ・コンテを高畑氏が描き、それを小田部氏のキャラデザインにしたがって清書する大塚氏。3人の息は、いま、ピッタンコとあっているー。ところで、最近しばらくいっしょに仕事をしていなかった3人が、この映画に参加することになったそもそものきっかけというと、ぼくは、もともとテレコムにいたのだし……」(大塚氏)「大塚さんに「ヒマ!?』って聞かれて..」(高畑氏)「ある企画がポシャリ、たまさかテレコムに遊びに行ったら、そこで大塚さんに声をかけられて…・・・」(小田部氏)3人の話を総合すると、影の仕掛人”はどうやら、大塚さんということになる。さて、はるき悦巳原作の「じゃりン子チエ」(「週刊漫画アクション」連載中)は、大阪・通天閣近くの下町で明るく生きるチエとその父親テツら周囲の人々がふりまく猥雑であたたかい人間関係”をたくましく、明るい笑いとペーソスで描いた、子どもから大人まで幅広い読者の支持を受けている人気マンガだ。現在、7巻まで出版された単行本はすでに300万部も売れており、この人気に目をつけた映画、テレビ局十二社が争奪戦を演じ、結局、東宝、キティ・ミュージミュージック、東京ムービー新社の3社がアニメ化権を獲得した。「ま、ウチが一番早く、3月か4月ごろだったけど、原作者に話をもっていったということもあるけど、とにかく、アニメの素材としては最適な作品でした。他社では、うわさによると、テツ役を菅原文太の実写でという話もあったらしいですね」(プロデューサー・片山哲生氏)ところで、その人気は広く、作家にもファンは多い。大岡昇平氏が「文学界」に「じゃりン子チエがスーパーウーマンの卵にて、知識と行動力にて全編を圧すこと魅力あり」と書けば、井上ひさし氏も朝日新聞の文芸時評で「徹底的な大阪弁と登場人物が常用する独白に笑わされ、大人より子どもが大人らしく、猫が人間より人間らしく、猫の目のように移りかわる視点が物語世界に奥行きを与えているこの作品は近来、出色の通俗大衆・滑稽小説のひとつと言い得よう」とたいへんな惚れこみようなのである。また、教師が授業中に参考図書として取り上げ、うわさを聞いた母親が単行本を家庭用に買いそろえているという話もあったり、話題はとどまるところを知らない。来春4月、全国東宝系で公開の予定ー。

2: ストーリー構成
一番迷ったのは金閣寺のシーンだった (Short Interview with Isao Takahata)

大塚、小 田部氏、それ 畑に今回チェに 原画として参 加することに きょう なった小田部氏の奥さん、奥山玲子 さんなど、昔なじみの人はみんな、 高畑さんのことをこう呼ぶ。 どうしてそういうことになったか というとー。 「なんでも東映動画の入社試験のと きの休憩時間、みんなが緊張状態に あるとき、一人、中庭で朝メシのパ ンをパクパク食べていたからだとい われてますね。パンですか? 当時 だから、コッペパンかしら(笑)」(奥 山玲子さん) 高畑氏の人柄の一面を伝える挿話 だが、インタビューしてみての第一 印象は”愛称”のイメージからはほ ど遠い。仕事に対する姿勢は、ど こまでも自分の考えを貫き通す 〝頭 強”な面がうかがわれた。

AM. シナリオ(左の表参 照)と原作を読みくらべてみ て、一番気になったのは、原作の 「同居予行演習の巻」つまり金 閣寺のシーンがけずってある箇所 です。というのも、あのシーンは原 作でいえば一番”感動的な話。 そ こをなぜ、 けずったのですか?

