My Anime #04 (July 1981)

Published 10 June 1981

Cover: Tomorrow’s Joe 2 (by Akio Sugino)

pg. 3-16: Mobile Suit Gundam II – Soldiers of Sorrow

死にゆく戦士たちの現世 界認知の物語-哀・戦士

今回の作品は、中継ぎのストー リーです。将来、人間は革新し得 るのか? ニュータイプといわれ る人たちは、所詮は超能力者であ ると同時に、戦争をしていくうえ での兵器にすぎないのではないの か? こういう考え方に対して、 もし、アンチテーゼみたいなもの が、見つけられればいいな、と思 っているわけで、これが「ガンダ ム」の大テーマです。 第2部は、それに至るまでの途 中の部分にあたるわけです。作劇 的に、たいへん難しいのと、スト ーリーの現実描写をしていく作業 上、個々のキャラクターの点描を 羅列するしかないというのが実情 ですが、トータルイメージで、ど のようにまとめていくか。それは、 死んでいく人た それから僥倖 によって生き残ってきた人たちを 含めて、共に戦っ いくというう えで、互いに悲しい戦士ではない のか、という気分が出ればいいと 思っています。 死にゆく人たち、生き残ってい く人たちが、「ガンダム」の次の物 語に向かってどういう位置づけに あるか、ということを表していく のです。 第1部が導入部。 この第2部は 起承転結の承〟の部分。 そして、 我々は第3部の〈光る宇宙> の製 作を大前提にして、この第2部の 製作に投入しているわけです。こ れで完結編がなければ、映画版「ガ ンダム」は奇形で終わるからです。 たしかに、TV版とまったく同じ ものであるにもかかわらず、より 大きなメッセージを、より具体的 ないい形で力強くアピールできれ ば幸せだというのが、私を含めて 日本サンライズのガンダム班のス タッフの思いです。 口惜しさと哀しさの中で死んで いかざるをえなかった幾千の戦士 たちの怨念や希望や夢をのみこん で、その現実を突破し得る力を持 たせたい、持つような男に、戦士 になって欲しい、というスタッフ の願望をかけたアムロ。「ガンダム」 の世界の哀戦士たちのさまを確実 に受けとって、次の世界への洞察 に満ちた人間に成長して欲しいと 思います。哀戦士編は、死にゆく 戦士たちの、次への飛翔を期した 現世界認知の物語です。

イメージソング決定!!
井上大輔が手がける

5月16日、キングレコードでメ インイメージソング 「哀戦士」が 吹きこまれました。 作詞の井荻麟 は、実は富野喜幸さん。 作曲、歌 は、元ブルー・コメッツの井上大輔 さんで、ロック調に仕上がってい ます。 後日、井上さんとの会見ではー 「富野さんが非常に真自面に、ア ニメに取り組んでいる姿勢を、音 楽のうえでも、きちっと出してい かなければいけないと思いました。 セオリーどおり、たとえば「ガンダ ム」のようなものだと軍歌調とか、 悲しい場面だとフォーク調だとか そんなもんじゃないと思っていた んです。これは批判ではないです けど、もっと違う作り方があるん ではないかと考えて、アダルト・ロ ックンロールというか、それを一 つの音楽家としての主張として、 ぶつけて見たんです。これは絶対 に合うはずだ、という信念があり ました」と語っていました。

予告編のアフレコ終了

5月17日、オーディオ・プラン ニングUの新スタジオで、予告編 のアフレコが終了。 アムロ役の古谷徹さんが一番乗 り。25分間ほどで終わった本番の 後も、富野さんをつかまえてあれ これ質問している勤勉な古谷さん でした。 富野さんは、本編のアフレコを 控えて、「ときたま見うけられるよ うに、映画版だからといってTV 版以上にはりきりすぎると、芝居 を作り物にしちゃうことがあるの で、なるべく自然に仕上げたい」 と話していました。

