1982
November
My Anime [pg. 68-69]

動乱の世の人間模様
今まさに「銀河烈風」は血みどろの戦場のさなか。その戦いの中で彼らの人間ドラマは、あわただしく展開されてゆきます。「ゴーショ・スタジアムの変」までで、「銀河烈風」はエルン・バイストや太陽隊、ゲルバ・ゾルバなどの不穏な“内部の敵”をおさめ、その足場固めはなされたようです。しかし、シュテッケンによる「罰則はすべて死をもって責任をとる」という鉄の掟が、隊内で少なからず波紋を呼びおこすことになります。すでに亡き人となったビリーの隊のアントン・パラス(第8話)、今後も5番隊長テディ・ベインや局長補佐のジューロ、南が自分の考え方と掟の間で苦しむことになってゆきます。
アントンを討ったビリーが、バイクを走らせつつつぶやいた「さむい……」というあの言葉、あれは何に対して発せられたものだとあなたはお考えになりますか?シュテッケンの荒さとともに、ビリーの見せる細やかな心遣いや思いやりがキャラクター描写にメリハリを作り、心地よい静と動をかもし出しているのも見どころのひとつ。無用な殺し合いはせぬよう、血気さかんな隊を制することができるのも、彼のリーダーとしての自覚とともに、おだやかな人格をうかがわせます。
しかし、彼に確実に忍び寄りつつある病魔の手……!! 沖田総司の運命をになう彼であれば……とも思うのですが、本当にこうなってくると何とも言葉が見つかりません。そんなビリーにも心の安息日があるわけでして、皮肉にも彼の病気がとりもつ縁。オフス星で知りあうリリィとの、ちょっとしたロマンスも用意されています。
ビリー以外では、佐馬の介やシュテッケンにも戦いの中でのめぐり逢いが……あるんです。ご期待ください。さて、それ以外にも気になるところといえばライラの出生などもありますね。彼女の養父の父、ノエル・ノーチェは死んでしまいましたが、彼女の出生はこの先どうからんでくるのでしょうか?物語のクライマックスへ向けての大どんでん返しを、思わず期待してしまいます。
外宇宙艦隊というのは本当に異星人なのでしょうか?「バーナード星方向」などというと、前作『ブライガー』をご覧になっていた方々には記憶があるはず。『ブライガー』の時代にバーナード星方面の植民星へ旅立っていった人々の子孫なのでは?というのは考えすぎなのでしょうか?
さて今後は、ケイ・マローンやジル・クロードのほかにも「銀河烈風」と敵対し、ことごとくからんでくるキャラがぞくぞく登場してきます。いずれも実在した歴史上の人物がモデルですので、気をつけて見ててくださいね!彼らの行動が様々に評価されることにもなってきます。世間は怖いものなのです。
シュテッケンは言いました。「俺たちの敵は、新惑星系の連中でも外宇宙艦隊でもねえ……時代だ……。目には見えねえとてつもねえ化け物だ……」。そう、“烈”の精神を生き抜くという彼らには、時代そのものと正面からぶつかり、その手ごたえを自分自身で確かめることにこそ、意味があるのかもしれません。
とにかく、『銀河烈風バクシンガー』、一大バクーフ末絵巻……といってしまっていいのだろうか?これからもぜひともごひいきに、くれぐれもお見逃しなく……イェーッ!
Monthly Comments and Q&As
The Anime:
- July ’82: 今月の「アニメ人間インタビュー」でもいいましたように、前シリーズの「ブライガー」の場合は、それぞれがまったくのフリーランスであったのが今度のJ9IIの場合は、組織に属した上でのフリーランスみたいな部分を描いてみたいと考えています。組織のイメージは、幕末の新選組(これは原案、構成の山本優さんのイメージだが)を骨子とし、キャラクターも新選組の隊員のイメージと合わせたものにしました。やはり「ブライガー」のキャラクターにも感じられた剣士”のイメージを今回も持たせたかったということです。その点では小松原一男さんがピッタリのキャラクターを描いてくださいました。悪に立ち向っていこうとする若者の、まさに”烈風”を生き生きと描ければと思います。 (Takao Yotsuji)