Takahata. じつをいうと、アソコは一番 悩んだんです・・・・・・ぼく自身、感情移 入できるシーンであることはわかっ ていたし······けど、何度も読み返 ているうちに、どうにも辻褄のあわ ないことがでてきた。たとえば、チ エはそれまで大人でテツが子どもの 役割を果たしている。 それが急に逆 転する。テツがいいますよね。「あん なに手のかかるやつとは思わなかっ た」って。それが第1点とするなら 第2点は「母の帰還」です。 テツは あいかわらずテツらしい生き方をし ていることから察すると、チエは結 局、夫婦の仲をとりもったことにな らないわけです。 第3点は、それまでの話のなかで チェはヨシ江に「まだ帰らんほうが イイ」といい、そんなチエの姿を見 ていてヨシ江は「帰らないかん」と 勝手に決意している。つまり、まっ たくなんら条件がなくても、ヨシ江 が家に帰る素地は十分にあったわけ です。

AM. とはいっても、観客の中には そのシーンを見たいがために来る人 もいると想像できませんか!?

Takahata. う~ん、ぼくはけっして原作 を否定するんじゃないんだけど、あ の部分は、作者が読者の想像力に依 存して描いている箇所だと思うんで す。これは、はるきさんにもいいま したけど。だから、ぼくがそこを描 くとしたら、1時間40分というワク の中では、そこだけを描く話になっ てしまう。それと、ぼくが一番いや だったのは、中途半端にそこを入れ て、適当に観客の感情を刺激して円 満な解決をする映画にすること。〝円 満さ”というのは、結局、月並みな ところにおちこみますからね。

AM. チェはどういう子だと思いま すか?

Takahata. 反対に聞きますけど、チエは ”なみの子” になりたいと思ってい ね!?

AM. …

Takahata. ぼくはこの映画の中で、 そこ をあいまいにしてお きたいと考えている んです。 たとえば、3段論 法を成り立たせるな らこんなふうにいえ る。テツというやつ はヒドイやつ。 なぜ なら、テツが生きら れるのは、チエの犠 牲において成り立っ ているから。だった ら、チエを犠牲に てはならない。つまり、テツはいま テツであってはならないしか し、ぼくは、テツみたいなやつがい てもいいんじゃないかと思っている わけですよ。だから、あいまいに描 きたいんです。

AM. 話は変わりますが「ハイジ」 など名作ものと 「チェ」をやるとい うことの違和感はありませんか!>

Takahata. それはない。むしろ、同根の もの、あるいは延長上にあるものと 考えています。登場人物たちが日常 をどう生きているのか、これは「ハ イジ」以来、ぼくが一貫してやって きたことですから。

監修や総監督という肩書もひっく るめて、ここ2・3年、劇場用アニ メに劇映画の監督の名まえが多く目 につく。がこれは、アニメが“映画” として世間にうけ入れられるひとつ の風潮にすぎないのだろう。 高畑氏をインタビューする中で、 こういう作家には、ドンドン”映画” をとってもらいたいと感じた。

3: キャラ設定
48体も描かれたチエちゃんのいろんな顔 (Short Interview with Yôichi Kotabe and Reiko Okuyama)

小田部氏にインタビュー を申し込むと、これから奥 さんといっしょに食事に出 かけるところ、それなら、 ご夫婦ごいっしょにという ことでインタビューははじまった。

AM. “チエちゃん”は以前からご存 じだったんですか?

Kotabe. この人のほうがすきだった んですよ、じつをいうと(笑 いながら、隣の奥山さんを指さす)。

Okuyama. 私が大すきで、単行本を買っ てきて、この人にすすめたんです。

Kotabe. 最初、チラッと見たら、な んだか顔がひとつにしか見えなかっ たんです。 けど、じっくり読んでみ てビックリ、じつにいろいろな表情 がある。

AM. キャラ表のチエちゃんの顔は 後ろ姿もふくめると48もありますね。

Kotabe. それくらいになるかな(笑)。 ともかく、読んでみたら、おもしろ いのひとこと。とくに人間のかかわ りあいが……。

Okuyama. あとで、シナリオを読んでビ ックリしたのは、せりふが強烈だっ たこと。絵がなくても、ひとつの世 界をちゃんと描いているんですよね。 親子関係とか。

Kotabe. とにかく原作にのめり込め るというのは、そんなにあることじ やないし、それだけにタイヘン。 そ れ以上にしなくちゃならないでしょう。

Okuyama. なぜ、アニメにするのかな、 っていうのが最初の印象だったわね。

AM. キャラ設定上のむずかしかっ 点は!?