pg. 23-30: Stargraph – Keiko Han

晩春から初夏にかけて、夜空には一等星ア ルクツールが、美しい光を放つ。 太古の人々は、星空を仰ぎ見て流浪の旅の 方位を計った。そして今も昔も、人々は星占 いで、自分の人生を確かめようとする。 雨あがりの夕刻、にぎわう新宿の街の上に 一番星が輝き始めるころ、とある喫茶店で、 潘恵子さんに出逢った。 星占いの大家でもある恵子さんは、神秘的 で、美しく愛らしい女性であった。 小柄ながらも体の線はバツグンで、細身の ジーンズジャケットとパンタロンがよく似合 っていた。全体的に漂う東洋的ムードは、中 国人である父親の血を受け継いでいるからな のだろう。ミー ーハー的観点から察すると、今 まで男性に相当モテた人だろうと思う。話し がうちとけていくうちに、まさに幼稚園時代 から、松田聖子チャンも真っ青なほど、男の 子たちの超アイドル的存在だったことが判明 していった。しかし、だからといって人気者 の彼女が社交家だったと思うのは大間違いで、 病弱なうえに内向的だった彼女は独り、部屋 に閉じこもり、絵を描いたり、歌をうたった りする、いわばどこか翳りのある少女だった。 「本当に今思うと、私の少女時代も青春時代も とっても暗かったワ。人前にでるのはイヤ、 話すのもダメ、なぜか心が抑圧されてて、や り直せるものなら、もう一度あの暗かった時 代をやり直したい」。彼女は、三人姉妹の末 っ子。彼女のご両親は、年齢の差を区別せず に彼女を育てた。しかし、当然のことに一番 幼い彼女は、いつも二人の姉に取り残される のを感じないわけにいかない。末っ子であっ ても上の姉たちと同じ教育を強いられた彼女 の胸中には、ジレンマと敗北感がウズまいて いたに違いない。 しかし、蛹が蝶に変身するように、人間に も転機というものがある。暗く寂しい彼女も やがて、ある出来事をきっかけにして変身し ていった。彼女の醸しだす孤独でエキゾチッ クなムードに、あるプロデューサーが白羽の 矢を立て、舞台で三重苦を持つヘレン・ケラ ーを演じることになったのだ。最初はためら っていた彼女も、ある友人に勇気づけられ、 彼女は見事にヘレン・ケラーを演じた。 サリバン先生によって、やがて心を開き、 言葉をしゃべるまでに成長したヘレンのよう に、彼女自身も思いきってヘレンを演じるこ とで、新しい指針を発見し、積極的に歩みだ してゆくようになった。それは彼女が高校3 年生の時のことであった。 眠っていた才能が目覚めた・・・・・・とでもいお うか、高校を卒業して日本大学の演劇科へ進 学した彼女だったが、自分の夢に忠実な彼女 は、学校という枠の中での演劇にものたりな さを感じ、演劇科を退く。そして、今度は、舞 台美術にも興味を抱き、描きためた絵を抱え て、水森亜土さんの在籍する”未来劇場〟の門 をたたいた。が、あいにく亜土さんは不在。 そのあとで、絵を見てもらうよりも、なぜか 芝居のオーディションを受ける羽目になり、 そして見事合格。即、役者として舞台に立つ 毎日となった。 男であれ女であれ、なにかに飢えている人 は、一か所に長くとどまっていられない。次 から次へと夢を求めてやまない。だから、ど うしても波乱万丈な人生を送ってしまう。 「もう役者をやめよう、やめて結婚しよう、と 考えた時もあったし、役者になることを勧め てくれた友人に相談しにカナダまででかけた こともあったワ。で、死のうとまで思いつめ た時もあったの。その一番苦しかった時、『サ ザエさん』でワカメちゃんの声の野村道子さん に、やめちゃもったいないっていわれて、ヨ シ、あと3年間やってみようと決心したの」。 その日から、ちょうど今年が3年目。充実 した仕事のスケジュールでビッシリ。精神的 充実度もバッチリ。 2年前から始めたという 一人暮らしの部屋で、「目覚まし時計を気にせ ず、ゆっくり眠ることが唯一のたのしみ」と、 童女のように笑った彼女。「私が一番誇れると ころ? そうね、愛すること。愛する心はだ れにも負けないワ、きっと・・・・・・」。 声優として、そして星占い人として、仕事 を始めて4年。また、歌手としての仕事もい よいよ本格的になってきた現在…。 ついに、6月21日に彼女のLPがでます! 「スタジオでストリングスをとった時、その美 しい音色に感動して思わず涙がでちゃって、 みなさんに、あっ泣いてるってヒヤかされた の。でも音楽ってホントに素晴らしいですね ~!」。’60年代ポップス風の期待度300%の LPなのだ。あっ、それからコンサートなん かもある予定。”マジカル・ローラー・ディス コ〟なるステージで、ローラー・ブーツをはい て滑りながらうたう、キュートな恵子さんが 見れる。私ことニャンコママも、絶対にでか けるつもりなのだ。 彼女には、芝居を始めたころから、フェデ リコ・フェリーニ監督の「道」(イタリア映画) を、いつか舞台化したいという夢があった。 「ジェルソミーナという、ちょっと間が抜けて いるけど、いるだけで微笑んでしまいそうな ほど、温かくてもの悲しい娘。ふつうの女の 子なのに、最終的には、ある男の人の心にグ サッと残ったという、ジェルソミーナ役を舞 台でぜひ演じたいの…………」。 星のきらめきにも似た彼女の瞳は、その夢 を語る時、よりいっそう輝いていた。 順風に帆をあげて、大海原を行く船のよう に、彼女はマイペースを守りながら、自分の 夢の国まで、航海して行くに違いない。 夜のとばりがおりて、あたり一面がすっか り暗くなったころ、私たちはあいさつをかわ して右と左に別れた。 ふり向く私の瞳に、彼 女の華奢な後ろ姿が映った。彼女はおそらく、 たとえどんなに年老いても、あのフローネの ような笑顔を失くさない人だろう。 恵子さん、あなたは永遠のミルキー・レデ ィーなのですか…!?