Kotabe. 等身の問題ですね。3等身 が多いのと、そのまま、人物比較表 を作っちゃうと顔の大きさがバラバ ラになっちゃう。原作のふんい気を 損わないように同じ顔の比率にして みたつもりです。

AM. 作画上の苦労は!?

Kotabe. マンガっていうのは、ヒト コマで表情を作れるんだけど、アニ メは、カットの中の動きの連続性で ひとつの表情にいきつかなくてはい けないでしょう。そのへんかな。 そ れと、原作じゃ、けっこう、おちょ ぼ口でせりふをしゃべっているとこ ろがあるけど、アニメじゃそうはい かない。表情の口とせりふの口の使 いわけですね。

4: 美術
ドロ臭くならな いように “生活 感”をだしたい

左の絵を見ていただきたい。いま までのアニメには、あまり見られな かった色づかいがしてある。いわゆ る渋い”の 氏だが、その理 山本二三 美術監督はこ ういう。

「”生活感” をだしたかったからじゃないですか ね。けど、ぼくの場合、ひとつまち がうとドロ臭くなってしまうので、 それは注意しています。大阪ですか 2. 2回行きました。 入ってみたお 好み焼き屋で、鉄板の横の板があつ さでまがっていたのが印象的でした ね。こういうふうに年季が入ってる のかと。ともかく、美術というのは “よくてあたり前”、悪 いと目立ちますからね。 ノーマルに見えるよう描 いています」

5: 記者会見前夜
こうしてはじまっていた”チエちゃん”奮戦記

仙石氏の製作メモ の長さだ。むろん、 実写とアニ メの最大のち がいは、ケー スにもよるが 一般的にいっ て、製作期間 アニメのほうが ずっと長い。だから、同じ「製作発 表記者会見」といっても実写の場合 とアニメではずいぶんちがう。 アニ メの場合は、ようするにそのずっと 以前から作品作りが進行しているケ ースが多いのだ。 チェ”の場合は、いったい、いつ ごろからはじまって、何がなされて いたのかチエちゃん。 以上のスタ ッフの奮戦ぶりを製作担当の仙 石鎮彦氏の“記憶”を頼りに(仙石 氏、頭をかきかき詳細に書いた手帳を落 としたことを告白)再現してみると、 以下のようになるー。