pg. 31-35: Adieu Galaxy Express 999

pg. 36-40: Tomorrow’s Joe 2

矢吹丈 青春の終章

前作「あしたのジョー」の壮絶な力石の死から1 年半、ジョーが再びスクリーンにカムバックする。 宿敵力石徹の死は、ジョーにグラブを握れないほ どのショックを与えた。自らの手でライバルを葬っ た誇り高き野性児 矢吹丈は、失意と苦悩のドン底 でのたうちまわる。激闘のなかで力石は、矢吹にと ってすでに宿敵以上のものであった。グラブを握れ ば、 力石の最後の姿が浮かびあがってくる。まるで 力石の亡霊から逃れようとするように、ジョーはス トリートファイターにまでなり下がり、あてどない 放浪を続けるのだった。 だが、リングの魔力はいま 一度ジョーを闘争の日々にか りたてた。南米のベネズエラ から無冠の帝王カーロス・リ ベラがやってきたのだ。リベ ラとの息づまる闘いをかわき りに、金竜飛、ハリマオと果 てしないファイトが続く。い ままで味わったことのない減 量の苦しみ、傷だらけのジョ ーは闘うことをやめない。や がて、伝説となった有名なラ ストファイトの瞬間がやって くる。カーロス・リベラをワ ンパンチで廃人にしてしまっ 世界バンタム級チャンピオ ン、ホセ・メンドーサとの15 ラウンドだ。ジョーは初めて 恐怖を覚えた。死闘は予想以 上の凄惨さを極め、最終ラウ ンドを終えコーナーに戻った ジョーの姿にレフェリーのコ ールが響くーつづける。真っ白に燃えつき けたのか? だが、すべてを 燃やしつくしたジョーは坐り て……。 製作総指揮/梶原一 騎製作/川野泰彦。プロデ ューサー/島田十九八。 音楽 /荒木一郎。主題歌/ 荒木一郎。 主題歌/ジョー 勝ったのか負 山中。監督/出崎統。作画監 督/杉野昭夫。

「あしたのジョー」のストーリーは、矢吹丈の成長 のドラマなのだ。ジョーは大人になりかけていた。 力石徹というライバルとの闘いを通して、力石の強 さ、意志、勇気、大きさにひざまずきたい想いをこ めて差しのべたジョーの手の先で力石は息絶えた。 ジョーは天才児であり、度胸も根性もパンチもあ るが、人間としては力石の前では所詮チンピラにす ぎない。自分を押さえつけるものは何でもハネのけ てやるといった向こう気の強さ、気まぐれで少し世 をすねていて、世の中を甘くみる幼さがジョーには ある。そのジョーが、男としても人間としてもはる かにスケールの大きい力石に立ち向かい、追いつき 追いこそうとする。激しくぶつかりながら、友情や 尊敬の気持ちさえも抱きはじめる。ジョーにとって 力石の存在は砂漠の蜃気楼のようなものだった。 力石という大きな目標を持った野性児ジョーは、 闘いの中にさえ喜びを見出していく。だが、そんな ョーに思いがけぬ挫折がおとずれた。力石の死。 しかも、それはジョー自らが自らの目標をその拳で 殴りしてしまったという悲劇なのだ。 「あしたの ジョー」の物語が、単なるボクシング・ヒーローの 物語を超える評価を得られたのは、この悲劇の重さ にあるといってよい。 若者にとって現在的で極めて切実な悲劇を背負っ て、ジョーは力石の死後もリングに登場する。だが それは力石との闘いのような充実感がない。ジョー の肉体も精神も闘えば闘うほど空しく消耗していく のだ。その空しさに比例して、ジョーの闘いは凄絶 の度合を深めてゆく。「力石、教えてくれ! お前 だったらどうする。力石よ、助けてくれ!」と心の 中でジョーは何度も叫んだことだろう。 若者にとっては黙示録ともいえるジョーの苦悩の ドラマは、有名な終章、白く灰になりリングサイド にうずくまるジョーの姿で完璧なファイナルをむか える。そして、「あしたのジョー2」のハイライト シーンも、なんといってもこのラストシーンた。

ジョー山中 16才でボ クサーを志願。後、ロッ ク・シンガーに転向。映 画「人間の証明」のテー マのヒットの後、ロック ミュージカル「ハムレッ ト」 主演、海外アーティ ストとのアルバム制作と 幅広く活躍している。 今回の「あしたのジョ ー2」のテーマにあたっ て、そうした彼の音楽セ ンスと過去の経験にジョ ーのイメージがぴったり と梶原氏が推選。事実彼 の作詞作曲によるテーマ は、ハードなジョーと哀 愁を帯びたジョーという 二面性を、その情感豊か な歌声で表現している。 また、ホセカカーロス をジョー山中自身が吹き かえるかもー。 レコードはオレンジハ ウスレコードより6月1 日発売予定。

制作スタッフも、 番に苦労し気を配っている のもこのシーンなのだ。『少年マガジン』に連載 当時、ジョーは死んでしまったのか、それとも生 きているのかといった意見で、「あしたのジョー」 ファンはもちろん、マスコミ、有識者までがこぞ って論議を展開して社会的事件にさえなったのだ。 ジョーがなぜ、そこまで闘わなければならなか ったのかということに答えることは簡単ではない。 「力石は闘うことで燃えつきた。オレにもそうで きるだろうか?」とジョーが考えたことは確かな のだ。だから、ジョーは廃人同様に自らを追い込 んでしまう。ジョーファンの熱い声援をうけて、 「あしたのジョー2」は、原作にあくまでも忠実 前回を上回るスケールで進行している。そんな わけでマンガ史上最高の傑作といわれる「あした のジョー」は、「ロッキー」よりも「レイジング ブル」よりもずっと面白くてスゴイ作品になろう としているのだ。