★6月下旬。片山さんに呼ばれ「チ エ」の決定を知らされると同時 に、現場の責任者である製作担当の 職務を命令される。 「ルパン」をやっ ているし、それに「チエ」も毎週読 んでいてすきな作品だったので、 内 心、喜び勇む。なお、この時点で、 監督・作監・テ コムは決定済み。 ★7月中旬。 某大物ライターの起用 決定。即、発注。 ★8月第1週に第1稿の脚本完成。 「内容はおもしろいもの」(仙石氏)だ ったが、原作のイメージがそこなわ れるという理由でボツ。 ★8月中旬に今泉俊昭氏が城山昇氏 にシナリオを発注。 ★8月下旬に高畑・多賀・片山・仙 石氏で第1回目の内容検討会。 以上の経緯をへるなかで、9月1 日の作画インの予定は1か月ズレる ことになる。 ★9月3日。主要スタッフ、高畑監 督、大塚、小田部の両作監、城山昇 氏、三家本泰美助監督、それに東京 ムービーの今泉、仙石氏が東京・神 楽坂の料亭にて2泊3日の検討会。 シナリオをもとに、1時間40分にお さまるようにストップウォッチで 時間をはかりつつ、読みあわせをし たりする。こういうときに一番活躍 するのは、なんでも、大塚氏とか。 ★9月24日。第1回目のキャスティ ング会議。場所はテレコムの2階。 出席者は、キティの伊知地氏、 東北 新社・加藤敏氏、それに高畑・大塚・ 小田部・片山・仙石の各氏。各3名 くらいずつ候補が決定。 チェ役に中 山千夏さんをおしたのは加藤敏氏だ った。 ★その夕刻から、主要スタッフ全員 で、埼玉県飯能市にある旅館、大松 閣へ。出席者は、監督、作監2人、 助監督、それに美術の山本二三氏。 期間は5日間。〝山ごもり”の目的 は、10月1日に予定された作画イン にそなえ、作画の打ちあわせができ るまでの下準備。製作デスクの竹内 孝次氏が1日おきにさし入れ。「コン 用紙とかエンピツとかスタンドと か、ま、連絡係ですね」(竹内氏)とい うしだい。 なにしろ、5日間「ビールはたっ 2本しか飲まなかった」(三家 本氏)というから、その仕事 のハードぶりがしのばれると いうもの。 ★10月1日。テレコムの隣に あるうどん屋”切麦亭”にて 「チエちゃん」打ち入りパーティが 盛大にひらかれた。出席者は、 多彩をきわめて3名。とにかく関係 者全員、キティ、東北新社、高橋プ 口(撮影) 東洋現像所、それに社長の 藤岡豊氏も参加して大さわぎ。そし て、なぜか、この作品には直接関係 のなかった宮崎氏も一番最初から参 加。途中「狼少年ケン」を歌って、 最後の挨拶もなぜか、宮崎氏。 結局、 2次会、3次会と朝4時まで つづき、残ったのが4人の侍大 塚・小田部・仙石、それに再びなぜ か、宮崎の各氏だった。 ★10月4日。関係ないけど「ルパン 三世」 終了完成パーティが、京王プ ラザにて ★10月8日。東京ムービー新社本社 にて、最終キャスティングの打ち合 わせ。 ほぼ、記者会見発表の人が決 定した。 同日、作画打ち合わせの第1回目 がひらかれる。 ★10月13日。背景の椋尾篁氏と打ち 合わせ。 ★10月18日。「チエ」のスタッフの友 永和秀氏、多忙の合いまをぬって、 きんこ 東京・阿佐ヶ谷の「襟懇館」にて結 婚披露宴。 ★10月29日。テレコム、野球の試合。 まだ少しは余裕がありそう。 ★10月30、31日。大阪のドヤ街を取 材。参加者は山本三家本早乙女 の各氏。 ★11月13日。18時からいよいよ記者 会見。

6: 記者会見
千夏センセイが”チェ役に決定!!

アニメ界というより30年春の映画 界の話題を独占しようと 「じゃリン 「子チエ」の製作発表記者会見が、さ る11月13日午後6時から、東京・新 橋の第一ホテルで、大勢の報道関係 者を集めて行われた。