闘いの意味を問い続け る力石の亡霊・・・・・・闘う ことで燃えつきた力石 の存在は、ジョーには ライバル以上のものだ

「力石がジョーと闘うために、不利な減 量をあえてしたのはなぜか?」軽量の ヨーと闘う義務はないのに······。 誇りの ためなのか? 誇りならジョーも同じよ うに高い。だが、力石とジョーでは同じ 誇りでもちょっと違うようだ。「力石は闘 うことで燃えつきた。オレにもそれがで きるだろうか?」 死後もジョーの心の中を占領しつづける 力石へのコンプレックス、友情、憧れ……自らの戦いの流 儀のために死に殉じた力石は、宿敵以上の大きな目標とし てジョーには感じられた。しかも、その目標をジョーは自 らの手で葬ってしまったのだ。 動揺し、悲劇の十字架を背負ったジョーの心理ドラマと しての側面を持つ今度の映画では、ジョーの目標である力 石の人間的な魅力を描き出そうとしている。 優しさの中に も、自らには恐ろしいほどに厳しい意志の強さと自制心。 地位とか名誉、金のためにではなく、闘うことの意味とル ルを自らに課した男らしさやダンディズム。これら力石 の持つスケールの大きさにジョーは鍛えられてゆく。そし 力石と闘うことがジョーの喜びでさえあったのに……

ホセ・メンドーサ
メキシコの輝ける星。 世界最強の男ホセ・メンド ーサはWBC世界バンタム級チャンピオンだ

完璧なテクニックをもち、そのコークスクリ ュー・パンチはカーロス・リベラをたった一撃で 廃人にしてしまったほどの威力を誇る。黄金のバ ンタムの最強の男といわれる実力者。 力石の死後、闘えば闘うほどに自 らが虚しくなるような荒廃のなかに いたジョーが、初めてといっていい ほどの戦慄を覚えた相手だ。じるような何かがあるとジョーに 感じられた。だからこそ、ジョー パンチドランカーになることを覚悟 の上で打ち込んでいったのだ。誇り 高野性の血をしぼり出し、かす 残り火を白く灰のように燃えつき させて……。 ジョーは、我が身にと りつく悲劇を清算するためにか、そ れとも力石との葛藤に打ち克つため にか、身を挺して打ち合いを挑む。 ホセ・メンドーサは、魔力を秘め た非情なリングそのものの象徴なの だ。ジョーのような若き野獣の最後 をみとどけるのに、ホセ以上の男は いない。ジョーとホセの闘いでは回 想シーンが交錯し、パンチを交わす ごとにジョーの姿は透明度を増して ゆく。スキのない完成の域にいる王 者ホセが、しだいにエキサイトし本 気になってゆく凄さは白く燃えつき るジ ョーを演出するのにふさわしい。

作画監督に聞く・・・・・・ (Includes Comment from Akio Sugino)

とにかくいい作品にしたい。今の気持ちは それだけです。なんと言っても原作があれだ け完成度の高い作品でしょう。どうしても、 のめりこめずにはいられないんです。 作画の上から言って、まず有名なラスト・ シーンを、どう表現したらいいかでとても悩 みました。その結果、燃えつきたジョーが白 光体と化すような、そんな超自然現象的な雰 囲気にしたのですが、これに演出の力をプラ スすれば、かなり原作に近づくと思います。 今回のジョーは性格も大人びている上に、 話自体が重いんですね。心理描写が重視され る上、パンチドランカー現象というボクサ 特有の症状も出てきます。実に絵にしにく い部分が多いんですが、心理描写はおさえた 動作、目の動きなどで表現し、パンチ・ドラ ンカー現象はあまり顕著に出さず、目がかす んだりつまずいたりする一瞬一瞬のジョーの 表情に表したいと思っています。 その他、この映画のハイライトとも言うべ きボクシング・シーン。映画では約20分間が ここに費されるはずです。描きにくいのは何 と言ってもフット・ワーク。あれは軸足は動 かせないんですよね。ところが、絵にしてみ るとフット・ワークではかえっておかしい部分 が出てきちゃう。仕方なくステップの時は走 らせてしまうわけです。でも、そういった特 別な箇所以外は、ほとんど実際の動きに忠実 に作画しましたので、リアルなボクシングが 描けたと思っています。同じようなことは、 ホセ・メンドーサのコークスクリュー・パ チにも言えます。フット・ワークという地味 な動きとはまったく対照的な派手さが求めら れる部分でしょう。彼のパンチの破壊力の凄 さを見せるために、空気の風圧とタイミング に注意しました。 人物キャラで難しいのは白木葉子です。 こ の女性は、女らしい面と悪魔的とも言える面 を合わせ持つ人ですから、どう解釈するか が問題になります。前回のジョー、 力石、葉 子の三角関係でも、ジョーがいたからこそ力 石を愛したような感じもあったし、声優さん にとっても一番演じづらいキャラじゃないか な。ジョーはあおい輝彦さん以外には考えら れないくらいですね。ただ、ちょっとうまく なりすぎて、やはり声優さんをある程度意識 してしまう点で、描きにくくなりつつありま す。特にパンチ・ドランカー現象が出てくる あたりには苦心しています。ただ、哀れな廃 人としてのジョーなどは、とても考えられま せん。では、どうすればいいだろう。考えた 揚句、ジョーは何を思って闘うのかというこ とにたどりついた時、いつの間にかジョーの 顔が透明感のある安らぎに満ちた表情になっ ていました。

玄大佐にボクシングのノ ウハウを叩きこまれた金竜 飛は、闘うコンピューター と呼ばれていた。また、冷 たい血の男とも呼ばれ、そ の計算されたファイトの裏 にはいまわしい過去がかく されていた。金竜飛は父親を殺し たボクサーだった。テレビでは金 の親殺しのシーンは、残酷すぎる ということで止め絵で処理された という。だが、映画では不可欠な シーンでもある。 金竜飛の存在は、ジョーに力石と の闘いをよみがえらせることにな る。 「力石のように闘えるか?」 ジョーの野性の拳が、コンピュー ター・ボクサーを葬り去れるか。

ジョーと葉子の 間にあるのは、 愛と反撥だった
白木財閥の令嬢に生まれながら、 たちのリングの闘いに魅入られずには いられなかった葉子は、不幸な女とい える。力石には尊敬をこめた愛、ジョー には反撥をともなう愛を感じていた。 力石の死でダメージを受けたジョーと 同じように、葉子も女としてどちらの 愛も選ぶことができなくなったのだか ら。それでも葉子は、しっかりと歩き 始めた。南米の無冠の帝王カーロス・ リベラの試合のプロモートを始めたの だ。それは、失意と自棄の泥沼にあえ ぐジョーに立ち直りのきっかけを与え るためであった。非情のリングに賭け るジョーはまだいい。葉子は自らの青 春の終章をどう印せばいいのか…。

ドヤ街のアイドル。ジョーを愛 しながらひたむきに耐える女がの り子だ。だが、男の闘いに果てし なくのめり込んでゆくジョーは、 どんどんのり子から遠ざかってゆ く。のり子は声さえかけられない。 今度の映画では、のり子が途中 で髪を切るシーンが出てきます。 それは、ジョーへの想いを断ち、 マンモス西の愛にこたえようとす るのり子の決意のあらわれなのだ。 西とのり子の結婚式は直接出てこ ないが、アパートの引っ越しシー ンがそのことを暗示させる。 白く燃えつきるジョーのラスト シーンと対照をなす、西とのり子 の青春の終章が印されるのだ。

陽気なファイター、カー ロス・リベラ。ホセのワ ンパンチで廃人に・・・

「無冠の帝王」「ベネズエラの戦慄」などと呼ばれ WBC世界バンタム級6位の強打者。素顔は天 性の明るさをもつハンサムボーイ。ホセ・メンド ーサとの一戦で、1ラウンドでKOされて廃人に なってしまった。だが、ジョーはカーロスが廃人 同様になってしまったのは、自分の責任ではない かと苦しむ。それは、カーロスがジョーとの試合 ですでにダメージを受けて、ホセのパンチで決定 的なパンチドランカーになってしまったのだと……。

無冠の帝王は返上だ 世界をめざす英次郎は ジョ ーの大ファン!!