会場には参議院議員当選後、初の声優”の仕事として注目されるチエ役の中山千夏センセイをはじめ、主な声優キャストが勢ぞろい。多忙なスケジュールをさいて、鳳啓助、京唄子、上方よしお、西川のりおのみなさんが大阪から駆けつけた。各たいへんな芸達者だけあって、これまでの記者会見にない“笑い”につつまれた製作発表となった。まず製作を代表して、片山哲生氏があいさつ。「いままで”たかがアニメーション”といういわれ方をされるたびに挫折感”を味わってきました。そのアニメの限界と可能性に挑戦したい。これが「チエ」のアニメ化の第一の理由です。これによって、従来のアニメ=マンガ=子ども、という図式を打ち破っていきたい」そして、某雑誌の「もし、無人島に本を3冊もっていくなら……」のアンケートに対し、山口百恵チャンが「1冊は絶対”チエちゃん”」と答えたエピソードなども紹介。さらに、「現在、アニメ界で考えられる最高のスタッフと、最高のキャストを得ることができました。十分、笑っていただけるもの、たのしんでいただけるものを作ることはもちろん、見終わったあとに”ほのぼの”とした後味が残るものにしたい」この作品に賭ける熱意を語った。つづいて、監督の高畑勲氏。いつものヒゲづらとはちがって、きょうは背広でビシッときめている。「『チェ』の世界を十分にアニメのうえでも表現できると確信しています。まだとりかかったばかりですが、おもしろい作品を作ります」このあと、ひきつづいて、それぞ主人公のプラカードを前にしてすわった声優の挨拶へと移った。最初は、この作品の主人公、ホットな少女チエを演じる中山千夏サン。「不勉強なもので「チエ」のことはよく知りませんでした。今度のお話を聞いてからはじめて本を読んだのですが、チエにはたいへん共感し、また、親近感もおぼえました。読んでいて、思わず「ひょっとしたら、これは私ではないか!」(会場爆笑)と思う場面もしばしば。これはぜひやらしてもらいたい、とタレントとしての使命感に燃えています。また私自身、チエの発言と行動にあこがれるところがあったし、短い期間でもチエ自身になれることはシアワセです」さて、今回のキャスティングで、チエ以上に注目されたのはテツ。フアンには、テツの父親”らしくない生き方がたまらない魅力なのだ。このテツを演じる西川のりおさん。「話をひきうけたときは、まだコトの重大さに気づきませんでした。なにしろ、いつも楽屋で「おもろいネコがでてくるマンガがあるでぇ」なんて、みんなに騒いでまして、ほいで『映画になるなら、ワシ、やりたいな』いうてましてん。それが・・・。ま、こんな盛大な記者会見は生まれてはじめて。いまだにだまされとる気持ちです。(と、ここで一呼吸、声が一段大きくなって)ひょっとして、これ”ドッキリ・カメラ”とちゃう(会場大爆笑)大阪帰って、こんな話したら、ホンマ、近所のおばはんびっくりして口からアワ吹かしよる「わな」と、早くもテツのメチャメチャぶりをご披露。「大阪はぼくの生まれ育った町、子どものころ、お好み焼き屋でソースのしみのついたマンガ本を読んでた体験もあり『チェ』には、たいへん親しみを感じます。とにかく下品な”役は絶対、だいじょうぶ。演技力の不足は下品さでカバーしてみせます(会場爆笑)」と、結んだ。つづいて、のりおさんの相棒、上方よしおさんは、これまた、テツのおさななじみのミツル役。「チエちゃんとテツのキャラクターが強烈で、ミツルの印象は薄かったんですが、あらためて読んでみて、気の弱い男だということがわかりました。ボクもタレ目やから何となくいけるやろう(笑)思ってます」お酒のCFで最近評判の三林京子さんは、ヨシ江役。「女を対象としたテレビや映画が多すぎるなかで男の世界”を描いてくれる劇画が大すきでした。なかでも『チェ』は、私が育った大阪の下町が舞台ということもあって、大すきな作品。話があったときは『うわあ、チエかな』と期待したんですが…(笑)。どうして〝年上”の千夏さんがチェで、私がおかあさんなのかよくわかりませんが(笑)。せいいっぱいやらせていただきます」最後は、おじいとおばあを演ずる鳳啓助、京唄子のご両人。まず、鳳京助さんが、「おばんやテツにいびられてかわいそうなおじんは、おとなしい性格で私のふだんの生活といっしょ。ぼくとちゃうのは”浮気”せんとこかな(会場爆笑)。ともかく、チエのやさしいおじんに徹します」おばん役の京唄子さんは、「どの役をいただけるのかな思ってまして、役名を見たら「おばん』・・・(会場爆笑)。私よりはるかに年上の役で······一時は考えました(笑)。これやったら、この先どうなるんやろ(笑)。ま、私の声が声でして、このとおりガラッパチですから、私なりのおばんをやらせていただきます」と、挨拶した。声優の挨拶がひととおり終わり、記者団の質問へと移ったが、ここでは、中山千夏さんに質問が集中。んですか?すね」チエのどんなところに共感した「チエちゃんって、いいたいことをいっているようで、実際は、いろいろ気をつかってる部分があるでしょう。そのへんに一番共感というか、自分に似てるな、と思って。それにテツとの親子の関係もおもしろいでこの話があってから原作を読んだということですが、マンガはあまり読まないんですか?「大すきなんですが、“政治”をやっていると、世の中のことに遅れますねえ(会場爆笑)」本業はタレントと考えてますか?「政治はシロウトが参加すべきだと考えていますので、議員が本業だとは思っていません。タレントを廃業したわけではないし、本当にやりたい仕事は、タレントと本を書ことです。とくに今度の仕事は自分の気に入った役の声をやれて、たいへんうれしい。アニメのチエちゃんの体を貸してもらうつもりです」つづいて、三林京子さんに質問。「チエ」はずっと、読んでいたんですか?「毎回、かかさずというほどではありませんが、ポツポツとは読んでいました。私も通天閣のそばで育ったので『チェ』のふんい気は、すごくなつかしいですね」ここで記者団の1人から「まだ、役作りの段階まではいっていないでしょうが、ひとことずつせりふをいってください」と、かなりむずかしい注文。しかし、これに対し、すかさず、千夏「チエちゃんって、こんな声やろか」よしお「コラ、お父ちゃんと呼びい三林「これ、チエ、テツゆうたらあきまへんよ」と本番なみのセリフが飛びだし、記者団に大うけ。司会者も思わず「みごとな予告編でしたね」といいだす一幕も。早くも、各人やる気十分。終始“笑い”に満ち記者会見だったー。ところで、声の出演者はほとんど決定。残念ながら、記者会見には列席できなかった人たちを紹介しておくと。というにぎやかな顔ぶれ。者会見後のパーティで監督の高畑氏に質問してみた。高畑さんがとくにおしたという声優さんはいたんですか?「とくにということはないけど、西川のりおさんはテツにいいんじゃないかと思いましたね。ええ、テレビを見てまして(笑)」―しかし、みなさん、個性的な方ばかりだから、そのへんのむずかしさもありそうですね。「文章にも文体の統一ということがあるでしょう。どうやって〝統一”するか、いろいろみなさんとも相談して、これから考えてみるつもりです」なれない背広とネクタイ姿で高畑氏は汗ダクダクだったが、すでに”音”の部分も計算ずみ。ともあれ、いったいどんな作品になるのか?81年春、一番の期待作である。

pg. 32-36: Cyborg 009 – Legend of the Super Galaxy

The final issue before the movie’s release, and the final time it would be covered. This one goes over some of the promotional events and some story info, which won’t be mentioned here (watch the movie!).

Recording completed!
(Summary: Voice recordings were finished October 30th/31st in Shinjuku)

「サイボーグ」のアテレコは10月28日のラッシュ試写のあと、30・31日の両日にわたって新宿・タックスタジオにて無事収録が完了した。スケジュール調整がうまくいったのと「009」になれているスタッフとキャスティングということもあって順調に録音は進行した。関係者にもよゆうが感じられ、スタジオはくつろいだふんい気に満ちていた。なかでもプロデューサーの飯島敬氏は、スタジオの外で流れてきた音楽にあわせ、メインテーマを大声で歌いだし〝吹き込みにも参加したのですっかりおぼえたよ”と一言。熱気とゆとりの一幕だった。

009 Tie In:

(Summary: 100 lucky winners received a Yamazki Baking butter-cream cake to commemorate the premiere of the movie!)

■山崎製パンからのクリスマスプレゼント■「009」公開を記念して山崎パン自慢の特製バタークリームデコレーションケーキを100名にプレゼント。12月22日に ケーキ工場から直接自宅に届けられる。申し込みは〒10東京都港区新橋4の10の1徳間書店AM編集部 山崎パンプレゼント係。締切は12月15日。■シャープの音響製品に、記念品プレゼントがつく■シャープでは、全国にあるチェーン店(シャープFSショップ)にて、3万円以上のオーディオ製品購入者に超銀河伝説〟 特製ポスターとバンダナ1枚をプレゼントしてくれる。期間は1月15日までなので、ラジカセなどの購入予定者は、店をのぞいては!!!

Blood Donation Event Successful!