東洋太平洋バンタム級チャンピオンで、世界を狙う輝け る日本の星・村田英次郎選手に特別インタビューをしてき ました。戦績は1勝無敗3分です。引き分けのうち2試合 は世界タイトル戦(ピントール、チャンドラー)です。 村田選手は「あ したのジョー」の 大ファンです。 矢 吹丈と力石徹の両 方のファンだそう です。私生活の乱 れがモロに試合に出るハードなボクシングは、 力石のような自制心がなければならない。また、 神経質になりすぎても良くない。その意味で矢 吹丈の奔放な自由さに憧れ、力石と丈の闘争本 能の凄さに感動し共鳴するそうです。ただ、ジ ヨーのような最後では終りたくない。きっちり と黄金のバンタムにチャンピオンとして名をと どめたいと目を輝かせていました。リングの恐 怖については、未知の相手への恐怖、特に黒人 選手との対戦などでは逃げ出したいとさえ思う そうです。だけど、リングに上がればもう平気、 闘うしかないという心境になるそうです。なぜ 闘うのかという質問には、男の意地、男の誇り と答えてくれました。「英次郎こそあしたのジ ヨーだ」 がんばれ!村田選手・・・王座は近い!

pg. 42-45: Space Runaway Ideon

pg. 46-47: New Tetsujin-28 

pg. 48-51: Japan’s Anime Whirlwind Making Great Strides Around the World (“New Wave Storm”) #1

pg. 52-56: My Anime Life – Keisuke Fujikawa

pg. 57-60: JUN Part. 4 (Shotaro Ishinomori)

pg. 65-71: Anime Roundtable – Captain

pg. 73-88: Space Battleship Yamato III Anime Comic

pg. 89-95: Kami Densetsu Sadamoebius #4 (Ippei Kuri)

pg. 96-99: B&B 4-coma (Yuji Amemiya)

pg. 101-125: TV Radar

We’re Anime People Feature: Masahiro Kase

Covered series (Commenter, if any):

  • (GoShogun)
  • Doraemon
  • Manga Kotowaja Jiten
  • Muteking, The Dashing Warrior
  • Ojamanga Yamada-kun
  • Tomorrow’s Joe 2
  • The Swiss Family Robinson: Flone of the Mysterious Island
  • Tsurikichi Sanpei
  • Tiger Mask II
  • Ikkyū-san (Tomiro Kuriyama)
  • Little Women
  • Kaibutsu-kun
  • Belle and Sebastian
  • Beast King GoLion
  • Astro Boy
  • Dr. Slump Arale-chan
  • Queen Millennia
  • Golden Warrior Gold Lightan
  • Hoero! Bun Bun (Saburo Goda)
  • Tetsujin 28-gou
  • Ai no Gakkou Cuore Monogatari
  • Hello! Sandybell
  • Manga Hajimete Monogatari (Kenji Nagai)
  • Saikyou Robot Daiouja
  • Mechakko Dotakon
  • Ohayou! Spank
  • Yattodetaman
  • Manga Nippon Mukashibanashi
  • Fūsen no Doratarō
  • Hokahoka Kazoku
  • Kirin Ashita no Calendar

pg. 126-127: Record Radar

pg. 128-129: Anime World Information #4

pg. 130-132: My Anime Information Corner

pg. 133-136: Scenario File #14 – Invincible Super Man Zambot 3 Episode 25

pg. 137-144: Character Sheet Collection #4 – Invincible Super Man Zambot 3

pg. 147-162: Anime Jockey

pg. 163-173 : Queen 1313 #4 (Kaoru Shintani)

pg. 174-178: High-Power Doll #4 (Hideo Azuma)

pg. 179-182: Animetopia (Yoko Asagami & Rihoko Yoshida)

pg. 184-186: Director Note Vol. 4 (Yugo Serikawa)

pg. 188-189: Hisashi Katsuta’s Biography of Japanese Voice Actors #4 – Masako Nozawa

pg. 190: Love Horoscopes

Next issue on sale 10 July 1981!

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