(Summary: The blood donation campaign was a success, including appearances in Osaka by Ishinomori, Kazuko Sugiyama, and Kazuhiko Inoue.)

ひいきの声優に対し熱っぽいラブコールがとび出していた。11月9日、大阪万博お祭り広場において5000人の大集会が催された。当日は朝早くから並ぶフアンも現われ、サイボーグ熱は高まるばかり。午後2時から石森氏をはじめ飯島プロデューサー、声優の井上和彦、杉山佳寿子らレギュラー陣が登場。各自の紹介やこぼれ話に、参加者から笑いやら、なかでも人気のあったのが井上和彦のギターソロ。歌い出すや無数のテープが彼めがけて空をとぶ。その後、杉山と組んでの初恋談義、石森氏がガロの声を受けもってのアテレコショー。石森氏は「まもなく、おまえたちのこの地球は…」とやりはじめたが「素人にこんな長いセリフをしゃべらせるなんて…」と、とちゅうで弱音をはく一幕もあり、爆笑。会場は陽のおちた6時まで新作予告編の上映や町田義人の主題歌発表などでにぎわっていた。一方、献血キャンペーンも「2回目です」と語る井上薫さん「記念のバッジがほしくて」という北沢弘江さんをはじめとして3名が協力に応じてくれて成功であった。

Campaigning in Snow!

(Summary: A promo event on 24 November in Shinjuku was topped off with snowfall!)

東京の副都心・新宿に初雪が降る! 頭上で舞う白い花に、人々はおどろき、喜びの歌をあげたり、おもわず足をとめてあおぎ見る人もいた。11月24日午後3時すぎに新宿ステーションスクエア一帯を襲ったこのハプニングは、もちろん東映のキャンペーン「ひと月早いクリスマス・イブ」のために用意し人工雪。聖歌隊の歌う“ホワイトクリスマス”にあわだが、おりから重くたれこめた空模様に効果は倍増。一般の通行人までも巻き込むという予想以上の反応に関係者は喜色満面のおももち。催し物も、サイパンへの旅をふくめたプレゼントが当たるとあって、5名の徹夜組をふくめて3000名のファンが集まった。駆けつけた石森氏をはじめ山田俊司、杉山佳寿子、肝付兼太らのあいさつ、アテレコ終えての作品感などのおしゃべ2000超銀河ク!りにファンは一一声。 温かいかけ声や拍手が上がりイブのタベは、夜のとばりがおりるにしたがい盛り上がりをみせ、明る輝いていた。

25th Anniversary of Cyborg 009

(Summary: On 31 October a huge party is held to celebrate Ishinomori’s accomplishments as a mangaka. A who’s-who of people are there, including seiyuu and other mangaka, such as Osamu Tezuka, Leiji Matsumoto, Go Nagai, and Fujiko Fujio. Matsumoto and Ishinomori share the same birthday, and Tezuka says that Galaxy Express 999 and Cyborg 009 will be hits this year and the next year.)

「超銀河伝説」のアテレコがおこなわれた10月31日、石森氏の漫画家生活15周年を祝う会が東京・新宿センチュリー・ハイアットホテルで開かれた。当日は、アテレコを終えた大平透、曽我部和行、白石冬美、井上和彦らをはじめ、会の発 起人である手塚治虫、小池一夫、ちばてつや、藤子不二雄氏たちをはじめと松本零士 永井豪、矢口高雄氏ら漫画、映画関係の親しい仲間約90名がかけつけた。 ひさしぶりに勢ぞろいしたトキワ荘時代の仲間にかこまれて思い出話に花が咲く。ひと口に25年というが、この間に石森氏は「サイボーグ009」をはじめ30 にのぼる作品を手がけ、その原稿枚数は7万枚におよんだ。あいさつに立った手塚氏は「石森さんの絵は『ジュン』にみられるように、ことばにたよらず絵が語る一種の絵巻物的な色あいをもち、スケールもたいへん「大きい」と強調。生まれた場所は東と西違いはあるが、ともに昭和13年1月25日と誕生日が同じ松本氏も壇上からお祝いをのべた。いまや日本中のアニメファンを熱狂させている2人が並ぶ姿は、ことしから来年へかけての2大作「サイボーグ」そして「999」 のヒットを暗示しているかのようであった。

Simultaneous Screening with “The Best Ten”
(Summary: This movie was aired in conjunction with THE BEST TEN, a near hour-long film that was restored by Kineko Video early in 2022, and can be viewed here. A must-watch for a fan of late 70’s-early 80’s anime.)

ラジオや雑誌で呼びかけ、ファンの人気投票による80年度の人気アニメを見せようという「80アニメーション・ベストテン」の制作も進められている。 司会案内役はテレビの久米宏、黒柳徹子のむこうをはり、バリッときめたタモリと児島みゆきのご両人。撮影は台本なしのアドリブだが、タモリの軽妙な語り口で息の合う2人のためフィルムは順調にまわった。本編の撮影も11月11日の東映本社前にて石森氏と杉山佳寿子、サイボーグガールをまじえてのロケを皮切りに開始された。当日は午後3時半からの撮影と少肌寒い天候ではあったが、お客の呼び込みや杉山インタビュアーに応えたりの石森氏の過剰すぎるサービスで順調に終えた。もっとも、本番寒さよけの上着をコスチュームの上にはおったままサイボーグガールを撮影するというミスに、しばらくだれも気がつかず、あわてて撮り直すというハプニングもあった。翌日、撮影スタッフは大泉の松本氏の仕事場へ出かけて無事撮影を終了した。さて「ベストテン」にはどの作品が決まるのだろうか。予想としては「銀河鉄道999」「宇宙海賊キャプテンハーロック」「機動戦士ガンダム「サイボーグ009」」「地球へ…」 「ドラえもん」など15本近くある。

pg. 41-48: Rescuers, Pinocchio, Call of the Wild: Howl, Buck, Run Melos, Belle & Sebastian, The Door Into Summer, White Fang Story

pg. 50-51: Ojamanga Yamada-kun

pg. 53-56: Space Battleship Yamato III

pg. 57-59: Tomorrow’s Joe 2

pg. 60-77: TV Anime World (spotlight: Tomoko Kawasaki)

Covered:

  • The Swiss Family Robinson: Flone of the Mysterious Island
  • Belle and Sebastian
  • Robot King Daioja]
  • Beast King GoLion]
  • Tsurikichi Sanpei
  • Tomorrow’s Joe 2
  • Ikkyū-san
  • Kaibutsu-kun
  • The Wonderful Adventures of Nils
  • Astro Boy
  • Ganbare Genki
  • Space Emperor God Sigma
  • Galaxy Express 999
  • Hoero! Bun Bun
  • Space Runaway Ideon
  • Tetsujin 28-gou
  • Lalabel, the Magical Girl
  • Invincible Robo Trider G7
  • Manga Hajimete Monogatari
  • Otasukeman
  • Space Battleship Yamato III
  • Manga Nippon Mukashibanashi
  • Manga Kotowaja Jiten
  • Space Warrior Baldios
  • Sue Cat
  • Gordian Warrior
  • Muteking, The Dashing Warrior
  • Ojamanga Yamada-kun
  • The Adventures of Tom Sawyer
  • Hokahoka Kazoku
  • Kirin Ashita no Calendar
  • Doraemon

pg. 81-96: Encore Animation – Castle of Cagliostro

pg. 96: Accompanying Record of Yoshikazu Yasuhiko’s Signing Event

pg. 97-119: The World of Nippon Sunrise

pg. 123-142: My Animage

pg. 145-147: Ideon Liner Notes

pg. 148-149: Illustration and Poem

pg. 150-153: Parody: Poem of an Anime Fanatic

pg. 152-153: Passing of Tadao Nagahama

pg. 154-157: Anime College

pg. 158-161: Voice Actor 24 Hours

pg. 165-169: Voice Topics

pg. 172: Anime Quiz

pg. 177-180: Fan Plaza

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